医者も親も気づかない 女子の発達障害 (青春新書インテリジェンス)
- 青春出版社 (2020年6月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784413045957
作品紹介・あらすじ
「ミスが多い」、「ちょっと変わってる」、「空気が読めない子」…こう思われている女子が発達障害だったとしたら? 精神医学の第一人者が、女子がスルーされやすい理由、精神科医が誤診する背景、気が利く女性を求めがちな日本社会での生きづらさをわかりやすく説明。『透明なゆりかご』の作者でトリプル発達障害の漫画家・沖田×華さんとの対談を収録!
感想・レビュー・書評
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以前TV放映された「透明なゆりかご」「お別れホスピタル」の作者、沖田✕華さんの対談を読んでみたくて手にとる。
親戚の女の子が発達障害かな、と思われ、お母さんも疲弊しているので、気になり手に取る。
沖田さんの対談はとてもわかりやすかった。
・場面緘黙状態の時、ご本人としてはどういう状況なのか。
・怒られると眠くなる
・変質者の見分け方を教えてほしかった
など、とても具体的で率直な内容。
岩波さん(精神科医)の話運びもよかった。
・周りは認めたくなくても、意外と本人は、〝自分はそうなんじゃないか〟と思っており、むしろ「はっきり知りたい」という人が多いという話。
・発達障害は生まれつきだから、発達障害を「治す」という表現も適切ではない。
・「発達障害」という言葉を用いていながら、実際のところは、知的障害や身体障害における「障害」とはかなり意味合いが異なることが、事態をわかりにくいものにしている。
健常者のひとつのバリエーションとして理解するのが適切。
・しかし現在のところ、行政が法律的にサポートする都合上「障害」という言葉を用いざるを得ないということ。
などなど、いろいろと勉強になった。
沖田さん以外にも20代絵画講師の方、2人の子を育てた50代女性のお話があります。
なぜ女性縛りなのかというと、女の子の方が子供の頃、発達障害が表面化しにくいという点。
日本社会の「空気を読む」文化、「空気が読める女性をことさら良しとする」文化が、さらに生きづらくさせるため、とのこと。
女の子の方が統計的に多いから、ではない。
岩波さんはとても素敵なお医者さんだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女の子の発達障害は見逃されやすく、社会人になったり主婦になったりしてから支障をきたして発覚することが多いのだそう。
読んでいて、ますます自分がADHDなのではという確信を深めたのだけれど、巻末のセルフチェックリストでは思いのほか該当せず。
悩んでるなら思い切って受診してみるのも有りとは思いつつ、なんとなく躊躇っているのが現状。とりあえずはいろいろ本を探して読んでみよう。
ゲストの沖田×華さん、名前に見覚えがあると思ったら、先日読み終えたばかりの『特殊清掃人』の参考文献の著者ですね。ADHDとLDの診断を受けているそうで、ご幼少時からとても苦労してきたよう。とはいえ、それを語る際の明け透けな対談が読者としてはおもしろかった。
あとはさくらももこさんもADHDの傾向があると著者が明言していて、そんなにはっきり書いちゃっていいものだろうかと心配になりつつ、興味が湧いたのでエッセイを読んでみようと思う。 -
まずは正しい知識を身につけて本人をサポートすることが大切だと理解しました。
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女子だから、という側面については、日本社会のクセ(古くからこびりついてる伝統的なジェンダーロール)による不利な面が多い、とのこと。
以下、メモ
・発達障害の人には陰でサポートする人が必要。その人の良さをわかって、一緒にマネージメントする人が重要になる。
・1人じゃ無理。自分認知の歪みを直してくれる存在が絶対に必要。仕事にしろ結婚にしろ、成人になって関係が始まった人のアドバイスのほうがわかりやすい。家族は冷静でいられない。
・幼少期には見逃されやすい女子の発達障害。問題が顕在化してくるのは、多くが思春期に差しかかってから。
