釈尊の呼吸法: 大安般守意経に学ぶ

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  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393710425

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  • 仏教の本でもあり、呼吸法=健康法の本。
     
    仏説としては、大安般守意経と雑阿含経から呼吸法に関する記述を抜きだして、解説してあります。
    おそらく作者なりのサービス精神からなのでしょうけど、呼吸法が健康にもたらす影響についての医学的な知見をちりばめておられます。が、それがかえってわかりにくく、まどろっこしく感じられます。呼吸法が健康にいいことはどなたも御存じでしょうから、そんなんは本の後半にまとめて、読みたい方がお読みになるようにしていただければよかったかなと思いました。

     五体投地の、「大地に頭をつき手のひらを上にあげる敬礼の形」が、実は内臓の内圧をあげ、血液をオールクリーンにする最上の方法だということがわかり、感心いたしました。

    苦情になりますが、「釈尊が~と申しておられます」という表現をよく使われますが、これは敬語として適切でないと感じました。

    以上です。

  • 医師であり、調和道協会会長であった村木弘昌氏の奉ずる長呼気による呼吸法が書いてある。単に健康法としての呼吸法にとどまらず、仏典、大安般守意経の釈迦の教えを現代語で独自に解説してあり、釈迦が厳しい6年の荒修行を捨てて、呼吸法によって悟りの道を深めていったことが理解できた。四聖諦、八正道、等、三十七品経への悟りの道は、呼吸から始まり、呼吸とともに進んでいったことが分かった。仏典そのものは難しかったが、筆者の解説は適切で、呼吸法のみならず、仏教の教えについても詳しく述べられ、理解を得ることができた。

  • 医者である村本氏が呼吸について研究し、アナパーナ・サティ(呼吸への気づき)に行きあたった。

    短くまとめれば、こういうことじゃない?

    ◆吐く息は長く、吸う息は短く。
    ◆息は、鼻から吸うべき。
    ◆呼吸はふだん無意識でしてるけど、意識して呼吸することで心と体の乱れを鎮める。そういう瞑想法がある。
    ◆正しい呼吸で、心の動揺や混乱を鎮めることが可能。

    <以下引用>

    呼吸と言うものは私どもの人生に大きな影響力を持っている。 p.5

    このアナパーナ・サチこそは正覚を成ずる契機となりました。ときに釈尊は35歳であったと記されています。 p.11

    アナパーナ・サチはやがて改良されて、出る息のみを長くすることに重きをおきます。 p.11

    現在、文化国家といわれる国々には共通した病気があります。それは、
    ◆心筋梗塞
    ◆脳卒中
    ◆ガン
    の3つです。 p.23

    ガンを防ぐためにはまず第一に、血流の流れを活発にする努力が必要です。正しい呼吸を心がけることが、防ガンに大きく役立つことを知っていただきたい。
    第二の注意は種々な発癌物質を遠ざけること。具体的に言えば
    ◆タバコ
    ◆塩分の濃い食事
    ◆アルコール分の強い酒
    はなるべく遠ざけることです。 p.25

    失った健康は取り戻せる p.27

    安般の安はサンスクリットのanaで入息、般はapanaで出息、守意はsatiで守意、これを続けて、anapana-satiということになります。 p.35

    呼吸と言えば人生の大半は無意識のうちにしています。ところがこれを意識呼吸に変えることができます。 p.35

    これは釈尊が正覚を成ぜられてから間もないころの、弟子たちに語ったものでしょう。
    私はこの三か月間アナパーナ・サチ(心をこめた呼吸)を実行して、まことに得るところが多かった。
    ・・・・と申しておられます。 p.39

    「世尊は、ある時祇園精舎において弟子たちに語られた。『弟子たちよ、入息出息を念じることを実習するがよい。かくするならば、身体は疲れず、眼も患まず、観へるままに楽しみて住み、あだなる楽しみに染まらぬことを覚えるであろう。かように入息出息法を修めるならば、大いなる果と、大いなる福利を得るであろう。かくて深く禅定に進みて、慈悲の心を得、迷いを断ち、覚りに入るであろう』と」
    (雑阿含経第29第10経) p.44

