- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344986831
作品紹介・あらすじ
20年後、いまと同じ社会が続いていると無意識に考えていないか。政府の資料では2040年、国民の年金や医療費などの社会保障負担率は驚くべき数字になる。現在と同じような医療や年金を受けられると思ったら大間違いだ。事態改善の鍵を握る、医療や介護におけるテクノロジーの進歩は、どこまで期待できるのか。60年にわたって日本を観測してきた日本経済や国力、メタバースやエネルギー問題、EVや核融合・量子コンピュータなど幅広い分野について言及。未来を正しく理解し、変化に備えられるかどうかで、人生の後半は決まる!
感想・レビュー・書評
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未来への的確な見通しが重要と考える著者が、9章からなる基本的なシナリオを示した。
日本の将来が、必ずしも明るいものでないと思えてくる。
財政収支試算では、2%を超える成長率を想定しているが、少子化のもとで1%成長できるかと疑問を投げかけ、政府の見通しの甘さを指摘する。
未来の世界の中で日本の位置を考えたとき、新興国との差も縮まるし、GDPが日本の10倍となる中国とどのように向き合うべきかと。防衛費を1%から2%への引き上げ論議が喧しいが、日本のGDP1%は、2060年においては、中国のGDPの0.1%にすぎず、どの程度の効果があるのかと、疑問を呈する。
日本は「大きさ」に代わる何かを見出さない限り、世界経済の中で生き延びられないとする。
今後ますます進む高齢化社会では、社会保障の問題とともに、要介護人口が増加し、人材が確保できるかどうかが大問題だと。だが、医療技術の進歩とともに、介護技術も進歩し、介護ロボットなどのめざましいだろうとの見方も。
後半は、メタバースやブロックチェーンや、「スマートコントラクト」、あるいはDOA(分散型自律組織)や「フードテック」やら、馴染みのない単語が続出し、理解能わずの頁も。
何にしても、未来に向けては人材開発が急務で、それには大学改革が不可欠と。
現状、日本のデジタル競争力は、スイスの国際経営開発研究所でのランキングでは、63カ国中29位だとかで、デジタル人材育成の遅れが基本原因と指摘する。
未来の世代に対する責任を果たしているか、現代の我々が未来の問題を自分自身のこととして意識する必要に迫られている。
今ならまだ、修復可能な段階にあると、著者は述べる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が小学生の頃、当時の日本は決して裕福では無かったが、将来の日本は希望に溢れていた、と思う。いま現在、日本は裕福にはなった(と思う)が、この書籍に書かれた将来の日本を全てこの通りの悲観的な国、にしない為にこれから、「軌道修正する努力」を怠ってはならない、そのように感じた。
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これほど辛辣な文章で書かなければいけない日本の状況をなんとかしなければと奮い立たせる書です。
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日本人は自らが置かれている状況を直視していない。明るい未来を実現するための擬態的な方策を取らず、希望的観測を羅列しているだけ。世界から取り残される日本
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下記印象に残った点。
・2060年には日本のGDPは中国に10倍の差をつけられる
・医療技術が発達することによって寿命は伸びる。たとえば再生医療で癌や糖尿病を解決することができるかもしれない。 -
「2040年、少子高齢化により労働力減少、社会保障費増加は確実。日本政府の2%成長の見通しは甘く、1%成長すら難しい。日本政府の政策は2%成長が前提の虚構であり、近視眼的バイアスがあり、未来に対する責任放棄である。赤字拡大、財政危機は深刻化必至。消費税増税、社会保障費削減、年金の所得代替率引き下げ、年金支給開始年齢引き上げの可能性がある。以上が第1章。その他、世界での日本の地位、医療・介護、メタバース、EV、エネルギー問題など。」
少子高齢化なのに「〇〇の一つ覚え」のように成長戦略しか示さない大本営。個人でやれることは限られるとはいえ、自分の頭で考えないと。 -
p125 核戦争が現実的な危機であった1960年代に、「核戦争の生存者は、死者を羨むだろう」といわれた。来たるべき人生100年時代に、長寿者は死者を羨むのだろうか?
p127 医療・福祉だけが成長を続ける -
この方以外の評論家の本を読んでいないのでなんともいえないところもあるが、ロジックに基づいた分析が出口治明氏を連想させる。出口さんファンの自分としては受け入れやすい根拠の羅列だった。子供がいることが読むきっかけだったが、将来子供たちに何が残せるだろう?という長期視点で考えるきっかけになったのがよかったし、少子化対策のみに力を入れてもダメだと認識を改たのできた。子持ち世代は特に必読だと思う。
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医学部分館2階集密 : 304/NOG : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410169466
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技術関係の未来展望は、面白いが素人感が。やはり本書で見るべきは、社会保障制度の行く末の数字に基づいた予測かと思う。なんとかなって欲しいものです。