貧困化するホワイトカラー (ちくま新書 781)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064899

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には、新しく得たことがあまりなかったように思うので☆2つ。

    また、ひたすらに経営側、政府側の姿勢を非難しているだけで、新たな働き方を示してはいるものの、その経済への影響などの考察がされていないように思う。

  • 2009年刊行。ホワイトカラー・エグゼプション制度、過労死判例などの各種判例、労働関連のデータが詳述されている。現代は、労働者だけでなく使用者も厳しい時代であるとは思うが、社会の連帯を保つには、利益を配分しながら(ワークシェアリング的なもの)、全体で痛み(損失)を分かち合うのが望ましいのではないか。また、ホワイトカラーの生産性は、勤務時間外に、仕事以外のことを考えたり経験したりすること、適度な安心感で向上する。いつも自分の仕事ばかり考えていること前提とするエグゼプション制度は誤りと思えるが、如何?

  • <内容>
    アメリカの事例と比較しながら、日本においては新自由主義とグローバル化の相乗効果によりホワイトカラーの働き方が劣悪化へと向かっていると警告を促している。

    そもそもの流れとして
    正規社員→非正規へとの移行と、非正規の正規社員化(業務内容だけ)
    正規社員→見なし管理職(実際には管理職に該当しないが、残業代を削るため)
    *労働基準監督署が機能しない事例(例:豊田など)

    過労死の実態などから、ホワイトカラーが働く環境が厳しさを増している事が明らかになる。

    <感想>
    アメリカの追い込まれるホワイトカラーとの比較は、面白かった。しかし日本における分析は、結構流布されているものでありあまり新鮮みが無かった。

  • 管理監督者にしろホワイトカラー・エグゼンプションにしろ企画型裁量労働制にろ、それぞれにふさわしい権限と報酬が与えられていればいいんですけどね・・・対象が年収400万以上という案ではなあ。タイトルと少しベクトルの違う女性差別に1章割かれているのは作者の思い入れでしょうか。

  • 本当のホワイトカラーはもう増えない。
    仕事が増え過ぎ。過労しすぎ。
    命に代わる仕事なんてないのだが。

  • 働く若者論的なものに興味が出始めたので、目についたものをちまちま読む→雇用問題についても興味が出始めたので読み始めているがもう範囲が広がりすぎてわけわからんかんじに。

    これまたおもしろかった。
    読んできた他の本と比べると割と硬めで、統計とか制度背景とか読み方も丁寧に解説してくれているかんじ。
    また読みたい。

  • リストラ、過労死、ホワイトカラー・エグゼンプション。
    正社員の地獄が生々しく描かれています。
    派遣社員も大変そうですが、正社員もゴールではない。
    人的資本を最大化するための新たな戦略が求められています。

  • 現・関西大学経済学部教授(株式会社論、企業社会論)の森岡孝二によるホワイトカラー労働者論。

    【構成】
    序 章 恐慌が壊れた雇用を直撃する
    第1章 悲しき中流階級-ホワイトカラーの原像
    第2章 しぼられるホワイトカラー
    第3章 このままでは仕事に殺される
    第4章 雇用差別に屈しない
    第5章 阻止されたホワイトカラー・エグゼンプション
    終 章 市場個人主義を超えて

    タイトルと構成が示すように、著者の狙いは不安定な雇用形態、長時間労働、賃金の切り下げを企業から強いられるホワイトカラー労働者の現状を明らかにするとともに、そのような労働状況を作り出している政府・企業の姿勢を批判的に論じるものである。

    通読して、特に目新しい主張があったわけではないが、様々な労働統計から数値を引いて議論に実証性をもたせようとする著者の姿勢は伝わってくる。また、長時間労働による過労死問題、男女雇用差別などでは、問題に無自覚な企業への鋭い批判を投げかけている。

    その反面、総論としてのホワイトカラーを論じるあまり表面的な数値にしか言及できていないようにも感じられる。例えば平均賃金の低下を論じるならば、労働人口全体の年齢の推移にも注意すべきであるし、ホワイトカラーでも若年と中年以上では労働時間も賃金も大きく差がついているのは明らかであろう。

    また、非正規雇用者の労働条件改善といった主張にも一理はあるが、しかし企業は中長期的には労働生産性を高めて国際競争に勝ち残っていかねばならないわけで、社内で行われる全ての業務に対して同等の賃金を支払うということは合理的とは思えない。さらに、そのような高い労働条件の確保が義務化が進めば進むほど、ますます正規雇用者の途が閉ざされてしまう可能性も高い。

    個人的には日本企業は、年功序列の終身雇用に新卒至上主義という保守的で硬直的な人事制度が色濃いために、正規社員の雇用流動性が低くなり、それに伴って企業への従属性が高くなり、正規社員の雇用を守らんがために、非正規雇用にかかる労務費を低く抑えなければならない構造的な問題を抱えている。

    本書のように従来から行われている主張を、統計上の数値で明らかにするだけではこの問題の本質に迫れないのではないか?

  • [ 内容 ]
    二〇〇八年から始まる恐慌のあおりを受けて、派遣社員の大量解雇など、雇用情勢は非常に悪化している。
    もはやホワイトカラーが勝ち組であるといった風潮は存在しない。
    非正規化、過重労働、成果主義といった圧力が重くのしかかり、ついには死に至ることもある。
    そのような日本のホワイトカラーの働き方・働かせ方に切り込み、その困難の背景と原因を探る。

    [ 目次 ]
    序章 恐慌が壊れた雇用を直撃する
    第1章 悲しき中流階級―ホワイトカラーの原像
    第2章 しぼられるホワイトカラー
    第3章 このままでは仕事に殺される
    第4章 雇用差別に屈しない
    第5章 阻止されたホワイトカラー・エグゼンプション
    終章 市場個人主義を超えて

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 毎度毎度の表現過剰。

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著者プロフィール

1944年3月24日 大分県大野郡大野町(現在・豊後大野市)に生れる
1962年4月 香川大学経済学部に入学
1966年3月 香川大学経済学部を卒業
1966年4月 京都大学大学院経済学研究科に入学
1969年9月 京都大学大学院経済学研究科博士課程を退学
1969年10月  大阪外国語大学助手、のち講師
1974年4月 関西大学経済学部講師
1983年4月 関西大学経済学部教授
1996年 2月 ~2014年 8月 株主オンブズマン代表
1998年 4月 ~2001年 3月 経済理論学会代表幹事
2004年10月 ~2006年 9月 関西大学経済学部長
2006年 9月~2013年 7月 働き方ネット大阪会長
2013年 7月~2018年 8月  NPO法人働き方ASU-NET代表理事
2014年3月 関西大学を退職
2015年 5月~2018年 6月 過労死防止学会代表幹事
2018年8月1日 死去

「2019年 『雇用身分社会の出現と労働時間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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