- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478017883
感想・レビュー・書評
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17.05.xx読了。
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インターネットで多くの人、モノがつながる近いうちに訪れる未来。
それが結果的に正負の両面でどのような影響をもたらすのかを記した一冊。
これまでインターネットにつながっていなかった人々がインターネットに参加するようになることで、彼らは多くの機会(教育、情報、革命の機会まで)を手に入れる。
しかし、恩恵を受けるのは個人だけではなく、国家もインターネットの力を使い国民を監視、抑圧できるようになる。
とまあ、インターネットでつながつ世界が何をもたらすのかという未来予測を試みた本が本書なわけですが、仮想国家や仮想世界などなかなかスケールの大きい話も多く、「本当かよ」と言いたくなることも。
しかし、本書が示す国家が市民を監視する力を持つ社会というシナリオ、インターネットが分割されてしまうというシナリオはかなり現実味があります。
インターネットでつながる社会で何が大事で、どのような社会を目指したいのかを一人一人が声をあげることのできる「今」だからこそ考え行動すべき時だと感じました。
日本語タイトルの”Google”押しは内容には不相応だと思います(著者がエリックシュミットだから売れ行きを狙ってつけただけという感じがします)。 -
グーグル会長である著者が、これまでのICT技術者や経営者としての職歴、さらには共著者とともに世界30カ国を歴訪し、各国要人との意見交換などを通じて得た知見をもとに、インターネットが未来の世界にもたらすインパクトを、グローバルかつ大局的視点において、メリットとリスクの両面から予測・考察した一冊。
著者は、2025年には世界人口80億人がオンラインでつながり、誰もがリアルタイムの情報を所有し発信できる、いわば「第五の権力」を手にする一方、そのような「コネクティビティ」がもたらす「仮想世界」の爆発的な広がりが、デジタル情報の“永続性”などと相まって、セキュリティやプライバシーの問題をより複雑化し、国家や個人の「現実世界」に負の影響を与える可能性を指摘する。
その一方で著者はあくまで性善説に立ち、クラウドソーシングなど、人々が主体的に未来を切り開こうとする意思が、技術に対する無知や悪意を克服し、結果として仮想世界と現実世界にバランスをもたらすという「楽観論」を提示する。各章のテーマは其々壮大なため、やや重複感や冗長感もあるが、今後誰もが直面することになる未来を見通すために、じっくり向き合う価値がある良書。 -
やっぱ洋書は冗長で読みづらい...
具体例が多すぎて頭に入ってこないが、エッセンスは実際にこの10年を表しているように思う。
10年前この本を読んでいれば、高い精度での未来予測ができていたかもしれない。
日本は20年以上前からネットが普及してたので体感できないが、「あれ、世界ってこの10年でやっとネットが普及したのか」と思わされた。
そう考えるとこの10年の変化は大きく、これからさらに大きく世界が変わっていくのかもしれない。
これからはAIが世界をどう変えていくかということで、再度起こるゲームチェンジに備えられるよう知識を蓄えていきたい。 -
期待したほどではない。約10年前の未来予測本だからか。しかしまぁ、ユビキタスというのは名前はともかく概念としては先取的でしたねぇ。
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Googleだけが見えている次の世界って気になる!
今は権力というと、国家だったりする。
それが「次の権力が生まれる」理由を説いている。
政治とかに興味ある人は読んでみてもいいかも。
(2014/04/08) -
コネクティビティの解放
2013年に書かれたもののはずなのに、2020年の今、それが現実として答え合わせのように現れているのが恐ろしい。
巻末の訳者コメント部分にあったアサンジ氏の書評の引用がまさに、という感じ。いやはや。 -
ネットにアップされた情報や、メールは一生残る。これからの子供達に、ネットでも現実でも顔が見えるように人に接する大切さを教えなくては。結局は、直接のやりとりなのだ。
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- 『一方には、数千年かけて発達してきた「現実の文明」があり、もう一方には今まさに形になりつつある『仮想文明」がある』(p401)
- 『仮想世界は既存の世界秩序を覆したり、組み替えたりすることはないが、現実世界でのあらゆる動きを複雑にしていく。』(p398)
- 『国家は2種類の外交政策と2種類の国内政策を、つまり仮想世界と現実世界とでそれぞれ異なる政策を実行することになる。』(p399)
- 『国家と市民はともにコネクティビティから力を得るが、どのようにして力を得るかは両者で異なる。民衆が、コネクティb日ティを通してアクセスできるようになったもの(情報やデータなど)から力を得ているのに大使、国家はゲートキーパー(門番)としての立場から力を得ている。』(p126)
- イランのハラール・インターネット構想(2011)などはクリーンな国営インターネットを立ち上げるものであった。(p146) この様な動きは中国の検閲よりも、インターネットを分割させるという点において危険である。
- 北朝鮮唯一の携帯電話会社である高麗リンク社に、『75%を出資する大株主がエジプトのオラスコムなのは偶然ではない(p148)』オラスコム社はエジプトのホスニ・ムバラクの長期政権化で業績を伸ばした通信会社である。
- イランでは2009年のグリーン革命に対する政府の弾圧をきっかけに、エリクソンや当時のノキア・シーメンス・ネットワークスなどの西側諸国が撤退し、その穴をファーウェイが埋めた(p149)
- 『21世紀のテクノロジー企業やサイバーセキュリティ企業は、20世紀のロッキード・マーティンに相当する』(p151)
- 『インターネットはいろいろな意味で、指導者不在の無秩序な世界という、国際関係論の古典的仮説が現実化したものともいえる。』(p127)
- 『当初ワールドワイドウェブとして始まったものは、だんだん現実世界そのものに似てくる。』(p142)
- 「仮想国家、仮想独立」も考えられる。例えばクルド人が.krdというトップレベルドメインを取得し、これを足場に活動を広げていく (p156) → **MIのソマリアの話を差し込める**
- 筆者らはサイバー空間を舞台にした情報活動の増加を予想するが、破壊や人命に被害を及ぼすサイバー攻撃の可能性について懐疑的である。(p159)
- 一般に国家が仮想世界でもつ力が、現実世界での力に釣り合うまでには、まだ時間がかかる。このことは一部の新しい主体や、正当に評価されていない主体にとっては、チャンスとなる。たとえば実力ではかなわない相手と闘おうとする小国や、分離独立を目指す勇気ある集団などだ。』(p187) **民主主義国家の中で頑張るエストニア、シンガポール、オランダなどの説明につかえる**
- シンガポール首相リー・シェンロンがカレーゲートについて語る。『シンガポールの当局者でさえ、オンラインで繋がった新しい市民社会の圧力をひしひしとかんじているのだとしたら、ほかの地域の脆弱な政府がどれほど不安に感じているかは、推して知るべしだろう。』(p227) -
非常に大きな枠組みの話で、「〜だろう。」と言った予言めいた書き口が多く、はっきり言えば読みにくかった。洋書の和訳独特の言い回しも多く、すいすいとは読み進められなかった。
だが、Google会長の視点で、様々な世界の出来事や実例を挙げながらかなり膨らんだ予想(良い方面にも悪い方面にも)を書いていたのは、読み応えがあったし自分では決して考えられないレベルで「インターネットと世界、個人および社会」を捉えており、読んで良かったとも思える。
2025年ごろを見据えた予言があったので、6年後にまた読んでみると面白いかもしれない。