公務員革命: 彼らの〈やる気〉が地域社会を変える (ちくま新書 926)

著者 :
  • 筑摩書房
3.64
  • (11)
  • (35)
  • (29)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 244
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066329

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 公務員の「休まず、遅れず、働かず」な体質を批判しつつ、公務員でもうまく動機づければ自発的に凄い仕事をするという実例をいくつも載せている本。著者によれば、「ヤル気=<自律><承認><夢>」ということらしい。あまりにもノーテンキすぎて眩暈のしそうな「ヤル気の公式」を作る人は山のようにいるけれど、その公式の中に「承認」が入っていることは珍しいので、メモしておきたいと思った。今の世の中、何をやっても怒られるかダメ出しされるだけで、褒めらることはないからねぇ…。

  • [ 内容 ]
    財政難にあえぐ地方自治体。
    住民サービスの質を維持するためには、公務員が受け身の姿勢ではままならない。
    これからの時代、地域社会が元気であるかどうかは、すべて公務員の“やる気”にかかっている。
    その数およそ三五〇万人。
    この巨大な人的資源を活用するためには、いたずらにバッシングするのではなく、彼らのモチベーションを改善して積極性を引き出すべきだ。
    本書では、財源も役職も不要の、「スーパー地方公務員」の育て方を考え、地域社会が豊かになる方途を描く。

    [ 目次 ]
    第1章 “やる気”を奪った「ポピュリズム型」公務員改革(水面下でむしばまれる“やる気”;管理主義のワナ)
    第2章 “やる気”に火をつけるものは何か?(やる気の天井;モチベーションの質が問われる時代に ほか)
    第3章 「公僕」から「主役」へ(僕のやる気と、主のやる気;「超やる気」の源は“自律”“承認”“夢” ほか)
    第4章 「外部資源」活用で、やる気の天井を破れ!(外部資源で動機づけるという戦略;役所の外でも認められる機会を ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 筆者の論点は公務員のポテンシャルを高く評価した
    うえで、内部資源に基づく報酬ではなく、外部によるモチベーション換気するよう指摘している。

    近年の待遇悪化→外部動機→自律、承認、夢

    役所の無謬性が硬直化の要因とする。

  •  「公務員革命」というタイトルから、公務員を目指している人や現在公務員として働いている人が多く読みそうだが、公務員なんてクソ食らえ!と思っている人にこそ読んでほしいと思った。
     公務員って、わりと褒めると伸びるタイプの集まりだと思うんですよ。公務員のやる気、引き出していきましょうよ。

  • 公務員のモチベーション等について組織論の研究者が記した一冊。公務員という人的資源を活用するためには、批判ばかりでなく、モチベーション改善を行うこと、そして、公務員が「やる気」になることが、地域を良くするというの納得。そのやる気のためには、「自律」「承認」「夢」といいキーワードも理解できる。公務員にスポットをあてた組織論として、とても参考になる。

  • 組織論を専攻し、これまでも企業におけるモチベーションなどに関して複数の著書を持つ研究者による良書。

    本書における著者の主張は明快で、
    「公務員には地域社会をよりよくする可能性があるのに、
    マネジメントがまずいために彼らのやる気は奪われている」
    というもの。
    過剰な管理主義により、公務員を身も心も“公僕”にしてしまうのではなく、
    “主役”としてのやる気を引き出すためにはどんな方策が考えられるのかということが論じられている。

    私自身も公務員への就職を目指す身なので、他人事ではないなということを思いながら読んだ。

    誰かのレビューにある通り、
    『公務員革命』というタイトルは少し読了後の印象とのズレがあり、
    商業的な意図が強い気がする。
    とはいえ役所の中で立場ある方がこの書籍を見つけ、
    役所一丸となって人事制度・マネジメントの改革に本気で取り組んだならば、
    地域に良い変化がきっと起こるのだろうと、信じたくなる作品でした。

  • 本書では、現行の地方自治体の人事制度の問題点を挙げ、どうすれば自治体職員の士気が上がる制度になるか、ということについて論じている。現行の人事制度は、個人を組織の中で管理する制度であるので、地域にとってプラスになる行為であっても、組織の行動原理から外れた行為を、職員が取りづらくなり、職員の士気が頭打ちになる制度であると指摘している。その上で、筆者は職員の「やる気」を生かすためには、職員個人の仕事の範囲を明確にすること、仕事のプロセスよりも成果を管理すること、職員個人の仕事に自律性を持たせることをすべきであると主張している。
    筆者の主張は理解できるが、筆者の提案の実現可能性には疑問がある。例えば、我が国は集団で仕事を行うことが多いので、個人の仕事の範囲を明確にできるかどうかという問題がある。さらには、筆者が主張する「あいまいな」人事制度は、確かにやる気のある職員にとってはいいかもしれない。しかし、やる気のない職員が、仕事をしなくなるのではないか。
    いろいろ述べたが、公務員の人事制度の問題点が、分かりやすくまとめられている点は評価できる。

  • 経営学の観点から、公務員についてとても示唆に富み、分かりやすく説明している。今、自分の周りの例からも、これまで研究等で接した例からもとても納得出来る内容。

  •  本業での自分の立ち位置を確認するように読んだ一冊。「もっともっとできるだろ」と思ってしまった。
     ネタばれになってしまうが、筆者は、モチベーションの源泉を<自律><承認><夢>だと分析している。分からなくもない。自分が生まれ育ったまちがもっともっとイキイキとしたまちにしていきたいと思うし、被災地支援活動をきっかけとして動き出した地域間交流プロジェクトを通して、様々な地域との橋渡し役になっていきたいと思うようになって、実際にアクションを起こしている。<夢>は実現するためのものであり、そのためのアクションは社会的なバックグラウンドを超えて、様々な方々とのコラボレーションによって、共通の<夢>となり、実現できていけるのだと思う。
     もし、<夢>の実現のために「公務員」という職業が足かせとなっているのなら、自分なら組織を改革しようとは思わず、組織を離れようと思う。正直、そこに力を注ぐよりかは、<夢>の実現のためにアクティブに動きたい。組織が大きいければ大きいほど、「組織」というのは改革しようとしてよくなっていくのではなく、世の中の「潮流」に押されるようにして変わっていくものだと思うからだ。
     東京は生ぬるい。もっとガツガツいかなけれならないなと思った。

  • 経営学者である著者が経営学の観点から、公務員マネジメントや動機付けについて論じている。公務員を取り巻く厳しい世間の目、公務員制度改革で厳しくなった管理の中で、低くなった「やる気の天井」をどう突き破るか。やる気を出す方法について述べている。

著者プロフィール

同志社大学政策学部教授

「2022年 『何もしないほうが得な日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太田肇の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×