実践!交渉学 いかに合意形成を図るか (ちくま新書 839)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065421

作品紹介・あらすじ

二人以上の人間が、未来のことがらについて、話し合いで取り決めを交わすこと-「交渉」をそう定義するなら、身の回りの問題から国際関係まで、使われる場面はとても多い。本書が扱う「交渉学」とは分野にしばられず、交渉にあたってのフレームワークを築き、当事者全員にメリットが出ることを目指すものだ。小手先のテクニックに終始しない、その基本的考え方と方法、そして社会的意義をわかりやすく解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 環境研 林先生のブログで紹介されていた本。
    後段の「科学技術と社会的合意」で、平行線で合意点の見えない問題について前進させるための「共同事実確認」というプロセスがあるということは大変参考になった。
    ただ、強烈な主張をする団体は往々にしてそういう場を設定してもでてこないこともありそうなので、場に出て来てもらうための知恵も必要かと。

  • 交渉とは利害調整であり、単一取引材料の配分型交渉から、複数取引材料の統合型交渉で進めることで円滑に交渉が進む、と言う考え方は当たり前かもしれないが、とても重要なことだと感じた。
    取引先との交渉であれば2社のみだが、社内の交渉となるとマルチステークホルダーになるため、ステークホルダーが誰かを事前に把握しておいて、必ず交渉に巻き込むこと。

  • こんな研究領域があったことを初めて認識しました。面白かった。

  • 合意形成、交渉、というキーワードに興味があり、手に取った。
    本書を読む前に、より砕けた軽い内容でハーバード流交渉術を紹介している『ふしぎとうまくいく交渉力のヒント』という本を読んでおり、いい順番で読んだな、と思った。
    ざっくりとでもこの交渉術についての知識を持ってから読んだ方がより理解が深まるような内容になっていて、何も知らない状態でまず本書を読むと、途中で挫折したかもなあ、と思う。
    新書であるし、一般の人間にもわかりやすく書かれているのだけれど、やはり、BATNA、ZOPAをすっと理解するのはなかなか難しい気がする。

    本書では交渉の「術」ではなく、「学」をテーマにしている、ということもあって、交渉のテクニックというよりは、交渉とは社会の中でどういう意味を持ち、どうあるべきか、ということも語られていて、単純なビジネスや商取引での交渉だけでなく、社会的な問題での交渉についても説明されている。
    テクニックや考え方にだけ興味がある人間にとっては不要な情報かもしれないけれど、ひとつの社会の見方だな、と感じた。
    刊行されたのは10年以上前だけれど、現在でも十分に参考になると思った。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00172253

  • 通り一辺倒の内容に思えた。
    合意形成論については、役に立つ知識もあったと思うが。

  • 「交渉」と「説得」の違い、また「交渉」とは何を扱うのかを知れたのが一番大きいかもしれない
    科学にまつわるNPO法人に所属しているので、社会的な合意形成と共同事実確認のセクションは特に為になった

  • 「交渉学は、当事者全員にメリットがある解決策をみつける手助けをする、自分が幸せになるだけでなく、交渉相手も幸せにする、交渉相手が不幸になるのであればその交渉は失敗」とういう立場で書かれているので、ビジネスの分野で相手より少しでも利益を絞り出そうと「交渉術」を学びたいと思っている人には不向き。
    1から2章で、BATNA、ZOPA、パレート最適、交渉マトリックス、価値分析、勝者の呪い等の概念が学べる。
    3章以降が、著者がこの本で本当に書きたかったことと思われる。新自由主義時代における「Win/Win」に隠された問題、熟議型民主主義、弁護科学の問題等、社会的合意形成のあり方等、格調高い内容が語られている。参考になります。
    交渉学については。まず「ハーバード流交渉術」のようです。

  • 交渉術ではなく交渉学なんだ、という著者の矜持が面白い。
    その意味で、一般的に言われている前半ではなく、「学」を前面に押し出した後半にこそ本書の真価がある。

  • より体系立った交渉学の理解。

    ・交渉は準備次第
    1.自分及び相手の「利害」を知る
    2.自分及び相手の「BATNA(不調停時代替案:引き際)」を知る
    3.比較をする
    →バーター取引の想定
    →ZOPA(合意可能領域)の有無
    →BATNAの改善

    ・二段階の交渉
    →価値生産:制約条件から、パレート最適を探り、超最適を目指す
    →価値分割:BATNAではなく、より良い条件を探る

    ・論点つぶし(個別の配分型交渉)ではなく、パッケージ(統合型交渉)

    ・モニタリング、執行メカニズムを考慮。

    マルチ・ステークホルダー交渉
    ステークホルダー:自分の行動に影響を与えうる人たちと、自分の行動が影響を与えうる人たち

    ステークホルダー分析:ステークホルダーの特定、議論への巻き込み

    ・「社会運動」から「交渉」への転換
    →お互いに納得できる論点を見出す。

    社会的合意形成
    ・アジェンダ・セッティングとしての社会運動
    ・ステークホルダー権獲得のための社会運動

    ・共同事実確認による弁護科学の対立の解消

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著者プロフィール

松浦 正浩 編著
明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)専任教授。マサチューセッツ工科大学 Ph.D. (Urban and Regional Planning)およびMaster of City Planning。都市、環境、科学技術等に関する交渉による合意形成と、持続可能な社会への転換を加速するトランジション・マネジメントについて、現場での実践を重視した研究を行っている。

「2022年 『サステナビリティ・トランジションと人づくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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