フーガはユーガ (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 8471
感想 : 576
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408556888

作品紹介・あらすじ

伊坂幸太郎史上
もっとも切なく、でも、あたたかい。



僕たちは双子で、僕たちは不運で、

だけど僕たちは、手強い


双子の兄弟が織りなす、「闘いと再生」の物語



常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。

双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、

そして、彼ら兄弟だけの、

誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」のこと――。

ふたりは大切な人々と出会い、

特別な能力を武器に、

邪悪な存在に立ち向かおうとするが……。

文庫版あとがき収録。

本屋大賞ノミネート作品!

解説/瀧井朝世



【目次】

フーガはユーガ

文庫版あとがき

解説 瀧井朝世

感想・レビュー・書評

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  • 「僕の喋る話には記憶違いや脚色だけじゃなくて、わざと嘘をついている部分もあるので、真に受けないほうがいいですよ」
    伊坂幸太郎はエンタメ作家である。
    ちょっとトボけて、ちょっと優しく、それでいて不思議な主人公が出てくるのが特徴である。
    リアルな現実を描きこみながら、一つの嘘を紛らわすことでしか、真実を描けないことがある。
    歴史家には出来ない。小説家にしか出来ない。
    それがエンタメの役割だろう。

    いっときはブンガク者になろうとした時期があったような気がする。伏線回収を行わず、ディストピア作家になろうとした時期があったような気がする。でも最近は吹っ切れて、読者が望む小説家になろうとしてるかのようだ。
    曰く。魅力的なキャラ。伏線回収。アクション。勧善懲悪。笑って泣ける小説。でも寅さんじゃないけど、笑って泣ける話ほど難しいものはない。

    「嘘をついているー」もそうだけど、前半から新幹線にしろ、ボウリングにしろ、ワタボコリにしろ、そして章立てに使われた熊のぬいぐるみにしろ、伏線アリアリ。お陰で半分予想がついた、と同時に1/4はビックリした。そして1/4は途轍もなく寂しくなった。

    閑話休題。
    フーガとユーガは双子の兄弟。同時にひとつだけ「現実離れした能力」を持つ、そして「辛い現実」を生き抜いてきたバディである。そんな2人の2010年代の物語。一気読みでした。

  • やっぱ伊坂幸太郎さんの本は読みやすい

    けど、事件系の話でも
    基本犯人や、登場人物で ロクデナシ系がやたらと登場すると自分はストーリーに集中出来ないんですよね…
    嫌悪感というか…イライラしちゃってΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)

  • 伊坂幸太郎 著

    伊坂幸太郎さんの本は、いつ読んでも
    何を読んでも、面白いから焦る事なく…
    いつ何時でも読めるという安定感と信頼度が高い作家さんであり作品だと思う。

    期待感を抑えながら読み始める、私にとっての新たなるこの物語り…
    フーガはユーガ?逆さ読みではない(*'ω'*)
    “風我と優我”の兄弟の物語だ!
    しかし、読み出した途端、暴力的なシーンから始まるわりにすこしとぼけた一人称の語りで物語は展開されてゆく(´⊙ω⊙`)
    何だか不幸な家庭環境の辛いシーンから語られるので、もしや、多重人格の男の子の話?と訝しむ気持ちになったところで、サラダ油の話しから、いきなり話してる相手が咄嗟に代わっていて…何なんだ!コレは…⁉︎と思いつつも俄然興味が湧いて食いついてしまった(・・;)誰に話してるんだ〜?と思いつつ、聞く体勢(読む体勢か…)に入り込んだ。

