言葉の園のお菓子番 森に行く夢 (だいわ文庫)

  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479320265

感想・レビュー・書評

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  • 少しずつ新しいこと、ひとと出会っていく。表紙もステキ。

  • 亡き祖母の代わりにお菓子を届けたことから連句会に通うようになった一葉。誰かが詠んだ句に別の誰かの句がついて、世界がどんどん広がっていく連句が楽しい。「連句は正解のない分岐の連続」って本当に人生みたいだ。人生も、次々にやってくる選択肢を選んで進んでいく。そして、あの時ああしていれば…と後悔することがあったとしても正解は最後まで分からないのだ。
    なんとなく流れで参加するようになった一葉が、もっと連句について知りたい、次に進みたいと積極的になってきたのが良い。これからが楽しみだ。

  • こんかいもひとつばたごの連句の会が2回分、がっちりと描写される。
    一句一句、どこで響いているのか、あるいは跳躍しているのか、考えながら追っかけていくのも楽しい。

    一葉さんがひとつばたごに通い始め、一年。
    会には新人さんもつぎつぎと現れてくる中、一首もとられなくて一葉さんが焦ったりもしているのがほほえましい。

    この巻のテーマは創作、特に小説を書くことのようだ。

    新たに登場した人の中には、詩人として活動する広田優という人物もいる。
    大学でドイツ文学を研究する中で、詩人としても活動する、絶滅寸前の文学青年がそのままミドルエイジになったようなおじさまだ。

    それから、人気小説家の柚子さんという元気なお姉さんも登場する。

    こうしたガチの創作家に触れて、小説家志望の蛍さんが揺れ動いてしまうことになる。

    まだこのお話、最終的にどこに着地するのか見えてこないが(シリーズはまだ続くようだが)、この調子で登場人物が増えていくのかなあ。

    お盆休みでゆっくり読めたので、出てくる和菓子も検索することができた。
    御菓子司塩野の桜の干菓子、越後屋若狭の水羊羹。
    どれも名店のようで、なかなかお高い。
    しかも、日持ちがしなくて、当日買いに行くとか、どうやって運ぶかとか、いろいろ苦労もあるらしく、なかなかお菓子番も大変だ。

    飲食物は持ち寄り方式なのかなあ、と思っていたのだが、このお菓子でよいかとメールしあったりしている場面があったので、もしかすると割り勘なのか、と今回初めて合点がいった。
    そうでなければ、この間まで無職だった一葉さんにとって大変な負担のはず。
    くだらないことが気になっていたのだが、まあ一つ解決してよかった。

  • これまで疑問だったお菓子代が割り勘だったことが判明して安心しました。

  • 初めは、連句には一編の詩のようなまとまりを感じられず、戸惑いもあったのだが、ここにきて漸く良さが分かってきたように思う。
    前の句には付ける、でも二つ前の句からは遠ざける。
    連衆それぞれが持つ世界の表し方を繋げ、広げていくことで、この世界を詠む。
    その時にどの句を取るかでその一巻の方向性も変わる。
    その役を担うのが捌き。
    面白い。
    作中に出てくる和菓子も魅力的。

    ひとつ気になったのが、
    P.292「そぞろ歩きに響くひぐらし」が付いた。
    とあったのに、
    P.294「そぞろ歩きに響くかなかな」
    に変わっていたこと。
    確かに「かなかな」の方が情景が広がる感じがして良いと思うが、変更した理由についての言及がなかったので、校正か修正時のミス?と想像してみたり。

    この先もどんな世界が巻かれるのか楽しみだ。

  • どんどん人が増えてきた。
    しかも、出てくる人が何かすごい。
    小説家とか詩人とか、
    そんな簡単に会えないよ、普通。
    連歌っていうのもあるかもしれんが、
    東京のすごさも感じた。

    柚子さんが好きだなあ。
    これからも出てほしい。

  • シリーズ第三弾。

    登場人物が増えてきて、私はこの3冊目が一番好きかも。

    踏み出さなければなにも起こらず、それで終わり。傷つくことはないかもしれないけど、人生の幅はどんどん狭くなってしまう。

    自分の居場所のない世界で生き続けるのはさびしいことなんですよね。だから、みんなある程度生きたらこの世を去っていく。

  • ほしおさんの作品はどれも好きだが、このシリーズは、連句があることで、作品に重層感が出ていると思う。日本語の素晴らしさも再認識。

  • 今回は連句会に新規メンバーが加入
    新しい景色が見えてくる

    連句自体には理解が及ばないが
    それが出来上がる過程に物語がある

    ほしおさんのキャラは少し陰のある人物が多いが
    生きる力があると思う
    スーパースターではない身近にいそうな人たちから私も力をもらう
    少しずつ前に歩いていこう

  • 色々な連句が多めに出てて楽しめました。センスと切れ味が素晴らしくて面白い。漫画好きには嬉しいトークイベントとかがあったり、新しいお菓子も出てたり、ちょっとずつ変化もあって、前に一歩進む大切さを感じます。一つ一つが丁寧に書かれていて、ゆったりしっかりとしたペースで話が進むので、心に染みるように物語が入ってきます。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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