ぐるぐる♡博物館

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537078

感想・レビュー・書評

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  • 博物館の奥深さと対象のものひとつについてもいろんな歴史を経て今に至ることを知った。国立科学博物館、メガネミュージアムなど気になる博物館がたくさんあった。

  • 日本各地の特色ある博物館を巡り、紹介するエッセイ。
    第1館 茅野市尖石縄文考古館  第2館 国立科学博物館
    第3館 龍谷ミュージアム    第4館 奇石博物館
    第5館 大牟田市石炭産業博物館 第6館 雲仙岳災害記念館
    第7館 石ノ森萬画館      第8館 風俗資料館
    第9館 めがねミュージアム   第10館 ボタンの博物館
    ぐるぐる寄り道編:熱海秘宝館 日本製紙石巻工場
             岩野市兵衛さん
    三浦しをんさんがあちこちの博物館をぐるぐる巡り、紹介する。
    10の博物館+3館(書下ろし)の訪問エッセイなのですが、
    第1館から第7館までが、石棒→鉱石→石仏→奇石→石炭→
    溶岩→石ノ森と、見事に“石”繋がりしています。
    そして、博物館大好きのしをんさん、
    テンション高くて、質問等がディープで面白いんだな~。
    取材を忘れて展示物に見入ったり、本や雑誌を読みふけったり、
    体験コーナーで我を忘れて熱中したりと、楽しみまくってます。
    レクチャーする館長や学芸員さん、案内人たちだけでなく、
    タクシーの運転手や散歩中の夫婦、人間国宝の紙漉職人の方
    までからも、情報をゲットする取材力のスキルも発動!
    中島飛行機とボタンの会社に繋がりがあったことには、驚き。
    冷静に、ときにツッコミ入れながら、話を聞いていますが、
    心の声は駄々洩れ。ですよね~博物館、本当に魅力的!
    博物館の個性のみならず、館を支える学芸員その他の方々の
    熱意も感じさせてくれます。奇石博物館、行ってみたい~。
    画像は少ないけど、文章主体でこれだけ博物館の魅力を
    教えてくれるのには、驚き。いやぁ~楽しかった!

  • 国立科学博物館 龍谷ミュージアム 奇石博物館
    は行ってみたい。
    縄文、仏教、シルクロードの遺跡 
    萬画 石炭 災害 ボタン めがね

  • こちらでおすすめされて読んだ。
    元から博物館は好きだが、ますます行きたくなって困る!
    今がコロナじゃなければ、すぐにでも行ったのに。

    特に鯖江の眼鏡の博物館に行ってみたい!
    前に用事で鯖江に行ったのに、その時には眼鏡も恐竜も行けなかったからなぁ。
    眼鏡の歴史とか、眼鏡を作る苦労とか、戦時中の悲しい眼鏡とか、ツルが上しかない眼鏡のレンズがどうやってくっついてるかとか、知らなかったことがいっぱいだ。
    展示をこの目で見てみたい。
    それに自分で眼鏡を作るの、大変そうだけど三浦しをんさんがとても楽しそうだったので、私も作ってみたくなった。

    あとボタンの博物館も行ってみたかったのに、東京に移転なんてショック!

  • 映画化された作品は、4つほど封切り時に観ているのに、多分これが三浦しをん初読みである。小説ではなく、エッセイが初対面になったのは、何を隠そう私が三浦女史同様博物館フェチであるからに他ならない。よくぞこのテーマを選んでくれた。

    最初は長野県茅野市尖石(とがりいし)縄文考古館から始めている。大正解だと思う。博物館の王道は、古代の遺物だからだ。しかも、これは未訪問で憧れの博物館なのだけど、縄文考古学をやっている者が必ず言及する知る人ぞ知る博物館なのだ。
    「文献が存在しない時代だからこそ、考古学的事実をもとに、各人が自由に想像を広げる余地が大きく残されている。縄文時代の遺跡や出土品を眺める楽しみは、そこにあるのかもしれない」
    流石!三浦女史は最初の博物館で、博物館の真髄を喝破する。人はそれを「ロマン」という。

