現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)

  • 筑摩書房
3.93
  • (470)
  • (636)
  • (437)
  • (59)
  • (11)
本棚登録 : 8373
感想 : 620
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065353

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久しぶりに漢文を読んだ気がする。学生の頃勉強したレ点、一二点、上下点の復習にもなったような。
    日本実業界の父と呼ばれ、2021年のNHK大河ドラマの主人公でもある渋沢栄一の本
    自分の考え・感じたこと等が書いてあるのだけどどれも非常に痛快な内容
    読むきっかけになったのはこの本を愛読している中日ドラゴンズの根尾くん。
    若いのに…賢いな…と。
    この本を書いた時代背景、約100年前と今この現代も通じるところがたくさんあって
    そうそう、そうなんだよねと頷く場面も多数あった
    本の中であ~これはそうだなと思ったところを抜粋。

    「わが国民性の感情の強いということについても、あまり讃辞を呈さなかった 。
    日本人は細事にもたちまちに激する 。しかしてまた、ただちに忘れる。
    つまり感情が急激であって 、反対にまた健忘性である」

    100年経っても先の大戦があり、経済成長があり、AIが出てきた便利な世の中になっても
    日本すごいとか日本素晴らしいとか言うけど
    細かいところ(というかどうでもいいところ)に激高したり
    その割にすぐ忘れたり、感情が豊かといえば聞こえはいいけど本当にそうなのか
    実際単なるヒステリックなだけの人が多いからなのではないか、とも思った。
    SNSも現実社会でも、そんなのばっかり…(と思っている

    「学ぶに暇あらずと謂う者は、暇ありと雖も亦学ぶこと能わず。」
    暇がないとか時間がないとか。皆、等しく24時間あるのに
    時間があっても何もやらない人はやらないし、時間がなくても何でもやる人はやる。
    因みにこれ学ぶという括りだけではなく、その他にも言えることだと思う
    例えばメールの1本でも連絡出来る時代なんだから、一言送ることだって数分で出来るんじゃないのか?とか。
    仕事でも言えることだなーとか

    で、来年の大河ドラマが楽しみ。

  • 渋沢栄一が、なぜ一万円札に大抜擢され、大河ドラマの主人公となっていたのかがよく分かった。その理由は渋沢の功績と人徳にある。

    「日本実業界の父」こと渋沢は、生涯で約480もの会社を設立し、日本経済の基盤を作ったことは言うまでもない。一方で晩年には社会事業にも力を入れ、困窮者の支援や商業学校の創設にも携わった。

    本書のタイトル「論語と算盤」は、仁義道徳を説く「論語」と、利益の最大化を目的とする資本主義の象徴とも言える「算盤」を両立させるという渋沢の信念から来ている。
    SDGs、CSRなどの企業にも社会課題の取り組みを求める昨今のトレンドを、100年以上前に実践していたとは感服する。

    特に印象に残ったのは、大河ドラマでも放映されていた、渋沢と岩崎弥太郎(三菱)の屋形船会談だ。渋沢は岩崎に2人で実業界を牛耳ろうと提案(富の独占)されたが、渋沢の信念は合本主義のため、これを怒って拒否。馴染みの芸者を引き連れて帰ってしまったという話だ。

    渋沢はその生涯を通して、財閥を形成しなかったことからも、私益より公益を追求して事業を行っていた信念が伺える。「論語」による道徳のもとで、経済活動(算盤)を行う。このような渋沢の一貫した姿勢が今、改めて尊敬を集め、評価されるに至っているのだろう。

  • 栗山監督が大谷翔平に薦めた本。現代語訳だったので読みやすかった。確かに参考になったかも。
    「人生は努力にある」「失敗したら知恵が足らなかったと思えばよい、また努力すればよい」

  • 婦人問題以外は一生を顧みて俯仰天地に恥じない

  • 今まで習ってきた道徳に比べて、大きく異なる内容は少ないが、以下の内容が面白いと感じた部分。

    ●「経済活動」と「富と地位」に関する孔子の考えの解釈
    「人間であるからには、だれでも富や地位のある生活を手に入れたいと思う。だが、まっとうな生き方をして手に入れたものでないなら、しがみつくべきではない。逆に貧賤な生活は、誰しも嫌うところだ。だが、まっとうな生き方をして落ち込んだものでないなら、無理に這い上がろうとしてはならない」
    ⇒道理を伴った富や地位でないのなら、まだ貧賤でいる方がましだ。しかし、もし正しい道理を踏んで富や地位を手にしたのなら何も問題ない。(P92)
    ⇒武士道に当てはまる教え。
     もし社会で身を立てようと志すなら、身分など気にせずに最後まで自力を貫いて、人としての道から少しも背かないように気持ちを集中させることだ。
     そのうえで、自分が豊かになって力を蓄えるための知恵を駆使していくのが、本当の人間の意義ある生活、価値ある生活といえるだろう。(P167~169)

