認知症が進まない話し方があった

著者 :
  • 青春出版社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413232197

作品紹介・あらすじ

認知症になる方は年々増加し、その介護に向き合う方も増えています。親や身近な人が認知症になったとき、「症状が進行してほしくない」と思う方は、多いでしょう。では、症状の進行を食い止めるにはどうすればいいのか――。その答えの1つが書いてあるのが本書です。
高齢者病棟で25年以上勤務した医師が気づいたのが、「話し方・接し方を変えるだけで、認知症の進行度合いが変わる」ということ。この臨床経験で得た、認知機能低下を食い止めるための「介護者の話し方・コミュニケーション術」を本書にまとめました。
幻覚、妄想、徘徊などの問題行動が起きたときはもちろん、趣味や散歩時など日常生活でも使える50以上の話し方をイラストを使ってわかりやすく紹介します。

感想・レビュー・書評

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  • 大きな声で呼びかけるのは絶対NG! 認知症が進まない“話し方” - 青春オンライン
    https://seishun.jp/entry/20210905/1630832400

    認知症が進まない話し方があった|青春出版社
    http://www.seishun.co.jp/book/23036/

  • 母の症状を考えるともう、認知症が進まないなんてことはないと思うのですが、少しでも気持ちの良いコミュニケーションができればと思って買いました。
    やっぱり父のように、いちいち母の間違いを訂正するのはよくないことがわかりました。

    とはいえ、わかっていても本のとおりにうまく優しく気持ちを切り替えられるかと言えば、それはなかなか難しいのではないかと思います。
    なぜなら家族が介護をする場合、介護する側も不安でいっぱいだからです。
    気持ちに余裕がないと、この本のようにうまく気持ちを受け止めながら、正しい行動に導くような声掛けをするというのは難しいと思うのです。

    ただ、「ゆっくりと低い声で」とか、「短い文章で、ひとつのことを」とか、基本的な態度がわかるのは大変ためになりました。
    また、デイサービスに行きたがらない時の声掛けの仕方とか、家にいるのに「帰りたい」という時の対応とか、シチュエーションごとの例も書いてあって、ありがたいです。

  • 1、この本をなぜ選んだのか?
    介護職始めて7年たち、初心にかえって見直そうと思い選んだ

    2、この本で何を得たいのか?
    今年今までで1番利用人数が増加している為、余裕が無くなることがある。余裕が無くなりそうになった時に何を根本に入れて介助するべきか

    3、目次で気になる3箇所

    〜不安や孤独感と共存するプライドを忘れない~
    ◉認知症を発症しても、1個人としての尊厳やプライドは消えることはない。一方的に世話される存在ではなく、他者の為に貢献したいという、人として当たり前の思いがある。

    〜企み悪意はもちろん「自覚」がないのが認知症〜
    ◉介護者も認知症の人と同じく人間ですから、困ったことばかり起こされれば怒りが沸き、叱りつけたくなるのも当然だけど、認知症の困った行動には、なんの企みも悪意もない。その人が意図的にやってる訳ではないし、自覚すらない。

    〜話しかけられたとき急かすのはもちろん、代弁も避ける〜
    ◉たどたどしくて、○○ってこと?と代弁したく なるが、言葉を選び口にすることも大切なリハビリ。遮らずに、ゆっくりで大丈夫ですよと励ましながら傾聴することが大事。

    4、明日からできる具体的なアクション

    ◉転倒リスクが高い人が立ち上がって且つ自分が急いでる時に、ちょっと座っててくださいと言わないように心がける
    ◉どんなに嫌味ったらしいことを言われても、自覚、悪意ないことを思い出し対応する。
    ◉相手のペースに合わせて介助を余裕ない時もしっかり心がけて介助していく。

  • [墨田区図書館]

    "認知症"関連で知った本書。認知症関連三冊目の読了。
    二冊目の「ボクはやっと認知症のことがわかった」で代表的な認知症4種が紹介されていたので、それでも大分解り易いと思いつつ知識を改めて頭に詰め込んだところだったが、続けて読んだこちらの方が、より簡潔に具体的にまとまっていて良かったし、先の「長谷川スケール」や、各認知症の進行度合い別の介護ポイントなども説明されていて、介護する側への具体的な指針となりうる貴重な本と感じた。

    そして一番のキーポイントは第3章。第1章の終わりで介護をする家族の在り方(明るいか暗いか次第)で痴ほう症の当人の様子も、ひいては病状の進行度も変わってくるとあったが、第2章では具体的にやってはいけないこと、やった方がいいことを説明し、いよいよ第3章では具体的なシチュエーションとそれに伴う「認知機能を上げる話し方」がなんと50例(p.104~)!もし認知症介護を考え始めた際には、再度この本を読むべきだな。そしてこの"相手の尊厳を認めつつ相手をする"という話し方は、育児など他のシチュエーションでも恐らく同様に使える重要なこと。恐らく介護にとらわれず、誰が読んでも役に立つだろうな。

    ■主な認知症の種類と特徴(P. 26~)
    ・アルツハイマー型認知症(約70%)
    [原因] 脳にタンパク質・アミロイドβがたまり、神経細胞を阻害。。広範囲で脳が萎縮して、認知機能に障害が現れる。
    [特に影響を受ける部位] 記憶を司る「海馬」、空間の把握やモノの一を判断する「頭頂葉」など。
    [進行] いつの間にか始まり、ゆっくりだが、確実に進行する。
    [典型的な症状] 記憶障害、徘徊、嗅覚の低下、作話など。
    最初は単なる物忘れやうっかりミスと思われますが、じわじわと進行。嗅覚の衰えで異臭に気づかず腐ったものや、便など食べてはいけないものを食べてしまい(異食)、下痢や嘔吐をすることもあるので注意が必要。

