おそろし (新人物ノベルス)

著者 :
  • 新人物往来社
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本棚登録 : 980
感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404038661

作品紹介・あらすじ

ある事件を境に心を閉ざしてしまった17歳のおちかは、江戸の神田三島町で袋物を商う叔父夫婦のもとに預けられる。裏庭の片隅にひっそりと曼珠沙華のひと群れが咲く秋のある日、叔父・伊兵衛は、おちかに来客の対応をまかせて出かけてしまう。来客の相手をすることになったおちかは、曼珠沙華の花を怖れる客の話に次第に引き込まれていく。そして、伊兵衛の計らいで次々に訪れる人々のふしぎ話は、おちかの心を溶かし、やがて彼女をめぐって起こった事件も明らかに…。

感想・レビュー・書評

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  • 三島屋変調百物語シリーズの一冊目。

    以前シリーズものとは知らず、二冊目を先に読んでしまったのですが。
    もう一度読み直したいです。

    わけありの姪っ子を預かる袋物屋の主人夫婦。巡り合わせとも言うべき“ひょんなこと”から、おそろしく奇妙で哀しい“ふしぎ話”を聞き集めることに。語り手と聞き手、一対一での昼日中の百物語の始まり。そしてその聞き手がわけありの姪っ子、と言う。

    百物語と言えば怪談話ですが、本作、と言うか、宮部みゆきさんの作品は“結局のところ一番こわいのは人ですね”型なので、余計に怖いと言えば怖いんですが、また怖さだけでなく、それ以上に切なさ、悲哀、慈愛のようなものを感じさせてくれます。

    特に言いたいことは、第四話の魔鏡では私もおかみのお民さんと同じ感想を持ったと言うこと!と言うか、逆に思わない人いるんだろうか。だから語り手聞き手のスルーっぷりにびっくりした。けど伏線だったのである意味安心しました。けどやっぱりあの話を聞いたらまずおかみさんと同じことを思うと…

    そして、ラストの第五話家鳴りでも似たような現象がありまして。
    “え?あの人の回収は…?”ってのが幾つかあり、でもそちらも最後の伏線になっていたようで(笑)

    そして今気になっているのが、続編に登場したお気に入り人物の若先生が、松太郎さんと良助さん、どっちに雰囲気が似てたんだっけ?と言う点。

    まあ恐らく松太郎さんでしょうけど。

    これ三冊目もあるのかな。

    そしてしゃばけの新刊も予約したいんですが、回ってくる頃には引っ越してるだろうと思うと…

  • 宮部みゆきさん、特別好きでもなかったけど、これを読んで大好きになった。どきどきしたり切なくなったり、読んでいる間とても楽しめた。時代小説が苦手な人にも読んで欲しい。

  • とある理由で家を離れ、叔父夫婦の店にやってきた少女おちか。彼女のもとを訪れる人々が語る「百物語」。そして、おちか自身が恐ろしくも悲しい過去を胸に秘めていた。

    連作短篇というのでしょうか。ひとつひとつのお話はしっかり一章ごとにおさまっているのですが、それらが集まって大きなストーリーをつむいでいます。

    『おそろし』のタイトルどおり、幽霊だったり殺人だったり、起こることは怖いのですが、トータルしてみるととても「良いお話」でした。人間の情念の恐ろしさ、という意味では、『あやし』のほうが怖かった気がします。

    いつも思いますが、宮部みゆきは本当にすばらしいストーリーテラーです。
    話の内容もそうですが、その物語の語り口、小説の世界に一気に引き込んで、最後まで意識を反らさせない巧みさに感動しました。

    2010/7/10 読了

  • わからないものは怖い。それがひしひしと伝わってきました。
    怖くてたまらないものを怖いからこそわかろうと、怖いものではなくそうと。だから宮部さんは書くのでしょうか。だからわたしは読むのでしょうか。

  • 「おそろし - 三島屋変調百物語事始」(宮部みゆき)を読んだ

    宮部みゆきさんはもうずっと読んでない。
    最後に何を読んだのかも覚えていない。
    2010以降はブグログに読書記録があるのだけれど、宮部みゆきさんは一冊も無かった。
    「模倣犯」あたりで止まっているとすればもう20年ぐらい経つかもしれない。

    と、まあ、それは置いといて、本作である。

    まんまと泣かされたよ。
    五つの話がやがてひとつに重なって大団円を迎えるその技が見事。

    宮部みゆきの語り部としてのパワーの源はなんなんだろうな。

    あー面白かった!

  • 豚に真珠か、猫に小判か、馬の耳に念仏か、のれんに手押しか。如何に秀作だろうが、読み手(私)にその力量が伴わなければ労作も報われない。第5話家鳴りではわたしの思考はもつれにもつれ誰が誰やら何が何やら・・・宮部みゆきさんご免なさい

  • 江戸時代だから不思議な話に科学的な分析はされなかっただろう。
    そんな不思議が語られる。
    ときに、説明の付く人の業もある。わかるけれども怖いのが人の心。
    何とも言えないぞっとする怖さを作らせたら天下一品の宮部さん。
    何度も読み返したい。

  • 以前から読みたいと思っていて、中々手が出せずにいた本。宮部みゆき好きな知人から借りることができ、ようやく読めました。

    時代物だとわかっていたけど、最初の『曼珠沙華』で「え、これ、ホラーなの?!」と。ちょっと意表を突かれました。副題が三島屋変調百物語だから、ホラー趣向なのかと後で気付いたくらい、宮部みゆきの時代物=捕物系みたいな、勝手な認識があった。いや、でも思い返すと捕物系も別に多いわけじゃないな、と。本作品は時代物×ホラー×ミステリーという感じ。宮部みゆきさんはホント多才です。

    最後はただのホラーでは終わらない、大団円か、なんと心温まる終わりだろう、と読んでいたら、最後の最後に一石投じて波紋が残る……的な。うおおお、ただじゃ終わらないな。先が楽しみです。

  • 江戸でも評判の店の姪っ子として、
    お嬢様として生活しているはずなのに、
    なぜか使用人と同じように働いている。

    その理由は。

    奇妙な話を集め始めた、その真意は。

    そしてそれらの話がもたらすのは。

  • ノヴェルズで出たので、つい買ってしまいました。
    レヴューは書籍の方に書いてあります。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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