    ・まっとうな生き方によって得られるならば、どんな賤しい仕事についても金儲けをせよ。しかし、まっとうではない手段をとるくらいなら、むしろ貧賤でいなさい。

    ●競争の道徳
    どんな仕事にも関わらず、商売には絶えざる自己開発が必要なのだ。
    気配りも続けなければならない。
    進歩はあくまでしていかなければならないが、それと同時に悪意の競争をしてはならないことを、強く心に留めておかなければならない。

  • 【星:3.5】
    読んでいて退屈を感じるのだが、ためになることがたくさん書いてある本であった。

    言わずと知れた日本資本主義の父である渋澤栄一の名言集というテイスト。

    ビジネスにおける「道徳(論語)」と「利潤追求(算盤)」のバランスの重要性を説いているのだと思う。そして、ビジネスにおいてとかく軽視されがちな「道徳(論語)」の必要性を訴えている。

    資本主義が成熟してきた現代であれば、このような主張は比較的当たり前なのであるが、資本主義が産声をあげたばかりの当時にこのような主張をしているのはさすが日本資本主義の父である。
    そして、その主張は今でこそ当たり前となったが、それでも忘れがちになる重要事項である。

    ただ、当たり前のことが述べられている感じもあり、読んでいて退屈感が強かったのも事実。

  • 政治家の道を歩んでいたが実業家になることを志し始めた人だということを初めて知った。
    仕事において、趣味のように自分なりに研究しながらでなければただいわれたことをやるだけの人になってしまうという文を見て、自分の日常でも何事も自分ができることを付け加えて考えるようにしようと思った。

  • 道徳を学べ、という渋沢の一貫した言葉に説得力のある内容、生涯だったように感じた。

    論語の内容も、それに対する渋沢の解釈も、現代に通ずるところがたくさんあり、納得した。人間の根本、他者との関わり、心というのは昔から変わっていないのだなと感じた。

    渋沢が何人もいたら日本の歴史は変わっていただろうと思った。

  • 20210212よみはじめ
    0215読了。

    昨日から大河ドラマの主役。
    著者も交えての読書会に参加しました。

    道徳を大事にし、学び470社あまりもの会社設立や社会貢献をした渋沢栄一さんの晩年の考え方が書いてある本。

    論語には良い点といかがなものかと思われる点もあるらしいです。
    そして、まだまだやれると思ってらしたって話も、すごいなと思いました。

    仕事でわくわくできるかな?

    小さな志をたててみようかな。
    本をたくさん読むならたてられる?

  • 渋沢栄一様の論語と算盤を読んで感じたことをあげます。

    ・仕事で成功を収める上で、大事なことは利益を追求するだけではなく、道理と事実も大事にすべきであること。

    ・親を大事にする人は、人の話を素直に聞くことが出来る。

    ・常に未来に繋がることを考えて、利に繋がる事を考え行動し続けている。

    ・道徳に反して利に敵わない。

    他にも多数の名言があり、この投稿についても編集すると思う。未だ一回しか読了できてないが、何度も読んでみたいと思える本であり、道徳心の重要性を学ぶには最高の一冊だと感じる

  • 【本書の主張】
    経済と道徳は両立し得る。
    道義を伴った利益を追求し、自分より他人を優先し、公益を第一にしろ。
    仁義的に優れた経営をすることは、巡り巡って富を生む。

    経済活動は、仁義や道徳に基づいていなければ決して長続きしない。これは「欲を捨てて薄利で満足しなさい」ということではない。
    孔子は決して、進んで貧乏せよと言っているのではなかった。正しい道を歩んで得た金や名声や地位ならば、孔子もまた自分から進んで手に入れようと考えたのだ。


    「己を知る」
    →自分の身の丈を知る。また、何事も誠実さを基準にし、感情が振り切れないようにバランスを取る。

    物質文明が進んだ結果、精神が退歩した。富の増大と共に精神の向上を進めなければならない。

    些細なことを粗末にするような大雑把な人では、大きなことを成功させることはできない。

    「常識」の3要素
    「智・情・意」
    智…知恵。物事の善悪やプラスマイナス面を見抜く力。
    情…情け。情愛、感情を持つこと。
    意…動きやすい情をコントロールすること。