    そのあと、「じゃあそもそも人類ってなんなのだろう?」と国立科学博物館へ。

    その他、次第とマニアックな博物館巡りへと急ぐ。
    仏教世界の龍谷ミュージアム、石に特化した奇石博物館、大牟田市石炭産業博物館、雲仙岳災害記念館、石ノ森萬画館、SMに特化した会員制の風俗博物館、めがねミュージアム、ボタンの博物館、である。

    私は「フェチ」とは言ったけど、未だに考古学博物館のあたりでうろうろしている。それでも未だ博物館の世界は、奥が深いのである。
    三浦女史が指摘し切れていない「奥の深さ」を、とりあえず3点だけ挙げておこうと思う。
    (1)三浦女史も実践しているが、博物館は見つけたら何も考えず入るべし。名前に惑わされるべからず。資料館とかミュージアムとか私設とか国立とか、さまざまな名前があるけど、名前を見て「あそこはたいした事ないだろう」とか「1番すごいだろう」とか、判断してはいけない。「プディングの味は、食べてみなくてはわからない」博物館は、ともかく入ってみなくてはわからない。具体的には、県庁所在地岡山市にある岡山県立博物館の遺物展示よりも、広島県三次市という田舎にある広島県立歴史民俗資料館という野暮な名前の館の方が、数と質共に前者を凌駕しています。岡山県人として恥ずかしい限りです。韓国では、国立博物館よりも大学博物館や市立博物館の方が、ほぼ必ず充実していました。いかん、長くなってしまった。あとは簡潔に書きます。
    (2)迷ったならば、図録は必ず買うべし。何故ならば、図録は「一期一会」であるから。次に来た時に買えば良いと、絶対思ってはいけない。貴方のリュックサックがいかに重くパンパンになろうとも、為に1万円以上消費しようとも後の後悔を思えばその「選択」を選ぶべし。図録はAmazonでは基本買えません。
    (3)本書の中で、三浦女史の質問に答えて、館長や学芸員が丁寧に説明してくれています。これは大手出版社の雑誌取材であり有名作家の質問だから、と思った貴方、大きな間違いです。博物館の1番大きな魅力は、「質問したら答えてくれる」事です。むしろ喜んで答えてくれます。遺物展示説明は、ありきたりな無味乾燥なものが多いけど、それは彼らが「実証主義」という学問方法に縛られているからです。「もしかしたらこういう可能性もあるのですか?」って訊けば「そうですよね。あるかもしれません」と、慎重に答えた後に「その為にはAとBとの関連が立証されなくてはならないのですが、今のところはCしか出ていないんです」と申し訳なさそうに言ってくれたりします。なんだ!とっくの昔に検討していたのかよ!と、大抵は1を聞いたら2や3くらいは答えてくれます。何故ならば、学芸員は私たちよりも、もっともっとオタクだからです。

  • 『博物館が好きだ。旅先で博物館を発見したら、とりあえず入ってみる。』と言う三浦さん。これはそんな三浦さんと巡る日本各地の博物館を舞台にしたエッセイです。う〜ん、博物館って前に行ったのいつだっけ?どこ行ったっけ?と正直なところ全く思い出せない位に私にとっては全く縁のない場所、博物館。名前に惹かれて手にしたけど、そもそも面白いのかな、この本?、ふむふむ、どきどき、とにかく読み始めました。

    『選択の基準は個人的な興味のおもむくまま、勝手な自分基準、いろんな博物館へ、ぐるぐる行ってみようー!』ということで10館+アルファをまわる三浦さん。やたらとテンションが高くて、のっけからここはワンダーランド。目の付け所が面白いのと、そう書くか!面白いな〜この表現、という面白さのダブルパンチ。