・発達障害の女性は、その特性によってコミュニケーションにおいて深刻なトラブルを招きやすい・苦手なことがあることを意識しないまま思春期を迎え、社会に出る。この時点で初めて「生きづらさ」を強く感じるようになる。
・まずはちゃんと聞け。被せて話すな。上司のまえでは黙っていろ。
・発達障害の人は可能であれば大学に行ったほうがいい。社会に出る前の猶予期間ができて「こんなミスをしやすい」など知る機会を作れる。
★発達障害は「治らない」けど「コントロール可能」。それにはまず自分の特性を理解することが重要。その上でどうしたらトラブルを防げるか?を考える。
★診察にやってきた患者の話を聞く限り、複数の情報を見比べる作業ができた人は順調に治療進んでいる印象がある。
特定の情報に振り回されている人は×な印象。
★身内にいる場合は、「理解」よりも「問題解決」を優先させる。あなたにはこういう特性があって、こういうトラブルが起きやすいから、こんな場面ではこう気をつけた方が良い」と具体的に話合いをすると良い。
★無理に子供の行動を直そうとしない方が良い。叱るのは一度にして、それ以降は離れる方が良い。家族の関係を悪くしないことが一番大事。
★口で言って解決するくらいなら、とっくに解決している。最終的には本人が「これはまずい」と自覚して、自分から「変わろう」と思わない限り、本人の行動は変わらない。
★家族が口で言っても、簡単には変わらないと認識しておく。家族にできないからこそ、病院など他のアプローチが用意されている。
・医療の場でできる支援は
①薬物療法
②自己理解を促すサポート
③対処スキル獲得のサポート
④周囲の理解を促すサポート
★②成人まで診断や援助が受けられなかったADHDの人は、失敗の繰り返し、人間関係の失敗、不登校や退学などが重なりかなりの情緒的ダメージを抱えている。
周囲からの叱責で「自分は何をやってもできない」と自己肯定感が低くなっていたり、学習性無力感を抱えている人も少なくない。
治療者が繰り返しADHDと関連する生活上の困難さについて説明し、自己理解が深まるように支援することが重要。
③は認知行動療法や対処法をディスカッション
・発達障害を抱える女性にとって日本の社会は暮らしにくい面が大きい。医者や本人の力だけでは足りない。社会そのものの変化が必要。
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特に目新しい情報があるわけではないけど、
一から知りたい人にも、そこそこ知識がある人にも、きちんと理解できて納得のできる内容、とてもよい情報源だと思います。
どちらかというと、ADHDの情報が多いかな。
それにしても、パートナーが見つけられるってだけでもすごいことだと思うのに、
理想のパートナーの条件までついてて、
めちゃくちゃハードル高いなあと思った。
そこだけみても、やっぱり人それぞれ得意なこと苦手なことは違うなあと、妙に感心した。 -
(ブクログで、いいコメントを見かけたので、読んでみたいなと思った一冊。)
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家庭・職場でどう対応すればいいか
https://www.seishun.co.jp/book/22059/ -
たしかに!そうそう!っていう発達障がいあるあるがちりばめられています。女子あるあるも読んでて、そういう人いるよね、てなります。
沖田さんのエピソードは読んでいる分には笑ってしまうけど、周りは相当大変だったと思う。 -
医者も親も気づかない 女子の発達障害。岩波 明先生の著書。発達障害、発達障害というキーワードが独り歩きしている気がする。少し前なら、個性的だとか、少し変わっているだとか、それくらいで済んでいたことでも、今では発達障害、発達障害、発達障害というレッテルを貼られてしまう。本人が発達障害で苦しんでいるのならまだしも、そうでないのなら発達障害、発達障害と周りが騒ぎ立てなくてもいいのではないかしらと思うのは無責任な考えなのかな。子供たちにとって生きやすい社会であってほしい。
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沖田×華さんのあけすけなインタビュー回答は、なんとかなるはずと元気をもらえる。
女子の生きづらさは概要として理解できたしやっぱりねと思えたが、だからどうしたらいいかは汎用性がないかな。
発達障害を知らない人にこそ読んで欲しい本。