    閑話休題。
    読み出した本からパラリと挟まってた栞が落ちた。私はこの文庫本をネットの中古本で購入したのだけれど、前に持っていた人は、多分まだ一度くらいしか読んだことないんだろう、新品のように綺麗でシミひとつなく(関係ないが、どおりで中古本でも高値だった)
    本から落ちた栞にはサインペンの字で
    「現実離れした兄弟の本当の物語を
     書きました。楽しんでもらえれば
     嬉しいです。」と書かれてあった
    一瞬、前に読んだ人が走り書きしたのだろうか?「こんなのはじめて!」と思って面白がって、マジマジと栞を手に取ってみたσ^_^;よく見るとサインペンの走り書きは
    コピーでその下に小さなクマ(ᵔᴥᵔ)の絵と
    伊坂幸太郎さんのサインがあった(*_*)
    何だビックリ!嬉しくなってニヤニヤしてしまった。少しよれた栞、でも得した気分(^.^)
    どうやら…これは本当に兄弟の物語なんだと思いつつ、読み進めていきました。

    小さな子ども時代のある場面、伏線かと思ったら、伏線回収というより始まりから話しを辿ってゆく…行き着く先へと。
    奇想天外な…それでいて地味な能力を持ちあわせた兄弟(双子)の行動が何かを変えるんだろうか?
    行動が機敏で人間業と思えないと期待したいところだけど、甘くはない事件に立ち向かえるだろうか?
    途中…目くらましか?と思えるほど、事態そのものの場面が掴めないところもあり、展開が予想出来ずに、中弛みになるかと思えば、
    そうはならずに、やはり期待を裏切らない面白さだった╰(*´︶`*)╯♡
    内容は複雑で説明出来ないし、それと同じく、読まなきゃ面白さは伝わらない(๑>◡<๑)

    寂しい感覚と爽快感が交差して胸の中を駆け抜けてゆく。
    伊坂さんの物語りはいつもそうだ。
    現実はそんなに甘くないのか…って暗い事件や辛い現状のキツい人生をあり得ないようなファンタジーの中に描く。苦しく辛いのは本当だけど、希望の光を射してくれる貴重な作家さんだと思う。

    解説の中で、著者には小学生時代、恩師の磯崎先生から教わった忘れられない言葉があるという。
    「にんべんに「憂」と書くから、人の嫌な気  
     持ちを分かってあげるのが本当の優しさな
     んだ、」って。

    “別に親切なことをしなくても、人の嫌なこと、つらいことを分かってあげるのが優しさだというのがちょっとしたカルチャーショックだったので、初期の「ラッシュライフ」でパクって泥棒に言わせているんです…”

    恩師の先生、いいこと言うね〜。゚(゚´ω`゚)゚。
    だけど、それを受け止める伊坂さんは本当に伊坂さんらしくて伊坂さんの人間性を象徴している。
    だからこそ、伊坂さんの作品はこちらにも響くんだなぁと思った。
    伊坂さんの作品を読んだ後、毎回、満足して
    「流石だなぁ!」と感心して陳腐な言葉を繰り返し表現してしまうのだけど…(⌒-⌒; )
    今回はそんな言葉だけで締めないぞ!
    と思いながら…
    やっぱり伊坂幸太郎さん最高(*^▽^*)
    流石!と呟いてしまうんだよね(#^.^#)

    • hiromida2さん
      まっちゃん、おはよ〜(^O^☆♪
      そっかぁ〜まっちゃんも同じ気持ちで嬉しい♪
      伊坂さんのどの本読んでも、いつも心にヒットする(。◠‿◠。)...
      まっちゃん、おはよ〜(^O^☆♪
      そっかぁ〜まっちゃんも同じ気持ちで嬉しい♪
      伊坂さんのどの本読んでも、いつも心にヒットする(。◠‿◠。)♡
      そうそう、伊坂さんの人柄が伝わってきて
      癒されるよね〜
      殺し屋の中にも、義理人情熱い惹かれる人いるもんね 今回は…なイヤな奴登場に人生狂わされちゃうけど、いつもどおり巧い喩えで納得させちゃう、素敵だよね〜
      協調し合えて…私も朝から嬉しい気分
      ありがとう٩꒰๑❛▿❛ ॢ̩꒱ 
      2022/08/20
    • hiromida2さん
      また自分の誤字見っ〜け(・_・; なイヤってなんだ〜?
      ごめんm(__)m
      また自分の誤字見っ〜け(・_・; なイヤってなんだ〜?
      ごめんm(__)m
      2022/08/20
    • 松子さん
      ふふ、ひろみ、伝わるから大丈夫だよぉ(^^)
      ふふ、ひろみ、伝わるから大丈夫だよぉ(^^)
      2022/08/20
  • 誕生日に2時間ごとにお互いの居場所に
    入れ替わってしまう双子のお話。

