黒祠の島 (ノン・ノベル 708)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396207083

感想・レビュー・書評

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  • 一介の調査員が好きとはいえ、なぜそんなに詳しいんだ?マスターキートンかというツッコミをいたしたく。

    島で起きた失踪事件からの暴かられるSomething。良質な火サスという表現は失礼かもしれないが、近いものがあるようなないような

    。何度読んでも怖い。ホラーサスペンスとはこのことか。と、納得する。浅緋の存在も怖いが、式部の心理変化も怖い。

  • 再読。今思うと、謎解きの探偵役に仕掛けがあるんだね。これも安楽椅子探偵と言っていいのかw。んで前も思った気がするけど、かの人があまりに下界に馴染んでるのが違和感あって。現代にあっても続いてきた異質な環境故の理解できなさ、異端さがあったらもっと最後まで雰囲気に酔えたかな~~と思ったりする。

  • 罪は罰せられなければならない。

    外部との接触が少ない閉ざされた島に残る信仰。最初から島の異常さに嫌悪感さえ抱くが、最後まで読むと分からなくなる。社会のルールからは外れている、けれど罰とは、と考えると自分の持っている倫理観が揺り動かされるような居心地の悪さを感じた。ミステリーなのかホラーなのか、人それぞれ感じ方があるだろうけど、殺人事件のミステリーと単純に語れない作品だと思う。

  •   島全体が一つとなって自分たちの信仰を守ろうとする恐ろしい島。この話ほどおどろおどろくないけど、「でかわんこ」にも似たような島があった。
      自分に都合が悪かったり、恐怖に取りつかれると、とんでもないものを簡単に信じてしまう人間の心の弱さはよくわかる。

  • 『黒祠』…祭政一致政策によって国家神道に統合・編成されなかった祭祀である。いわゆる土着信仰であり、邪教とされた。

    「3日で戻る。もしも戻らなかった時は後を頼む」…そう言い置いて失踪した友人・葛木志保を探してたどり着いた島は、風車と風鈴で溢れ、彼・式部を向かいいれた。船以外での行き来ができないこの島で、確かにフェリーに乗ったはずの彼女と同行女性の2人連れの姿は見えず、また住人たちの証言もない。本当にこの島に来たのか…そう疑いかけたところで判った事実。それは、この島の住人は皆が嘘をついていたこと、そして六日前の台風の日に神社で女性の惨殺死体が発見されたことであった…


    島という「閉ざされた地」での事件、ということで本格推理の枠にいれるべきなのでしょうが…どうも私には違うような気がしてなりません…。物理的に「閉ざされている」というよりも、住民が持つ「閉ざされた思考」に重きが置かれていると感じるからでしょうか。罪を罰するという神、それを信じてなどいないと口では言いながらも無意識に受け入れ、口をつぐみ、無かったことにする。「神を祭る者」である島の実力者に(例え違法であろうと)従う。その意識は何か…よく身近で、自分達の中にありうるものな気がします。
    さすが小野不由美氏。「屍鬼」といい、こういった胃のおも~くなるような感覚はさすがです(注:誉めてます)。
    犯人当て・推理証左はなんだかイマイチおざなりな感がぬぐえませんが…(汗)。…私の読解力の無さの所為か、正直再読してようやく理解したんです…。伏線はたくさん貼られてるんだけど、貼られすぎていてこんぐらがるっ…!実は未だに犯行動機に納得がいかないんだ…(泣)

    最後に。ラストの文面です。
    【どんな事情があろうと殺人は許されない。だが、犯してしまった罪には酌量の余地があると思う。】
    【事情を抱えていさえすれば、罪は割り引かれるということか。だが、加害者が抱えたものが考慮されて当然だと言うのなら、被害者が抱えたものも同じく考慮されて当然ではないのか。】
    罪と罰の概念。――非常に重く、心にのしかかり考えさせられる問題です

  • その島は風車と風鈴に溢れ、余所者には誰も本当のことを話さなかった―作家葛木志保が自宅の鍵を預け失踪した。パートナーの式部剛は、過去を切り捨てたような彼女の履歴を辿り、「夜叉島」という名前に行き着いた。だが、島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠の島」だった…。そして、嵐の夜、神社の樹に逆さ磔にされた全裸女性死体が発見されていた…。島民の白い眼と非協力の下、浮上する因習に満ちた孤島連続殺人の真相とは?実力派が満を持して放つ初の本格推理。(「BOOK」データベースより)

  • その島は風車と風鈴に溢れ、余所者には誰も本当のことを話さなかった―作家葛木志保が自宅の鍵を預け失踪した。パートナーの式部剛は、過去を切り捨てたような彼女の履歴を辿り、「夜叉島」という名前に行き着いた。だが、島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠の島」だった…。そして、嵐の夜、神社の樹に逆さ磔にされた全裸女性死体が発見されていた…。島民の白い眼と非協力の下、浮上する因習に満ちた孤島連続殺人の真相とは?実力派が満を持して放つ初の本格推理。
    (BOOKデータベースより)

    ***

    『本格推理』かは謎。

    登場人物が多くて、途中は誰が兄弟で誰が従兄弟やら。
    加えて終盤、誰が誰でそれは誰なんだと、ちょっと混乱。
    それでも、飽きることなく読めました。

    想像するとこっちまで痛くなる犯行。
    結局、かの人の自白がなかったので、本当にその人が?という疑問は残りましたが、どうなんだろう。

    やったことがそのまま返ってくるのは自業自得なのか。
    “裁く者”がどう裁いても、それは正義なのか。 うーん。

  • (2001.03.24読了)(2001.03.22購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    その島は風車と風鈴に溢れ、余所者には誰も本当のことを話さなかった―作家葛木志保が自宅の鍵を預け失踪した。パートナーの式部剛は、過去を切り捨てたような彼女の履歴を辿り、「夜叉島」という名前に行き着いた。だが、島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠の島」だった…。そして、嵐の夜、神社の樹に逆さ磔にされた全裸女性死体が発見されていた…。島民の白い眼と非協力の下、浮上する因習に満ちた孤島連続殺人の真相とは?実力派が満を持して放つ初の本格推理。