    心をこめて行う正しい呼吸は、私どものが生きていく上に大変価値のある呼吸です。 p.44

    アナパーナ・サチは、長い呼気です。長い呼気を練習しておくと、大いに役立ちます。・・・・出る息をつとめて長くし、それでこだわりを一掃してしまいなさいというわけです。 p.46

    アナパーナ・サチの呼気は生理学的・心理学的両面に役立つわけです。こうした呼気を日常生活に大いに活用してまいりたいものです。 p.47

    正しい呼吸は心の動揺や乱れを鎮める p.47

    良い呼吸は心の動揺や乱れを鎮め、さらにそれを積み重ねることによって安定した精神状態を身に付けることができるのです。 p.48

    正しい呼吸を積み重ねていくと心も体も整い、この整った心と体から種々の楽しみが涌いてくるものです。
    ・・・・
    ①第一の要楽は人生の根本の楽しみで、いわば生き甲斐といったものです。

    ②第二の法楽は法を聞いて楽しむ。あるいは法を得て喜ぶ楽しみ、法に叶った生活上の楽しみです。

    ③第三の止楽、これは・・・心の乱れを鎮め、動きを止め、心を一事一物に集中し、そこから湧き出る喜び楽しみを止楽と名付けたものでしょう。・・・心を集中する楽しみ、すなわち止楽は、また観察の眼を深め、そこからまた新たなる楽しみも湧き出てきましょう。

    ④第四の可楽とは「楽しむべき」ものというわけで、さらに「楽しむべきものを知る」ということになれば、楽しみへの節度ということもおのずから考慮されましょう。酒がうまいからとてはめをはずせば、明日への仕事にも影響するでしょう。節度ある楽しみ、楽しむべき限度を知る楽しみということになりましょうか。おそらくこの可楽こそは洗練された楽しみであり変わることなき楽しみであり、最高のお楽しみではなかろうか。
    p.51

    出る息は長く入る息は短く p.67

    ここでいう悪とは道徳的な意味合いで用いる悪ではなく、心や体を痛めつけるものとでも解したらようでしょう。そうしたものをなくすにはどうしたらよいか。
     p175

    心身を痛めつける原因は一体どこからきているか、原因は何であるか、先ずその本を知ることだといいます。過労・睡眠不足・無理、心の悩みについても原因が判明するものもあり、時には不明のものもあります。そして突き止められたものは二度とそれを繰り返さぬような強い意志を持って臨むべきです。 p.176

    吸う息は鼻から p.249

    出る息は鼻および口いずれも適宜用います。それに対し、吸う息は原則として鼻から入れます。 p.249

    やはり原則として鼻から吸うべきです。 p.250

    常に出る息に主体が置かれているのです。それでは吸気はおろそかになるのではないかと心配される方がいるかもしれませんが、全く心配はいりません。出しただけの量が必ず入ってきます。・・・こうした呼吸が爽快感をもたらすことは、少しでも実行してみればすぐに体験できます。それに対し、吸気を意識して行う呼吸は、長く続けることが難しいのです。 p.253

    <以上引用>

    ブッダの実践において、呼吸法は極めて重要であった、ということに思い当たって、気合入れて読んでみたんだけど。
    うーーーーん。今いち、何も掴めなかった。
    呼吸ひとつで、そんなに変わる?

    そもそも、ブッダの瞑想法であるヴィパッサナーと、インド古来から継承されてきたアナパーナ・サティは、どういう関係なの?

    健康法のひとつなんだろうけど、この本読んだだけでは、何かこう、もう一つスッキリしないなあ。

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著者プロフィール

明治45年、静岡県に生まれる。昭和11年、東京医科歯科大学卒業。昭和21年、慶應義塾大学医学医専部卒業。昭和34年、東京大学より医学博士号を授与される。昭和18年、社団法人調和道協会会員となり、同35年、道祖藤田霊斎先生の後を嗣ぎ第二代会長となる。平成3年、逝去。著書に『丹田呼吸健康法』(創元社)、『万病を癒す丹田呼吸法』『白隠の丹田呼吸法』(春秋社)、『健心・健体呼吸法』(祥伝社)などがある。

「2020年 『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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