9条入門 (「戦後再発見」双書8)

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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422300580

作品紹介・あらすじ

戦後日本の象徴として、多くの日本人から熱烈に支持されてきた憲法9条。だがそれを支持するリベラル派も、批判する右派も、自分に都合の悪い歴史にはずっと目をつぶり続けてきた。

多くの異説や混乱が存在するなか、あらゆる政治的立場を離れ、ただ事実だけを見据えて描き出した、憲法9条の誕生と、「マッカーサー」「昭和天皇」「日米安保」との相克をめぐる成立初期の物語。30年来の構想を書ききった著者渾身の一作。

感想・レビュー・書評

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  • 改憲すべきなのか護憲すべきなのか、自分なりの意見を持ちたくて本書を手に取った。

    本書では、日本国憲法ができてから日本の占領が終わるまでの過程が綿密に書かれている。今まではただ漠然と「アメリカが作った憲法」ということしか知らなかったが、アメリカと言ってもマッカーサーとアメリカ本国のすれ違いであったり、マッカーサーと連合国軍・極東委員会の対立であったり、GHQがたった2週間ほどの期間で憲法草案を作成した事実であったり、知らないことの連続だった。そして何より、自分も含め多くの日本国民が自国の憲法の成立過程すら知らないという事実に驚いた。

    正直本書を読みきった今でも、自分の中で改憲か護憲かの考えはまとまっていないし、本書の内容もあまり理解できていない気がする。なぜ日本が明治維新で欧化を進めたにも関わらず天皇主権は維持され、自らの力で完全に民主主義化することができず、結果軍部の独裁状態になってしまったのか。8月15日の終戦で何もかも失った日本国民は、「平和主義」という考えがまだないときに、どのような日本になることを望んだのか。過去を見つめ直し、反省しなければ、明るい未来は無いだろう。
    勉強不足を実感した一冊だった。いろんな本を読んでから再度読みたいと思う。

  • 9条成文化の歴史的経緯を中心に検証されているが、それが集団的自衛権や、沖縄の米軍基地の問題とどのように関わっているのかということについても、まるでもつれた糸を解きほぐすかのように精密な考察がなされている。
    自国の憲法なのに、それがどのように成立したかということについて、自分があまりにも無知であったということを思い知らされた。

  • 憲法9条は1条とともに、昭和天皇を護るために作られたものでした
    占領が終わった後、憲法9条は、日米安保とセットで存在することになった

    日本の占領をめぐっては、連合国内で激しい主導権争うがあった マッカーサーとアメリカ本国との対立

    高い能力と、過大な自負心、そしてバランスを欠いた人格 マッカーサーは若い日、偏りと弱さを抱えるマザコン青年でもありました。 軍司令官としての能力に疑問符 並外れた自己宣伝能力 大統領候補

    マッカーサーは日本や連合国に対してhあ、ポツダム宣言虫の無条件降伏政策を押し付け、一方、アメリカ本国に対しては、ポツダム宣言遵守を理由に指示に逆らって、連合国からも本国からも独立した、独自の政治的立場を築こうとした

    1948年暮れアメリカ大統領選にむけた地方での予備選の段階でマッカーサーが大敗
    平和条約と安保条約締結のための特使ジョン・フォスター・ダレス特使が送り込まれる

    ケナンとダレスの出現により占領政策は大きく転換

    マッカーサーとケナン、ダレスの関係は映画地獄の黙示録のよう 独立王国を築いて本国の命令を聞こうとしない元グリーンベレー隊長のカーツ大佐

    再軍備親米単独講和と非武装永世中立全面講和という2つの主張

    9条は国連の集団保証体制、つまり国連軍を前提に書かれたものだった

  • 東2法経図・6F開架:323.14A/Ka86k//K

  • 加藤氏の遺著となってしまった。次があったはずなのに。この問題提起はきっと大きな論争となる(ならねばならない)が、それを受けて立つはずの加藤さんはもう何も返してこない。

  • 19/05/07。

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著者プロフィール

1948・4・1~2019・5・16。文芸評論家。山形県生まれ。1972年、東京大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務、明治学院大学教授を経て、早稲田大学名誉教授。85年『アメリカの影』で文芸評論家としてデビュー。97年『言語表現法講義』で新潮学芸賞、98年『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞。主な著書に『日本風景論』『戦後的思考』『人類が永遠に続くのではないとしたら』『戦後入門』『9条入門』 『大きな字で書くこと』などがある。

「2020年 『テクストから遠く離れて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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