    作品の感想になってないかもしれないけれど…
    『フーガはユーガ』を読む前に
    伊坂先生のあとがきから読んだ。
    その中に『自分がこれから書くお話の中でぐらいは、大変な目に遭う子供たちが特別な力で冒険してもいいのではないかな、と急に思った気がします。』と書いてあった…。
    察しの悪い私には何か分かりそうで分からない。

    過去の伊坂作品からずっと
    自分が疑問に思っていた
    どうして拷問や虐待など過酷なシーンを
    あえて丁寧に?書く事があるんだろう。
    涙と笑いが満載で読後、ほんわかした感動に満たされる作品も沢山あるのに…と不思議に思っていたけれど

    読後、ライターの瀧井さんの解説を読んで
    そうだったのかぁと疑問がやっと解けた。

    『楽しいフィクションを書きたい。だけれども、現実に辛い状況下で憂える人を置き去りにしてしまうような絵空事は書きたくない。そんな思いが融合した結果、ほろ苦い作風が生まれているのではないだろうか。つまりこの小説は、著者の優しさの表れなのだ。』

    辛い状況にいる人の憂いを感じ、直視しがたい現実から目を背けずにいるからこそ生まれた作品。
    小説の内容だけではなく、伊坂先生のあとがきやライターさんの解説を読んで、伊坂ワールドの新たな良さを感じられて良かった。






  • 仙台市内のファミレスで、フリーのディレクターである高杉に優我が語り始める。
    兄優我と弟風我の双子の兄弟の、恵まれているとは言い難い人生。
    一年に一度、誕生日にだけ起きる特殊な能力。

    2人の置かれている境遇は、黙って聞き流すにはあまりにも酷く悲しい内容なのに、暗く重たくならず、なぜか面白く読めてしまう。
    悪に立ち向かい、まるで戦隊ヒーローもののようにも思える。

    優我が話の途中で、自分の話には噓や矛盾があると時折解説するのだが、真実と噓が入り混じっているからこそ、小説が面白く、楽しめるのだと思う。

    いじめられっ子のワタボコリや、風我の彼女の小玉や、リサイクルショップの岩窟おばさんなど、双子の傍らにいるさまざまな登場人物にも何かしらの愛情が感じられ、嫌な気分にはならない。

    双子ならではの、最強痛快アクション、だけどとても優しく温かい物語だった。

  • 地元民に愛される伊坂幸太郎、主人公たちが地元で躍動する。仙山線・愛子、地下鉄南北線・北四番丁、勾当台公園、さらに48号線沿い。今回主人公の双子(フーガとユーガ)。ぱっとしない中学生活だが、その訳は父親からのDV、母親は父親を無視して蒸発。双子は誕生日にテレポートができる点が新しい。フーガの恋人・小玉が父親から壮絶なDVを受ける(吐き気が出る程の描写)。これを双子が阻止。さらに悪いやつが現れる。最後、死を直前にしたユーガ。しかし「俺の弟は、俺よりも結構、元気だよ」!!でフーガの●●~ここが見ものでした。⑤


  • 双子の兄弟優我と風我の物語。

    本屋で文庫本を目にした時、
    ふと重力ピエロが思い出されて購入し、一気に読了。

    本書は常盤優我がファミレスで
    彼と双子の弟・風我の過酷な生い立ちと
    誕生日に2人に起こるアレにまつわるエピソードを
    語り始めるところから始まる。