  • ホラーだと思って読んでいたので、半分位読んで『あれ?これ推理小説だ。』と、気が付きました(笑)なかなか面白かったと思います。最後の謎解きまで犯人も志保と麻理の行方もわからなかったです。雰囲気的には“東京異聞”より“くらのかみ”寄りですね。
    他の方のレビューにあったように、最後の謎解きがダーっと終わってしまい、『そうです、私が犯人です。』やら『証拠はこれだ!お前が犯人だ。』みたいなのはなく、状況的にこいつが犯人以外に考えられないから、こいつが犯人で決定です‼と言う、なんかちょっとスッキリしない感じではありました。が、ホラー要素が強いミステリーと言う、不由美女史色のいい感じに入ったミステリーでは無いかと思います。

  • まあまあかな、でもこの後に勧められた十二国記はホント面白い。サクサクいける

  • 作家葛木志保が失踪した。パートナーの式部剛は、過去を切り捨てたような彼女の履歴を辿り「夜叉島」に行き着いた。その島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠の島」だった……。嵐の夜、神社の樹に逆さ磔にされた全裸女性の死体。さらに、島民の白い眼と非協力の下、因習に満ちた孤島連続殺人が!その真相とは?実力派が満を持して放つ初の本格推理。

  • 作家葛木志保が実家に帰ってくると鍵を預けたまま失踪した。パートナーの式部剛は、彼女の実家が夜叉島だと探し当て、たどり着く。その島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠の島」だった…。非協力的でよそ者をとことん寄せ付けない島民たち、嵐の夜、神社の樹に逆さ磔にされた全裸女性の死体が見つかるが、ここには法律や警察は存在しない。馬頭さんの裁きだけが絶対の孤島...
    閉鎖された空間でのホラーが本当にうまくて読ませる。媒体の性質上、いつもより文体がちょっとおっさん向けミステリーっぽいな、と初読時は感じたけれど、やっぱり何度読み返してもぞくっとする怖さが面白い。

  • 古い因習の残った村で云々かんぬん的なあれ。そういう類のはそれなりに好きなんだけどなんだか物足りなかった。もうちょっと狂った世界におぼれて目眩する感じの方が好みなのかも?京極夏彦とか?最終章はなかなか斬新な気のする展開で面白かった。というかあの設定をファンタジーな感じにというかラノベ仕立てにというかな設定に流用してシリーズ物にしてやると面白かったんじゃないかと思ったりも

  • 本格推理の謳い文句だけど・・・最後にこんなん出していいの!?って思った。雰囲気は屍鬼に似てるけど、主人公が外部の人間だから、もっと陰湿な感じ。海風や雨の湿気か。

  • 古い因習のある閉鎖的な島で起こる凄惨な殺人事件。
    仕事のパートナーを探しに来た調査事務所の探偵。
    ホラーっぽいけど、ミステリーに分類されるのかな?
    宗教的な事が少し難しかったけど、雰囲気はけっこう好きです( ´艸`)

    ラストがちょっと・・・意外といえば意外な犯人でしたが、決定的な証拠もないような・・・?
    「え? それでいいの?」という感じでした(´ε`;)

  • 設定はかなり魅力的だし途中まですごく楽しかったけど、終盤いきなり失速した感じはある。だいたい真相のネタは予想がつくので、なんかもう少し捻りが欲しかった…けど、ミステリがメインじゃないと思えばこれでいいのかもという気も。

  • 面白かったです!ホラーだと聞いていたんでどの辺がホラーだろうかと思っていたんですがどちらかというとミステリに近いホラーという感じでしたね。途中から先生を怪しんでいたのですがまさかの人物登場で!?となりました…。
    解決の手順などからミステリというよりは…と思ったのでミステリからは外しました。
    でも面白かった!

  • 2010.4.18
    十二国記が好きで手にとった本です。
    小野さんの骨太で緻密な筆致は大好きなのですが…。
    じりじりじりじり進んだわりに終わり方があっさりすぎて、こんなに待ったのに!という感じです。
    連続殺人と言っても、探偵役が島に辿り着いてから続々と殺されるというわけはなく、すでに済んでしまった事件を探っていく形式です。
    確かに探偵役が来てから続々と殺されると言うのは不自然と言えば不自然なんですけどね。なのでいまいち怖さにかけるというか。
    怖さがない分冷静に推理できて、途中から犯人やら展開が読めてしまいました。
    探偵役の二転三転する推理もつかれました。確かに二転三転する方がリアリティーがあるといえばあるのですが。
    カイチ信仰や守護の設定は興味深く、浅緋の存在も良かったのだから、説明ももう少し欲しかったなー

    まあ期待がでかかった分拍子抜けしただけかもしれません。
    小野不由美を意識しなければ確かにミステリアスで良作なのかも。
    邪教設定や講釈、閉鎖された島の様子、罪と罰の考察なんかは小野さんらしくて最高です。

  • 推理小説としてはちょっと物足りないかな。「十二国記シリーズ」や『屍鬼』のファンなら十分に楽しめる作品だと思います。

  • トリックは面白かったけれどミステリの読み物としてはあまり楽しめなかった。
    最後の方に出てきたお姫さんが《らしい》感じで良かったけれど。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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