新しい神の国 (ちくま新書 684)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063861

作品紹介・あらすじ

岡倉天心の"アジアは一つ"から悪名高い「大東亜共栄圏」、そして近年の東アジア共同体の提唱に至るまで、長期にわたる文化伝播の歴史を背景に、「日本はアジアの一部」という考えは近代日本史の伏流となっている。しかし、その歴史意識は正しいのだろうか。大韓民国国費留学生として一九八〇年から六年間の研究生活を送り、いまは日韓両政府が主催する日韓歴史共同研究の一員でもある著者が、日本と朝鮮半島および大陸との関係を吟味・検証し、「別亜」としての日本文明圏を提唱する。

感想・レビュー・書評

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  • 脱亜論ではなく別亜論というのは面白かった

  • 多神教的世界観の勧め◆マルクスどもが夢のあと◆贖罪大国日本の崩壊◆日本文明圏の再考◆神々の復権◆別亜論とは何か◆和人たちの夏◆新しい神の国

    著者:古田博司(1953-、横浜市、政治学者)

  • 著者は、戦前の大東亜共栄圏の理念に基づくアジア主義と、戦後の左翼によるアジアとの連帯の呼びかけが、ともに中国、韓国といった東アジアについての無知に基づいていることを批判し、日本と中国、韓国との間には、文化的に深い断絶があることを指摘しています。

    また、ネット上に氾濫するナショナリスティックな言辞に、江戸時代の戯作文学から受け継がれてきている「茶化し」(teazation)の衣鉢を継ぐものとして理解しようとしています。

    いくつかの雑誌に発表されたエッセイを織り込みながら書かれた本ということで、話題が多岐に渡っていてややまとまりに欠ける印象を受けますが、軽妙な文章で楽しんで読むことができました。

  • もともと日本は脱亜した存在であって、
    宗教観、死生観における支那と朝鮮との決定的な違いがそれを示している。
    とにかく加害者なんだからと謝罪し中韓におもねる人達、アジアとの連帯を云々する大東亜共栄圏、東アジア共同体を夢想する人達。
    そのどちらも思考の前提が間違っていると。

    もっともなことだと思う。
    まずはどこまでも分かりあえないことをハッキリと認識すべき。

  • [ 内容 ]
    岡倉天心の“アジアは一つ”から悪名高い「大東亜共栄圏」、そして近年の東アジア共同体の提唱に至るまで、長期にわたる文化伝播の歴史を背景に、「日本はアジアの一部」という考えは近代日本史の伏流となっている。
    しかし、その歴史意識は正しいのだろうか。
    大韓民国国費留学生として一九八〇年から六年間の研究生活を送り、いまは日韓両政府が主催する日韓歴史共同研究の一員でもある著者が、日本と朝鮮半島および大陸との関係を吟味・検証し、「別亜」としての日本文明圏を提唱する。

    [ 目次 ]
    第1章 多神教的世界観の勧め
    第2章 マルクスどもが夢のあと
    第3章 贖罪大国日本の崩壊
    第4章 日本文明圏の再考
    第5章 神々の復権
    第6章 別亜論とは何か
    第7章 和人たちの夏
    第8章 新しい神の国

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  PACIFIC SOCIETYの先生と文明論を交わしていた際、通読を進められ、非常に面白く読んだ。

     東アジア研究家でありながら、日本は、福沢諭吉の提唱した”脱亜入欧”しようにも、最初から東アジアにカテゴライズしていないこと、岡倉天心の”アジアは一つ”はまやかしで、今ある文明は、特異な変遷をして培ったもの、などと一蹴する。

    儒教や名家にのみ諳じられてきた”武士道”という変質儒教を笑い飛ばし、大陸からやってきた権威あるものをティーゼーションしてきたという。
    確かに儒教が国教でなくて本当に良かった。
    「自らと一族のみが良ければ」という国でなくて本当に良かった。

    ”東アジア共同体構想”なんてバカなことを言っている何処かのノーテンキな総理大臣が、我々国民を赤いギャングの餌食にする前に、一読をお奨めしたい。

    (東京都在住 40代 男性)

  • 僕の中での「笑える新書部門」トップです。

  • これも去年読んだ本です。タイトルだけ見ると一瞬何か極端な主張の本かと思いますが、確か中の目次を見た上で買った覚えが…。実のところこれも他の去年購入本同様、あまり覚えてないのですが、帯などを見ると、”日本は東アジアではなかった。覚醒する日本文明圏”とあるので、極東地域での日本の位置づけに対して考察・提唱する本だと思います。(全然参考にならない…。)

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著者プロフィール

1953年、横浜市生まれ。慶應義塾大学文学部史学科東洋史学専攻卒業、慶應義塾大学大学院文学研究科東洋史専攻修士課程修了。ソウル大学大学院国語教育科に留学。博士(法学)。韓国の延世大学・漢陽大学の日本語講師、下関市立大学経済学部専任講師、筑波大学社会科学系助教授を経て、2000年から筑波大学社会科学系教授を務め、2019年に退官。2003年から2005年には第1回日韓歴史共同研究委員会委員、2007年から2010年にも第2回日韓歴史共同研究委員会委員幹事を務めた。東洋政治思想史や東アジア文化論、韓国社会論、北朝鮮政治を専門にしながらも、西洋の哲学・思想をその独自の視座から読み解く著作も発表。著書に『悲しみに笑う韓国人』(ちくま文庫)、『東アジアの思想風景』(岩波書店。1999年度、サントリー学芸賞)、『東アジア・イデオロギーを超えて』(新書館。2004年度、読売・吉野作造賞)、『ヨーロッパ思想を読み解く』(ちくま新書)、『使える哲学』(ディスカバー・トゥエンティワン)ほか多数。

「2020年 『旧約聖書の政治史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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