    この3つがあって、常識のある人と言える。

    自分を磨こうとする者は、決して極端に走らず、中庸を失わず、常に穏やかな志をもって進むことだ。自分を磨くこととは、現実の中での努力と勤勉によって、知恵や道徳を完璧にしていくことだ。知恵や知識だけでなく、精神力も鍛えねばならない。

    人格を磨くためには、
    1 良心的であること
    2 信頼されること
    3 親や年長者をうやまうこと

    一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべきだ。

    昔の人間は、自分を向上させるために学問をした。今の人間は、ただ学問のための学問をしている。これだという目的がなく、何となく学問をした結果、社会に出てから「自分はなんのために学問をしてきたのか」という思いに駆られている。
    だから、自らの経済力に応じてそれぞれの専門教育に飛び込み、実際に役立つ技術を習得すべきなのだ。


    【感想】
    論語と算盤を読んで


    日本資本主義の父、渋沢栄一は、孔子の「論語」をもとにして経済と徳のあり方を述べている。

    その1つ目は、「経済と道徳の両立が大切である」ということだ。
    渋沢は江戸時代末期に生まれ、大政奉還や明治維新という激動の時代を経験した。
    彼が生まれる前の日本においては、商業は農業と同じく「賤職」であり、金もうけは「貧しさを誇りとする武士道精神」に反するものと考えられていた。
    しかし、日本が外国と貿易を行うようになり、国内の産業と経済が発展していくにつれ、
    「行き過ぎた資本主義」が発生するようになる。目先の利益を追求し、とにかく私腹を肥やすことしか考えない商人が大勢あらわれる。外国人商人の間でも、「日本人は金もうけのことしか頭にない」と言われる始末であった。

    当時の商人の価値観は、江戸時代中期までは「徳100金もうけ0」であり、その後「徳0金もうけ100」の状態にシフトする。この両極端の最前線を見てきたのが他ならぬ渋沢であった。
    渋沢はこの行き過ぎた資本主義を問題視し、「徳と金もうけを両立した行動をしなさい」と提言したのである。

    全員が私利私欲のまま金もうけを追求するようでは、社会全体が立ち行かなくなる。
    かといって、徳だけを重視し利潤を追求しないようでは、経済と国が発展しない。
    この2つのバランスを上手く取ることが、全ての人々の発展につながるのだ。

    渋沢が述べた大切なことの2つ目は、「一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべき」というものである。
    渋沢は、「本当の利殖は、仁義や道徳に基づいていなければ決して長続きしない」と述べている。
    自分さえよければいいという考えで利益を追い求めたら、国の衰退の原因になってしまうが、個人が金もうけをすることも当然必要である。それならば、「一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべきだ」。
    社会全体を良くする仕事というものは、短期的には自分の儲けは少ないものの、長期的には自分を含めた社会の構成員全体の利益を生み出すからである。

    また、渋沢は徳を重視した教育の必要性も説いている。
    江戸時代までの教育制度は、知識よりも「仁義」を重んじる教えであった。
    しかし普通教育が一般的になるにつれ、必須とされる学びの量が増えたため、「知識偏重」型の教育に変わり、「仁義」はおざなりにされてしまう。
    これから日本を担う若者のためにも、「徳」を重視した教育が、経済と同様に必要なのである。


    この本の素晴らしいところは、発売されてから100年が経った今でも、内容が色あせないことである。
    2000年代において、IT企業における不正経理や粉飾決算によって、リーマンショックなどの世界的な恐慌が発生する。その原因は企業の行き過ぎた利潤追求であった。
    そしてこの結果、企業のあり方が「徳」を重視したものに変わっていく。
    各社内で倫理委員会を設置したり、コンプライアンスに対する徹底的な内部監査に取り組むようになった例もあれば、SDGsという社会の理想像を、企業のビジョンに反映させる取り組みも、世界規模で行われるようになった。