    最初に訪れたのが『茅野市尖石縄文考古館』。『どこを見ても土器土器土器!』といきなり、はらはら大興奮。ちょっと書けないような大人な形、ムムムムムという感じの土器の説明なんかも盛り込みながら、うきうき、わくわく、るんるんと、とてもリアルな館内巡りができます。

    そして、東京の『国立科学博物館』。ここが一番面白かった!わくわく感目一杯な知識にさくさくと出会えます。『日本は面積のわりに、隕石が多く発見されているそうだ。なぜかというと、「空からなんか降ってきた!」と目撃した人々は、現場に走って隕石を拾い、それを神社に祀ったかららしい』えええっ!そうなの?、でも何だかいかにもこの国にはありそうな話だ!という感じで、どんどん物知りになれる貴重なお話がもりもり満載です。

    そんな中、おおおっ!と思ったのが、後半の『日本製紙石巻工場』でした。そう、博物館だけじゃないのだ。そんなルールはないのだ。
    東京ドーム二十三個分の敷地面積の中に鎮座する『戦艦ヤマトと同じくらいの長さ』があるという抄紙機 N6マシンの説明が出てきます。普通は読むのも難しいこの機械の名前、『しょうしき』。「舟を編む」で覚えた知識がいきいきと蘇る瞬間。何だか嬉しくなりました。ロール一本で文庫本が30万部刷れるという説明を聞いた三浦さん。『「ええまあ、初版でロール一本を使いきりましたよ」と言える小説家になりたいものだが、まあ無理である』と書きます。「舟を」は累計120万部達成の人気作ですが、初版だけとなると大変な世界なんでしょうね。また、『楽しくなって触りまくっていたら(紙フェチ)、記念に何種類かの試作品をいただいた。わーい。大切に保管し、いまもときどき触り比べては、にまにましてる』というこのシーン。「舟を」で、馬締が『ぬめり感』のある紙に固執する描写が蘇ります。ということで、この工場の話はわくわく感目一杯、とっても興味深かったです。

    そんなこんなで、他にも『機会があったら、ぜひ秘宝館の情熱と過剰な「お・も・て・な・し」攻撃を浴びてみてほしい』という『熱海秘宝館』への笑劇な突撃取材をはじめ、ずんずんと読み進めて一気に読み切ってしまいました。もりもり豊富な写真とそれに添えられたミニ解説、そして何だかとっても魅力に溢れた博物館の舞台裏を守ってくれる沢山の人たち。もう何だか博物館に興味のなかった今までの人生が損した気分です。そもそも見方が違っていたわけです。せっかく博物館に来たんだから色々見てやるぜ、オレ!と気持ちを切り替えるべきだったんだよ、過去の自分。前向きな考え方って得することが多いんだなって、ふむふむと改めて思った次第です。

    三浦さんを読むなら、沢山書かれているエッセイの世界も是非にと思って、一周目の読書の3冊の中に入れてみました。小説とは全く違う、なんだかこちらの気分まで高揚してくるような、うきうき、ぽんぽんと弾んだ表現の数々に、面白かったな〜、これこれ、という感じで読み終えました。

    三浦さんのエッセイ、私にはとても相性が良さそうです。こういう感じとっても好きです!なので他の作品もとっても楽しみです。もう、くるくる、ぐるぐると、どんどん読んでいきたいですね。幸先の良い一冊になりました。

  • 三浦しをんさんの本を読みたくて探した本。
    しをんさん目線の博物館めぐり。めぐるのが楽しそうなのが、読んでるこちらにも伝わってくる。
    私が行ってみたいのは、萬画館とか尖石かな。しをんさんほどの興奮が味わえるかはわからないけど(笑)雲仙も一度は見てみたいと思う。

  • この中でいったことあるの親玉(科博)のみだけど、ミュージアムおもしろいよね!
    龍谷ミュージアムは行ってみたいなぁ。
    奇石も気になる、アクセス的に行くことなさそうなのが残念だ。
    雲仙はいつか訪ねたいなと思う。
    阪神大震災の記念館もいかないとな。人と防災未来センターね。

