意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法 (戦略ブレーンBOOKS)

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478372609

感想・レビュー・書評

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  • 1990年代の書籍だったけど、実例も交えて、分析のやり方・活用の仕方を示したもので、今でも使えるいい書籍だと思う。真の課題まで掘り下げないと、経営課題解決につながる成果は出ない、ということは合意。分析とは、分けて、並べて、比べる、というプロセスを経ることで、真の課題に近づくこと、ということだろう。

  • 後正武さんの書いた本であり、経営戦略を行う上で意思決定する際に活用できる技術(技術というより考え方)が紹介されています。

    市場規模の考え方や、2次元マトリクスの考え方、アクションを起こすためのロジックツリー、イシューツリーの考え方が紹介されてあって、非常に実用的だと思いました。

    3年以上前に買って分厚いことを理由に読むのをさけていましたが、もっと早く読んでいればよかったです。

  • 特別に新しい発見はなかったが、たまにはこういう本を読むのもいいだろう。

  • タイトル通り、経営課題を発見・解決するための「分析の技術」を紹介している本。

    あまり厚い本ではないが、かなり情報がギッシリ詰まっており、昨今の「○○さえ分かれば上手くいく」的なノリの本とは一線を画す。

    ただ情報過多の観も否めないのは確か。そこらじゅうに大事なことがしれっと書かれており、重宝すると同時に読み進めていてなかなか疲れる。
    日々の業務において実地に活かしながら、適宜必要な個所を読み直しつつ、じっくりと身につけていく姿勢が必要となろう。
    基本的なことしか書いていないとはいえ、だからこそ役に立つ本と思う。

  • ロジックツリーなどコンサルタントの分析手法が一通りまとめられている。それぞれ現実に即した実例を紹介しながら解説してくれている。どんな場面でどう使えばいいのかイメージしやすいし、案外普段の仕事にも活用できることがわかる。

    じっくり読み込もうと思えばかなり歯ごたえのある内容だけど、それだけの得るものはあると思う。それにこれだけの内容を実例付きで1冊にまとめた本はあまりない。あえて難点をあげれば、章ごとのまとめがないから読み返すときときにすこし不便ということくらい。特定の分野を深くつっこんでいくのでなければ、類書をいろいろ読むよりはこれをじっくり何度も読み返したらいいんじゃないかと思う。

  • 分析について具体的な手法が解説された本格的な一冊。特に後半やや概念的になり難解だが、オススメ。コンサルタントでない人もぜひ読むべき本。

    ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    【読書メモ】

    ●分析の基本は、「大きさを考える」、「分けて考える」、「比較して考える」、「時系列を考える」の四つである。そして、そのバリエーションとして「バラツキを考える」、「プロセスを考える」、「ツリーで考える」という工夫が生まれる。さらに、自然科学と違って、「人間の問題」や社会の現象は、複雑に入り組んだ事象を含み、かつ「ファジーで不確定・不確実な要素」を積極的に取り扱っていかなければならない。そのためには、それらを取り扱う「枠組みなどの工夫」が必要になる。

    ●大きさを論ずるうえで鍵となる考え方に「大きさの程度」(オーダー・オブ・マグニチュード)という言葉がある。何事によらず、内部論理の緻密さや形式的な整合性を論ずる前に、全体としての大きさの程度、施策の利き具合を大まかに把握して、まずは重要度の判定をし、そのうえで重要度の順に応じて、あるいは大きなところのみ手をつける、という考え方である。

    ●何事によらず、ある目的を持っていくつかの選択肢を検討する際には、全体像を示して、そのなかでのそれぞれの選択肢の感度=影響度の大きさを位置付けたうえで作業にとりかかる習慣をつけるとよい。

    ●大きさを考えるうえでいま一つ覚えておくべき用語として、「クリティカル・マス(Critical Mass)」という概念がある。成果を上げるためにある一定量を超える資源投入が必要な場合、その必要量をクリティカル・マスと呼ぶ。クリティカル・マスに満たない不十分な努力や資源の投入は、結果が期待できない無駄な投資となる。

    ●分けて考えるための基本原則
    ・MECEに分ける
    ・マネジメントインプリケーションを考えて分ける
    ・全体を把握して、検討対象を正しく位置付ける

    ●MECEに分けたつもりでも、これだけでは完璧ではないかもしれない。そのような心配がある場合、とっておきの方法は「引き算」をすることである。「考え付くものを、できるだけ拾った」場合には漏れが発生することがある。それを補うには、拾い上げたものを全体から引き算して、その余りを「その他」という一項に示して入れておくとよい。

    ●MECEに考えるうえでの一つの重要な要素は、切り口の軸を明確に意識し、その軸の上で全体の100%をカバーできるか否かを考えることである。たとえば「業務用市場をMECEに補完するものは、罷業無用の消費者市場であり、それはまた、贈答市場とそれ以外の一般家庭用市場に分かれる」の類である。