    登場人物の置かれている過去や境遇が重たいものの、
    伊坂さん特有の飄々としたやりとりを挟みながら
    優我を語り部に過去を振り返る形で展開が進むので、
    読んでいる途中も自然と暗い気持ちにはならない。

    本書の鍵となるアレも現実ではありえないが、
    伊坂ワールドの前だとスッと受け入れてしまっていて、
    アレを使って双子が目の前の出来事に一矢報いていく
    ところは清々しさすら覚える。

    「問答無用のハッピーエンド」ではないけれど、
    寂しさとほっこりする気持ちの相まった良い
    読後感にさせてくれる小説だった。

  •  双子の兄弟が不思議な能力を武器に、二人の前に現れた敵に立ち向かう。

     双子ならではの不思議な能力にまず引きこまれました。

     果たしてこの能力が物語の中でどのように活躍できるのか、見届けたいと思いました。

     その期待は裏切ることなく、二人を取り巻く人物たちがその舞台を整え、クライマックスまで突き進んでいく感じでした。

     ラストはいい意味で予想を覆され、深い味わいのある物語となりました。
     
     

  • フォローしている方々も多く読了している作品です。
    伊坂氏の作品はいつも楽しめますね。

    誕生日にお互いの体が入れ替わる能力を持つ風我と優我の双子のお話しで、ユーガの視点で進んでいきます。小さい時から父親に虐待されていながらも、双子は阿吽の呼吸で意思疎通が出来るようになります。そして誕生日にはお互いの体が入れ替わる不思議な能力を持っていて、このチカラをつかうシーンが見ものでしょうか。
    ネタバレしないようにしますが、題名の「フーガはユーガ」は、なんで「フーガとユーガ」ではないのかと思っていましたが、読み終わって何となく意味が分かった気がしました。

  • 「フーガはユーガ」伊坂幸太郎著

    後述/伊坂さん
    「問答無用のハッピーエンドではない。
     少し寂しさを感じる部分もあり。
     でも、僕にとって大切な小説であることに
     違いない。」

    1.購読動機
    チルドレン、サブマリン、ガソリン生活、魔王、アイネクライネナハトムジーク、マリアビートル、ホワイトラビットら10冊ほど読了してきました。
    まとまった休暇があるときは、伊坂さんを選択します。

    2.物語
    ①主人公
    仙台に住む双子の男子です。
    ②出自
    決して裕福な家庭ではありません。
    さらに深刻なことは、父親のDVが激しいことです。
    ③特殊能力
    2人には、誕生日にだけ、2時間ごとに身体が入れ替わることが起きます。
    ④連続幼児誘拐事件
    犯人は検挙されず。
    2人と接点がある母子家庭の子供も被害にあいます。

    双子の男子が、実の父親とどのように向き合い、どんな決断をくだすのか?
    そして、誘拐事件の犯人をどのように辿るのか?
    の2つの軸で展開します。

    3.伊坂さんの過去の作品との違い
    読み終えての爽快感が少ないことです。
    これは、冒頭に記載した伊坂さん自身の言葉に凝縮されています。

    4.読み終えて
    幼児誘拐事件、DV含めて、現代社会で起こっている幸せではない現実が、詳しく描かれています。

    読者として、また社会の構成員として、理不尽な社会に対して何ができるのか?を問うた場合、何も無さすぎることが認識できます。

    だから、切なく、やりきれない気持ちとなるのかも、、、
    と考えました。


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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)、08年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞、14年『マリアビートル』で大学読書人大賞、20年『逆ソクラテス』で柴田錬三郎賞を受賞。その他の小説に『クジラアタマの王様』『フーガはユーガ』『ホワイトラビット』『AX』『サブマリン』『陽気なギャングは三つ数えろ』『火星に住むつもりかい?』『重力ピエロ』『グラスホッパー』などがあるほか、阿部和重氏との合作『キャプテンサンダーボルト』、八組の作家による文芸競作企画「螺旋プロジェクト」から生まれた『シーソーモンスター』がある。

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