    秘宝館は気になるよね~。アムステルダムのその名もセックスミュージアムはその昔悪友とノリだけで行って大笑いしたけど。てか大笑いでもしてなきゃやってられんかったのはあった。
    海外で面白かったのは、拷問ミュージアムかな。正式名は中世なんとかミュージアムだったと思うけど。
    最近は企業ミュージアムが結構好きです。

  • 博物館が大好きだ!
    上野の国立博物館、科学博物館などは何度行ったかわからない。
    科学技術館、ガス、船......。
    どこも夢中になったのを覚えている。
    しかし本書で扱われている十館のうち、私はまだ一館しか行ったことがない。
    まだまだ知らない場所だらけ、ぜひ行きたい!
    行くまで死ねない!(は大げさ)

    尖石縄文考古館は縄文土器を見られる。
    石棒だって!
    きっとこれは五穀豊穣を祈られて作られたに違いない!
    と思ったら違った!や、ら、れ、たぁ!
    そんな私にぴったりなのは熱海の秘宝館!
    以前熱海旅行に行った時に、ここを曲がれば秘宝館という近くまで行ったのに見られなかったのだ。
    なにぶん家族旅行。
    お子様と一緒に入るところではない。
    でもいつか行ってやる、その日までなくならないで!

    奇石博物館も魅力的!
    300年前の水が入ったメノウ!
    コンニャク石!
    本当にそんなものがあるの?
    鉱物博に行ったこともないニワカ野郎だけれども、行ってみたいぞ!

    雲仙岳災害記念館も火山国に生きている以上一度は見ておきたい。
    正直行って怖い。
    だがそれを知ることで、なくなった方々の弔いとなるのでは、と思うのだ。
    災害において大事なのは、「自助、共助、公助」。
    自助、共助を実践するためには何か、それを学ぶには、悲しきことではあるが、過去からでしかないのだ。
    草津、御嶽、箱根と、火山の脅威は決して過去のものではない。
    先人たちの道しるべがあるのなら、私たちにも明日のために何かできるはずだ。

    日本にはたくさんの博物館がある。
    もし次巻が出るのならばぜひ読みたい。
    楽しみは多い方がいい。

  • これは楽しい。しをんちゃんが(友だちでもないのに失礼かもしれないが、なぜかちゃんづけしたくなるのよね)あちこちの博物館を取材したルポ。目次を見た段階では「へぇ、そんな博物館があるの」くらいの感じで、さして興味をひかれなかったのに、読んでいくうちに「これは行きたい!あ、ここも!」とどんどん楽しくなっていった。

    「石炭産業科学館」みたいな渋いところも入ってるのだけど、ここなんか本当に行ってみたくなる。しをんちゃん自身がすごく興味を持って見学しているのが伝わってくるし、何より説明がわかりやすい。お約束のギャグに大笑いしつつ、同時に、それぞれの博物館に熱い思いを注ぐ方たちや(大げさに言えば)人の営みにむけた、敬意あふれる書き方に感動してしまう。好きだなあ。

    取り上げられている十館のうち、行ったことがあるのは国立科学博物館だけだった。しかもこんなに丁寧に真剣に見て回らなかったから、記憶もおぼろげ。また是非行こうと思う。「ボタンの博物館」は大阪は天王寺にあるという。まったく知らなかったよ。早速行くぞ。

    これまで行ったマイナーな博物館の中で「ここは良かった!」というのを思い出してみると、まず安来市の和鋼博物館。展示がわかりやすくて良かったし、二階のレストランで食べた古代米カレーが大変おいしかったがあれはまだあるのかな。それからアンモナイトの巨大化石がずらっと並んで大迫力の三笠市立博物館。坑道ツアーもできる生野銀山資料館、といったあたりだろうか。出不精な私だが、もっとあちこち行ってみたいと思わせられる良い本でした。

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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