    ●ただMECEに分けるだけでは不十分であり、打ち手として役に立つ「マネジメント・インプリケーション」の発見に役立つような「分け方の工夫」が必要

    ●一つの事象を検討するに際しては、その検討対象自体が「どれほど重要で、どのような意義を持つのか」を、客観的にとらえることが必要だ。

    ●必要な指標・軸が二軸以上の多元になる場合の工夫
     1) 一分野に絞り込み、そのなかで二元の要素を考える
     2) 二元分析の上に三元目の指標を乗せる
     3) 割り算をする
     4) 多数の要素を大きな二軸に集約して考える
     5) 多元回帰などの数学的処理法を用いる


    ●資本主義の経営においては、すべてをお金に換算することがもっとも標準的かつ重要な視点

    ●比較の基本的な姿勢
    ・アップル ツー アップルを考える
    ・枠組みを工夫する
    ・説得の手法を考える


    ●比較する際には
     1) できるだけ同じものを比較すること
     2) 異なるものを比較するときは、意味がありかつ比較できる指標を探すこと
     3) 似たもの同士を比較する場合も、同じ要素と異なる要素を正しく見分け、異なる部分の影響を勘案しつつ合理的な比較を心がける


    ●比較する際には、「目的に応じ」「適切な枠組みを工夫して」「できるだけアップル・ツー・アップル」で比較することが大切

    ●エクセレント・カンパニーの8要素
     1) 行動の重視
     2) 顧客への密着
     3) 人の重視
     4) 自主性・企業家精神の尊重
     5) 単純で小さな組織
     6) 基軸事業への傾斜
     7) 価値観に根ざした実践
     8) 自由と規律の共存


    ●「さかのぼって」考えてみること、「現在の状況」をそのまま見るだけではなく、過去の打ち手と資源投入の歴史を通じて全体のインプリシット・ストラテジーを把握することの大切さをわかっていただきたい。

    ●トレンドを正しく見るための工夫-季節変動の修正、移動平均

    ●過去の経験則に学ぶ/繰り返し現われるパターンを考える際には、その現象そのものはヒントにすぎず、そのヒントの背後にどのような理由、根拠があるか、そのパターンが今回も繰り返されることが妥当かをよく考え、検討することが大切。

    ●時系列分析のいま一つのポイントは、これまでの傾向・全体の流れを追いつつも、そこにどのような変化が起こりつつあるかを敏感に読み取る工夫・努力をすることである。そのためには、絶対量とその変化に注目するとともに、変曲点、あるいは微分で考えた場合の変化率に着目し、その意味を常に考える/要因を説明する習慣をつけておくことが大切だ。

    ●経営におけるバラツキの分析は
    ・現状をより正しく理解して意味を読み取る
    ・そのバラツキをいかに活かすか、どう利用できるかを考える
    ・マネジメントとして、バラツキに対してどのようなディシプリン(規律・秩序)を持ち込むべきかを考える


    ●バラツキ分析は、少なくとも2つの意義を有する。一つは、冒頭の売り値(値引き)のケースにあるように、バラツキの幅のうち、あってはならない状況を指摘して、これを阻止することである(バラツキのあるべき方向への収束)。いま一つは、バラツキのなかからもっとも望ましいケースを見つけて、どのようにすればその望ましい状態を全体に広げることができるかを考えることである。

    ●まず手始めに平均より悪いところを平均並みにし、次に平均並みのところを手順を踏んで上方に引き上げようというアプローチをとっている。覚えておきたい分析・活用の技術であり、基本姿勢である。

    ●「プロセスを追って考える」習慣をつけることは、ビジネスの世界で非常に重要だと筆者は考えている。機能別に分化した組織の構造は、プロセスに追って考えることに適していないし、人の思索の範囲は、一項目を取り上げて外注も含む上流全域にさかのぼり、過程/プロセスを追って考えるところまで及ばないことが多い。それゆえにこそ、意識的・強制的に「過程/プロセスを追って考える」分析の習慣が必要なのである。

    ●ビジネス・システムの考え方を用いて改善を目指す際に、フィックス、バランス、リデザインの3つの異なるアプローチが存在する。

    ●不確実で広範な諸要素を含む現実の世界で正しい判断をするための最適な方法は、この「狭いが線型で正確な判定が可能な要素」と「広く非線型でバラツキの大きい要素」をいかに効果的に組み合わせるか、ということになるであろう。そのための具体的な方法論として、筆者は、少なくとも次の四つの方法があると考えている。

     1) 信頼性のレベルにより情報を分類する

     2) ロジックとフレームワークを活用する

     3) プロセスを活用する

     4) 多数の意見の集約を図る


    ●一部の情報が欠けるために全体のシナリオが描けない場合の処理方法を申し上げておこう。プロジェクトチームの活動などで、ある情報が不足して判断ができない場合など、筆者はよく「それでは、その問題の担当者は自分のベスト・ゲス(一番よいと思う答え)を言ってください。あなたはこの課題に対して社内で最高の専門家なのだから(それだけ他の人よりも余計に情報を集め、考えてきたのだから)、反論が出てくるまではあなたのベスト・ゲスを一応の答えと考えて、それに基づいて次の作業を進めましょう」という手を使う。

