小説は人を生かすことも殺すとこともできる。
そのことに自覚的でいる人の作品が好きだ。
プロの商業作家でも趣味の同人活動で小説を書いている人も、そのことに無自覚な人の作品は読みたいと思えない。
中島梓の小説道場を読んだ。
図書館で借りて読んだのだが①、③、④しか読めなかった。②は傷みがひどくて処分となったとのこと。
それでも趣味で小説を書き、また読むことも好きな人間にとっては明確に読んでよかったと思えるものだった。
小説にどれだけのパワーがあるのか、小説に誠実であることとはどういうことなのか。
書くときの心づもりなどを実際に中島梓のもとに送られた小説を指導する形で語られる。
これは趣味に対するスタンスにもよると思うのだけど、私は同人活動のなかでも二次創作のBL小説を書いている。
いわゆる推しカプがいて、その二人の話を書いている。
自分の脳内にある推しカプをもっと鮮明に魅力的に書きたくて毎日うんうんとPCの前で頭を悩ませているのである。
そして推しカプの魅力を小説でも伝えることができると信じている。
だからこそもっと小説が上手くなりたいと思って中島梓のこのシリーズを手に取った。
もちろん趣味だから好きなように書けばいいと思うし、技巧を上げる必要はないと思う人もいると思う。楽しく活動することが一番大事っていう。
それが間違いだとは全く思わない。楽しくやってこそ趣味なので。
ただ私は推しカプが本当に本当に好きで、どうにか出力を上手くしたいのである。
そのために色んな小説の指南書なども読むようにしているし小説そのものも読むようにしている。
中島梓は小説の力を信じている人ゆえにアドバイスがけっこうキツい。
でも読む価値はある。特にこの人はBL小説の第一人者といっても過言ではなく、基本的に寄せられる小説も男性と男性の話を前提として書かれているからBL小説を書く人も得られることは多いと思う。
ただ30年ぐらい前の本なので、いわゆる同性愛に関しての言葉や認識がその当時のもので、今の感覚からすると違和感はある。
そこを上手く避けながら小説術の部分だけでも読んでみることをおすすめしたい。