    人々は、「論語と算盤」から100年経ち、「公平誠実にビジネスを行うことが、企業の利潤を最大化し、地球そのものも幸せにする」ことを理解したのである。

    渋沢は、現代ビジネスの理想像を明治時代から見抜いていたのだ。

  • 読んでないやつとは関わりたく無いとあの人にまで言わしめたと噂されているとかいないとか

    月1で読みたい本No.1 清水建設の社是っぽい本No.1
     ちなみに東建の社是は 「正義 友愛 前進」
     前進しか行動されていない

    角川文庫の方もチラッと読んだけど、心折れそうだったので、ここにしました

    視観察 智情意

  • 非常に感銘をうけた。1916年というと大正5年。渋沢栄一が76歳で著したということになる。長い人生を生きてきた人物の言うことは重みがある。という簡単なものではなく、強い志に従って生きてきたからこそ、この説得力なのだろう。現代とは感覚が違う部分もなくはないが、彼が伝えようとしている「人は誠実にひたすら努力し、自分の運命を切り開いていくのがよい」失敗したら「自分の智力が及ばなかった」とあきらめ、成功したら「知恵がうまくいかせた」と思えばよい。成功したにしろ失敗したにしろお天道様にまかせることだ。失敗してもあくまで勉強を続けていればいつかまた幸運にめぐまれる時が来る。
    成功や失敗といった価値観から抜け出して超然と自立し、正しい行為の道筋に沿って行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯をおくることができる。成功など、人としてなすべきことを果たした結果うまれるカスにすぎない以上、気にすることなどまったくない。
    こういった言葉がこころにしみた。

  • 現代日本の価値観を作り上げた大人物。
    お金を誠心誠意稼ぐ事は悪ではなくむしろ善である事。
    男女平等、女子教育の大切さ。均質的な教育の危険性の指摘など100年前に見抜いているのが凄い。
    読み辛さはあるが内容は素晴らしい

  • 尊敬する経営者のひとり。いつか子どもに読ませたい。
    幕末のヒトは腹の座りかたも違うんだろうな。

  • 急速に変化している社会においても、その本質はどうであるべきかが分かる。道徳心や倫理観を失わないこと、その教育の必要性を考えさせられた。

  • 今年は渋沢栄一に触れようと思って。いつか読もう

  • 渋沢栄一が語っているのはかなり昔の事なのに、今の日本人にも響くことばかりで、「今"渋沢栄一"という原点に帰ることに大きな意味がある」この言葉の意味がよくわかった。

    論語を軸にした渋沢栄一の人生観は、自分にも刺さる事がいくつもあった。仕事でも人間関係でも、道徳心無しでは正しい道は進めないといった内容が印象的だった。

  • 通読するのは初めて(といっても、守屋淳による現代語訳で読んだのだが……)。

    元は講演録なのだそうで、意外にわかりやすい。勝海舟の『氷川清話』に近いような、講談的な面白さ。体系的な著作というより訓話集である。

    けっこう話があちこちに飛んだり、くり返しも多かったりするのは、講演ベースの本ならでは。

    それはそれとして、古びていないどころか、21世紀のいまこそ光彩を放つ内容なのは驚きだ。
    渋沢が『論語』の独創的読み解きから生み出した「道徳経済合一説」は、いまでいう「ステークホルダー資本主義」の源流である。

  • 何度も何度も繰り返し
    書かれて心に残っていること

    •生涯学び続けなさいということ
    •常に正しい道を選びなさい
    (不正で得たものは何の意味もない)
    •正しい道がどちらかは学ばないと分からない
    •自分を磨くこと
    そして家族を助け、仲間を助け
    組織を助け、国を助けなさい

    そして渋沢栄一さんが
    本当に博学な人なんだなと感じた1冊でした

    まずは自分を磨くそんな時期の私ですが
    自分を高めたら周りの人を会社を国を
    どうしたら豊かにできるか考えられる人に
    ならないとなと感じました

    ありがとうございました。

全620件中 21 - 40件を表示

著者プロフィール

渋沢栄一:1840(天保11)年2月13日、現在の埼玉県深谷市血洗島の豪農に生まれる。幕末はのちの将軍・徳川慶喜に仕え、家政の改善などに実力を発揮し、次第に認められる。 27歳のとき、慶喜の実弟・昭武に随行し、パリの万国博覧会を見学するほか、欧州諸国の実情を見聞し、先進諸国の社会の内情に広く通ずることとなった。帰国後は「商法会所」を静岡に設立。その後、明治政府に招かれ、のちの大蔵省の一員として国づくりに深くかかわる。1873(明治6)年に大蔵省を辞した後は一民間経済人として活動。第一国立銀行の総監役(後に頭取)として、同行を拠点に、株式会社組織による企業の創設・育成に力を入れた。また、「論語と算盤」として知られる「道徳経済合一説」を説き続け、生涯に約500もの企業にかかわった。さらに、約600の教育機関・社会公共事業の支援や民間外交に尽力。実業家のなかでは最高位となる子爵を授爵する。1931(昭和6)年11月11日、多くの人々に惜しまれながら、91歳の生涯を閉じた。

「2024年 『渋沢栄一 運命を切り拓く言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渋沢栄一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
阿部 紘久
デールカーネギ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×