    ●デルファイ法
    1) まず、与えられた課題に対して関係者の直感・判断およびそれに関する意見をアンケートで集める。加えて、判断の精度を上げるために、どのような情報がさらに欲しいかを答えてもらう。

    2) 要求された必要情報のうち集め得たものと、第一回アンケートの結果とをフィードバックする

    ●デルファイ法によるインタビューのやり方
    まず、一定の構想のもとに、関係者の一連のインタビューを行い、判断の内容と、その背景となる情報(事実・法則のレベルから、意見・想像のレベルまで)を集める。なるべく客観的な姿勢でそれらを集計・集約し、その集約した結果をもって第二回のインタビューを行う。

    ●「先人の知恵に学ぶ」ということは、実は「知識を得る」ことではなくて、先人たちの知恵や研究の成果を「現時点のわが身に引き寄せて、具体的に考え、応用する」ということなのである。数学の定理を暗記しても、使う練習をしなければ応用問題が解けないのと同じように、知識や学説は具体的に実用しない限り、絵に描いたもちにすぎない。

    ●パーキソンの法則(組織の非効率化の課題)
    ・役人の数はなすべき仕事の量に関係なく、一定の割合で増加する
    ・お金は必要と否とにかかわらず、入っただけ出る性質を持つ
    ・拡大は複雑を意味し、複雑は腐敗を意味する
    ・ある組織の立派な建物の建設は、その組織の崩壊点で計画され、その完成は組織機能の崩壊を意味する


    ●コンサルタントに必要な資質・能力・知識・技術
     1)コンサルタントとしての基本姿勢・態度
      ・事実をもって語り、考える科学的姿勢
      ・論理的な組み立て、思考能力
      ・解決志向の興味関心の持ち方
      ・クライアントのことを第一義に考え、そのためにベストを尽くす姿勢、倫理観
      ・物事に対し、概念論ではなく現実的かつ柔軟に対処して結果を重視する姿勢、態度

     2) 問題解決作業を進めるためのプログラム・知識・概念など

     3) 2を実施するためのチーム運営の能力・技術

     4) 2・3の作業を遂行するための事実の把握・分析の手法・技術

     5) 変革推進のための考え方・手法

  • 分析技術について、体系的にかつとても分かりやすく整理・解説されています。初心者にとっては適切な入門書として、中級者・上級者にとっては基本を振り返ったり、困った時に改めて開いてみたくなる一冊です。

  • 基本 αという感じで、分析とは何かを体系的に整理した本という印象だった。

    何度も読み返して、身に付けたい内容。但し中盤以降で疲れてしまった…。

  • ロジシン・戦略コンサル流行の先駆けとなった本。今となっては目新しさはあまりなくなってしまったが、8年前に読んだ時には感動した。

  • 2010年2月7日(日):
    分析スキルをあげたいと思っている方にはとても良いかと思います。
    特に分析の具体例や、分析グラフの書き方などとても参考になります。
    仕事で分析をおこなう人には、実務ですぐに役立つ内容です。

  • 買って2年以上経っちゃったかなぁ(笑)
    やっと読めた。

    仮説検証のために必要な分析の考え方がまとめられている。
    分析の技術というタイトルだが、how-toではない。

    内容は広く深い。
    なので、ある程度の経験や知識がないと難しい。
    そんなわけで2年間放置(笑)

    難しい本がちょっとでもわかるようになると、うれしいものだ。

  • 思考や行動の整理に役立ちます。
    (ハーバードとシカゴの経営学というのは、違いがあるのですね。あらためて)

  •  まだ、半分くらいしか読んでないのでメモ程度。<br>
     経営における分析手法を紹介した本。化学における分析化学のようなものだと理解している。実際、扱うデータの種類に違いはあるものの、基本的な考え方はサイエンスと一緒だと感じる。<br>

     筆者が担当したプロジェクトを含め、具体的な事例をもとにどう分析し、どこに問題があるかを紹介していて、分かりやすい。
     
     ここまで読んで特に目新しかったのは、「分けて考える」のMECEの部分で、「その他の項を考える余裕を持つ」という箇所。
     その他の項を考えるという発想はあまりなかったし、そうするべきではないと今までは考えていた。「その他」を安易に使うと考えが浅くなりそうな気がするから。十分に考え尽くした上で、「その他」を用意する余裕を持つ。実践するのはなかなか難しそうだが、実際の仕事では大事なことのようだ。<br>

     とりあえずここまで。

  • <2008.06.24>
    元マッキンゼー、ベインで、現在東京マネジメント代表の後さんの著作。
    分析の技術を分かりやすく解きほぐして体系化したもので、とても使える。(「大きさ」を考える、「バラツキ」を考える、といった具合)
    僕は実際にこの本を手がかりに、分析の際に押さえておくべきポイントを頭の中に置いておける単位にまとめ直して、就活で実践した。
    高田さんの「ロジプレ」と並んで、数少ない『すぐ使える「ロジカルシンキング」本』。

  • まだ熟読できてないのでもう一度ゆっくり読みたい。

  • 情報量が多くて参考になります。

  • 後さんの本です。いいたいことは。。。わかりますよね。

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