HOW FINANCE WORKS ハーバード・ビジネス・スクール ファイナンス講座
- ダイヤモンド社 (2020年2月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478108277
感想・レビュー・書評
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ファイナンス分析を分かりやすく解説した本。
さすが、ハーバード・ビジネス・スクールの講座だけあって、つまらないと思いがちなファイナンスをアマゾンやフェイスブックなど、具体的な企業の実例を見ながら、ゲーム感覚も取り入れて説明。
ただし、進むにつれて説明が早くなるので、付いていくのが困難になるのが少し残念でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ケーススタディ方式で良い
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東2法経図・6F指定:336.8A/D64h/Garcia
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読み応えがありながら、ケーススタディを中心にファイナンスを学べる名著。読み応えがあるために、内容の理解はなかなか難易度が高い。
私は「MBAファイナンス」やグロービスの「ファイナンス講座」を受講しており、入門レベルは持っているため、なんとか読了することができた。最低でもこのレベルをもっていないと、読み切ることは難しいのではないだろうか。
また、本書の特徴として、各章末に練習問題が付いている点も良い。読み終わってから、実際に自分で思考する機会を与えてくれるため、より納得と自分の血肉にする事ができる。
第一章
「財務分析データから企業を当てる」
企業名を隠された上で、財務データのみから、該当の企業の社名を当てる問題。よくある問題だが、本書では、「BS」と「財務比率」のみから取り組むというひねられている。「PL」を含めた三表から読み取る問題は頻出だが、本書のみの構成は珍しく、かなり難しい。また、本書が提示している情報のみからの考察はより現実(キャッシュ)に則していると考えられるため、ファイナンス能力を育むという点では大変良い題材だろう。
第二章
「なぜファイナンスはキャッシュと将来にこだわるのか」
ファイナンスを学ぶ上で、ベースとなるファイナンス思考を学べる章。この章が存在するため、読者はこれから先の内容の理解をスムーズに行うことができる。この章で出てくる、EBIT、EBITDA、割引率、サンクコスト、NPVはファイナンスのメイン概念となる。よく理解されたい。
第三章
「資本市場の誰がなぜどのようにを理解する」
個人的にはこの章が最も興味深く勉強になった。資本市場のプレイヤーの紹介から、各プレイヤーの役割、そして、彼らの思惑をわかりやすく記述してくれている。経済学的概念である、情報の非対称性やインセンティブ、エージェントプリンシパル問題を用いながら、説明していることもあって、大変ロジカルに説明ができている。資本市場のプレイヤーに関して何も詳しくない私としては、大変役に立つ内容であった。
第四章
「リスク、コストの高い資本、価値の厳選」
本書で最も難しい章。著者も自らそう表現している章。企業価値を創出するには、「資本コストに勝つこと」「その勝利を長年続けること」「生み出した利益を再投資すること」が必要条件である。ここで、「資本コスト」という概念が生まれるが、その理解がかなりハードルが高い。信用スプレッド、リスクプレミアム、リスクフリーレート、CAPM、ベータ…などなど、ファイナンスらしい概念が湧き出てくる。ただ、本書では、概念式の説明が省かれていて、それらの概念の重要ポイント、本質のみを説明しているため、読む価値は高い。
第五章
「会社をどう評価するか」
評価は科学ではなくアートだ、と著者は言う。アートのため、腹落ちする点が少なくなるかもしれないと懸念していた。実際、他の章と比べて、納得しきれない点もあるかもしれない。例えば、本書ではマルチプルの説明や批判が書かれていたが、正直、よくわからなかった。しかし、アートである分、実社会での評価方法をよく理解する章にもなっていた。
第六章
「最も適切な資本配分とは」
この章も、第三章と同様に、初心者の私には大変勉強になる章であった。キャッシュフリーを配分する方法をディシジョンツリーで表し、それぞれの要素を丁寧に説明してくれている。例えば、配当と自社株買いは株主にキャッシュを配分する方法として紹介されているが、それぞれの理論的差異(実際は全くない!)と現実的差異(シグナリングによって株価が変わってしまう。)が説明されている。また、M&Aも簡単にフローと難しさが描かれているのも良い点だった。 -
素人向きではないが、ためになる一冊。
特にグロービスでファイ基礎やったけど、イマイチ腹落ちしてない方々には、オススメかな