死海文書入門 (知の再発見双書 134)

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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422211947

作品紹介・あらすじ

あらゆる考古学上の発見の中で、クムランの発見物語は特別な響きをもつ。なぜならこの劇的な発見の舞台となったのが第二次世界大戦直後の動乱のパレスチナだったからである。そこで発見された大量の写本は紀元前のユダヤ教徒の実像を明らかにするものであり、キリスト教の起源やひいてはイエス・キリストの実像に迫る歴史的手がかりを与えてくれるのではないかと期待された。その後、死海文書(クムラン写本)は学術的にも政治的にも大きな注目を浴び、さまざまなスキャンダルを生み出した。

感想・レビュー・書評

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  • 今更ですが入門しました。

    クムラン文書については未だに謎が多いことだけが分かる本です。どんな種類の文書がどこから発掘されてどう研究されてきたかの情報はまとまっています。発掘後の解釈の問題、すなわち「どんな内容か、誰が書いたのか、何でこんな場所から出てきたのか、そもそも発掘された場所周辺に住んでた人たちは何者なのか……」といった問題は諸説あるだけで未だに多くが謎です。

    その分かってないとこって、一番肝心なとこじゃないっすか。。。

    あと、この本は「これを読めば死海文書が読めるようになる」「死海文書の中身が知れる」本ではございません。むしろ、クムラン文書の発掘と文書発見をめぐる「考古学ドラマ」「発見と解読を頑張った研究者達の手に汗握るストーリー」がこの本の読みどころです。政治による困難や宗教的な立場を乗り越えて行われたベドウィンvs欧米調査団の発掘競争&保管競争に、未だに謎だらけの古代ユダヤ人や聖書の歴史に、「ウヒョオ、おもしれぇ!」と思える人が手に取ると幸せになれる本です。有り体に言えば、考古学クラスタ向けです。

    クムラン文書の中身をガチで読めるようになりたいなら、こんな本読んでないで大学で古典語と古代史と考古学勉強しましょうね。語学と文字の解読訓練は最低限必要です。特にヘブライ語、ギリシャ語の勉強ですね。解読訓練なんかは専門の教授と一緒にレッスンしないとキツイと思います。幸い、今はGoogle先生がイスラエル博物館と共同でネット上に無料でクムラン文書を公開している有り難い時代なので、興味を持ったら実際のモノを見てみては?
    http://dss.collections.imj.org.il

  • ゼーレや碇ゲンドウが、連呼するので「死海文書」とは一体何なのか?長年疑問に思っていたので読んだ本

    「死海文書」は死海北西岸のクムランで1947年に発見された紀元前後の古文書

    イエスキリストが生きた時代の物であるため、歴史的大発見となり、ユダヤ人・アラブ人・欧米人を巻き込んだ「祭り」となった

    本書は、死海文書発見の経緯や発掘の様子、周辺地区の歴史や文化、遺跡の復元状況などについて、たくさんの写真と図表で紹介した入門書だ

    古文書には、預言・法律・詩・黙示録・文学など多岐にわたるジャンルの膨大な文書が含まれるため、文書自体の紹介はほんの微々たるものだが、入門書なので妥当だと思う

    今後さらに興味を持って調べるのも良いだろうが、私はこのくらいで十分だw

  • あらゆる考古学上の発見の中で、クムランの発見物語は特別な響きをもつ。なぜならこの劇的な発見の舞台となったのが第二次世界大戦直後の動乱のパレスチナだったからである。そこで発見された大量の写本は紀元前のユダヤ教徒の実像を明らかにするものであり、キリスト教の起源やひいてはイエス・キリストの実像に迫る歴史的手がかりを与えてくれるのではないかと期待された。その後、死海文書(クムラン写本)は学術的にも政治的にも大きな注目を浴び、さまざまなスキャンダルを生み出した。

  • 死海文書という名前だけはよく聞いていたけれど、そもそも何かを知らなかったので読んでみた。発見されたときのことや発掘に携わった人のこともあって面白かった。
    あくまで入門ということなのか、肝心の内容についてや、その背景については、あまり触れられてなかったけど、その分興味は掻き立てられました。
    まだまだわかっていないこともたくさんあるみたいだし、今後研究が進むだろうことも楽しみ。
    クシエルの啓示3に出てきた言葉がたくさんあったので、せっかく一緒に借りたんだからこっちを先に読めば良かったなぁ。

  • タイトルは何やらオカルトめくが,中身は至って真面目な考古学と言語学の面から死海文書を扱った一般向け啓蒙書.しかし,古代ヘブライ語なんてのは一旦は絶えた言語だと思うのだが,よくこうも巧みに復元して読めるものだと素直に感心する.発掘写真なども豊富で臨場感があって良い.但し,薄い紙幅に盛り込み過ぎなきらいもあり,また顕かに不親切な編集も見受けられる.例えば前置き無しに古文書の和訳がズラズラ出て来て,やっと章の終わりに出典を示してあるところなど.これは和訳の際に想定した読者層のズレがある所為か.西欧人なら注釈抜きで旧約の引用が始まっても抵抗は少なかろうから.

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