    ・脳血管性認知症(約20%)
    [原因] 脳梗塞や脳出血など、脳血管が詰まって血液が行き届かなくなり、脳の一部が壊死。認知機能が侵される。
    [特に影響を受ける部位] 血管が詰まって血流が悪くなった部位(梗塞巣)によってさまざま。
    [進行] いつ発症したか明確で進行が止まる段階があり、階段状に進行する。
    [典型的な症状] 感情失禁、遂行機能障害、注意障害など。
    詰まっている血流によって症状が変わりますが、多くの場合、感情失禁が見られる。うつうつとしたり逆に急に怒りだすことも。症状がまちまちな「まだら認知症」などもあるので、出来ることまで取り上げないよう、できないことのみサポートを。メタボリック症候群(高血圧・高脂血症など)を併発しているケースは食事の改善や適度な運動など体調管理も重要。

    ・レビー小体型認知症(約4%)
    [原因] レビー小体というたんぱく質が、脳に蓄積されていることが原因
    [特に影響を受ける部位] 記憶を司る「海馬」、資格情報を処理する「後頭葉」など。
    [進行] ほかの認知症よりも、進行が早いのが特徴。
    [典型的な症状] 幻視、運動機能の低下(パーキンソン症状)、うつなど。
    同時に、落ち着かなくてソワソワする、集中できない、うつうつとするなど、精神的に不安定な状態が目立ちます。

    ・前頭側頭型認知症(約1.0%)
    [原因] ピック球と呼ばれる脳の神経細胞の塊いが蓄積し、「前頭葉」や「側頭葉」が萎縮することで発症する。
    [特に影響を受ける部位] 社会性や言語をコントロールする前頭葉、記憶・聴覚・言語・嗅覚を司る側頭葉など。
    [進行] ほかの認知症よりも、進行が遅いのが特徴。
    [典型的な症状] 反社会的行動、オウム返し、音への反応が過敏に。高齢者だけでなく、50-60代にも発症者が見られる認知症。難病指定されている。「まるで人が変わったよう」と言われるのがこのタイプ。同じ言葉や行為を繰り返す「常同行動」といった症状も。同じ食べ物を毎日食べることから、生活習慣病になることも。

    ■できなくなること(P.36)
    ・中核症状1~6:記憶障害、見当識障害、判断力の障害語、失語、失認、失行

    ■各段階での心の動きと介護のポイント(P.40)
    発症期、初期、中期、末期における典型的な症状/認知症の方の心/サポートや介護のポイントがまとめられている。

    ■長谷川式認知症スケール(P.42)
    ・用意するもの:テスト結果を記す紙や鉛筆に加え、品物5つ(時計・鍵・コップ・本・ペンなど関連性のないものを選ぶ)

    ■話し方NG集(p.73)
    ・聞こえるように大きな声で話す→基本的に高齢者は高い音が苦手。特に女性は一段声を低くして。
    ・納得できるよう長々と説明する→相手が話し続けられる(例えばYesNoで答えられるような)簡潔な話し方(質問)をする。

    ■話し方の基本姿勢(P.94)
    ➀相手の前で、目線を合わせる。
    ②ゆっくりと低い声で。
    ③テレビやラジオは音を落として。
    ④間を大切に。相手の言葉は遮らない。
    ⑤難しい言葉はやさしい言葉に置き換える。

    ■介護のための心構え(p.206)
    介護者の変化は4つのステップ。
    発生が分かった段階の発症期には、とまどいと否定。→症状が顕著になる認知症初期には怒りや混乱の気持ちと介護生活への覚悟が入り混じる。→更に時間が経過すると、認知症の方との日常に慣れてきて多少は余裕もでき、→「仕方ない」という割り切り~認知症の方の存在や言動を自然に受け入れられるところまで達すると、認知症の方の喜怒哀楽に共感でき、無用な焦りや嘆きはなく、完全に認知症の方を受け入れられるようになる。
    第1条「がんばりすぎない」
    第2条「想像する」
    第3条「比較しない」

  • 「話し方」に気をつける
    喜び、笑顔、嬉しい ーで、前向きに逃走する
    叱っても怒っても無駄。5分もすれば忘れるのだから。
    優しく、言葉少なめ、声を低め(抑えて)話すこと。
    たいへん参考になりました。

  • 頭ではわかっていても
    その時の自分のおかれた状況によって
    どうしても声を荒げたり 
    冷たくあたってしまうこともあるだろう
    心に余裕がないと人に優しく出来ないから
    そんな時はひとりで抱え込まず
    誰かに頼って無理のない介護をしていきたい。

  • 半分ぐらい介護職のプロの方向きかもしれませんが。
    いちおう一般のご家庭が対象のようです。


    認知症の種類なども簡潔にまとめてあり、参考になりました。

  • とてもわかりやすく書かれていて、読みやすいし理解しやすいです。
    いざ、認知症の人の対応をするとなった時に、混乱した自分の感情を落ち着けるのにいい内容だなと思います。

  • 人への尊厳...が大事です。
    人へのやさしが大事です。

    自分がしたことは全て自分に返ってくる...
    そんなことを思いながら読みました。

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著者プロフィール

1956年福岡県生まれ。日本老年医学会専門医、精神科専門医。1982年金沢医科大学医学部卒業。1988年東京医科大学大学院卒業。医学博士。横浜相原病院にて、院長として25年以上勤務後、横浜鶴見リハビリテーション病院院長。現在、産業医、学校医、神奈川県教育委員としても活動。精神保健指定医、日本医師会認定産業医、全日本音楽療法連盟認定音楽療法士。著書に『認知症は接し方で100%変わる!』などがある。

「2022年 『見るだけでわかる! 認知症が進まない話し方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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