北朝鮮と中国: 打算でつながる同盟国は衝突するか (ちくま新書 979)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066831

作品紹介・あらすじ

北朝鮮にとって中国は、食糧・エネルギー・貿易・技術・安全保障すべてにおいて国家存続の生命線。中国にとって北朝鮮は、地政学上重要な緩衝地帯であり、豊富な地下資源など、"埋蔵利権"の宝庫である。一心同体に見える両国だが、実際は恐れ、警戒し合っている。その熾烈な駆け引きの背景にある互いの思惑を、緊張と協力の歴史とともに分析。さらに、核開発やミサイル問題、日本最大の懸案である拉致被害者の帰国問題、北朝鮮混乱・崩壊時の米中の予測まで。極東アジアの今後を左右する中朝関係の行方を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 「(金正恩は)1996年から2001年までスイスのベルンにある学校にパク・ウンという偽名で通ったと伝えられている。同級生によるとバスケットボールや、映画、コンピュータに関心を持っていたという。(p203)」

  • 中朝関係のみならず北朝鮮内政やら中国外交やら日朝関係やら、出版された2012年当時に話題の事項を総花的に詰め込んでおり、相互に矛盾しているのではという記述もある。が、好きな箇所だけつまみ食いしてもいいし、一通り読めば一定の満足感はあるので、新書としてはいい。

    出版当時は金正恩が改革に乗り出すとの期待が世間にあり、本書でもそれが滲んでいるが、今やその期待はだいぶ褪せているのだろう。また、中国が北朝鮮の非核化よりも体制の安定を優先させることへの評価は色々あるだろうが、体制不安定化のリスクは中国のみならず日本も含めた関係国全てに降りかかってくることもまた一方では否定できないだろう。

    書名である中朝関係に絞れば、本書のポイントは備忘的に以下のとおり。
    ・中国は公開の場では北朝鮮への批判は控え目、二国間の場で働きかけることで北朝鮮の面子も立てる
    ・現在の中国世論は北朝鮮に冷淡、中国当局も北朝鮮をかばう度合いを弱めている
    ・2000年代末期から両国の貿易と投資関係は活発化、北朝鮮経済の強化、経済を通じた北朝鮮コントロール、北朝鮮の資源が狙い
    ・北朝鮮の方も92年の中韓国交樹立に端を発し対中不信

  • 現代における北朝鮮と中国の外交・経済・軍事的な関係性について
    記した一冊だが、論点が多岐にわたりすぎやや散漫な印象を受けた。
    関連性というよりは、それぞれの国の政治情勢について
    ページを多く割き、そこから関連を補足するような書かれ方が多い。
    また題名には無いがアメリカの立ち位置についても
    かなりのページを割いている。

  • 北朝鮮と中国との関係を冷静に見つめた本だと思います。中国が北朝鮮に対してほとほと手を焼いているというのは結構知られていることだと思いますが、長年の取材経験などから語られるとやはり説得力を感じます。著者自身がしっかりと取材をして記事を書かれる方なのでしょう。内容には突飛なところもなければ、驚かされるようなところもあまりありません。そこが物足りないと感じられるかも知れません。

  • 北朝鮮が挑発行為に出ると、決まって中国が火消し役として期待される。
    北朝鮮に対する中国の投資は主に製造業、サービス業、インフラなどの領域に集中しており、北朝鮮の経済をよみがえらせる役割を果たしている。
    北朝鮮でアラブの春のようなことが起こるのは考えにくい。

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著者プロフィール

五味洋治:1958年長野県生まれ。82年早稲田大学第一文学部卒業。83年東京新聞(中日新聞東京本社)入社、政治部などを経て97年韓国延世大学校に語学留学。99~2002年ソウル支局、03~06年中国総局勤務。08~09年、フルブライト交換留学生として米ジョージタウン大学に客員研究員として在籍。現在、論説委員。主に朝鮮半島問題を取材。著書に『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』(創元社)、『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋)、『父・金正日と私 金正男独占告白』(文春文庫)、『女が動かす北朝鮮 金王朝三代「大奥」秘録』(文春新書)などがある。

「2021年 『金正恩が表舞台から消える日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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