人生を〈半分〉降りる: 哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫 な 27-4)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424129

感想・レビュー・書評

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  • マイノリティの視点。生きるという自由選択。

  • 【読み易さ】
     やや難しい
    【気付き】
     ★★★・・
    【ハマり】
     ★★★★・
    【共感度】
     ★★★★・

    半分降りるというのは、
    人付き合いに気を使わず、自分本位に生きるという事。

    繊細であり、批判的かつ懐疑的な精神を持ち、
    自己中心的であり、世間に妥協しないという
    著者の考える生き方にとても共感できた。

    50歳までの折り返しを少しすぎた程度の自分にとっては、
    半分降りるにはまだ早いのかもしれないし、
    人間いつ死ぬともしれないからこそ、
    すぐにでも実践すべきなのかもしれない。

  • 生きにくい人(自分ですが...)が何とか生きていくための知識が詰まった本でした。図書館で借りましたが、購入して手元に置いておきたいと思います。

  • 意識していないと人生の大半を占めることになる、つまらない義理を果たすためだけの時間、あるいは社会における与えられた役割を演じるためだけの時間を減らし、残りわずかな生存時間をできるだけ自分自身のために使いましょう、という趣旨の本。エッセイ風にまとめられた本であるが、著者は哲学者ということで、内容はすこぶる哲学的。また、著者本人を含めた日本の哲学者批判の鋭い舌鋒が、本書のいたる所で冴えわたっている。(どうでもいいけど、他人によるスキャンダラスな身内批判は、それが他人事である限り、読んでいてウキウキするね)

    さて、上記の目的を達成するための極端な方法として、「出家」や「出奔」、あるいは「自殺」などが考えられるが、本書ではそれらの方法を潔しとしない。もっと普通の人が普通に実行できる方法として、本書では「半隠遁」を薦めている。ここで「半隠遁」とは、皆と同じようにしがらみに囚われた社会生活を送っているフリをしつつ、実際には片足だけ社会性を踏み外して、自分の好きなように生きることである。そして、「半隠遁」を実現したい読者に向けて、「繊細な精神」「批判精神」「懐疑精神」を持つことや、「自己中心主義」「世間と妥協しないこと」「不幸を自覚すること」の重要性を説明する。
    もっとも、「半隠遁」を必要としている日本人は、著者の見立てでは人口の0.1%(すなわち10万人強)しかいないそうである。私がその中に入っているのかどうか気になるところであるが、それはさておき、「半隠遁」という言葉が含むメッセージはとても強力で魅力的だと感じる。誰だって「隠遁」できるものなら「隠遁」したいだろうけど、そんな勇気はないし、リスクも取れたものではない。だけど「半隠遁」なら今の生活を捨てずに済む。著者は哲学者なので難しく考えて説明しているけど、実際はもっと単純で簡単なことなのかも知れない。

  • ●あなたはまもなく死んでしまう
    ●生きることをやめる土壇場になって
    生きることをはじめるのでは、時すでに遅しではないか
    ー 日常生活から目を離してはならない. @追憶のハべル(作家)とケイト(原子力反対)

  • 中島義道先生の本は「哲学の教科書」に続いて2冊目。
    というか学生時代に哲学の教科書と同時に買ってたままこちらだけ読んでなくて、
    最近やっと引っ張り出してきて読みました。


    ~あなたはまもなく死んでしまう~


    こう題されたプロローグから始まる本書。
    やがて訪れる確実な死、というのは哲学における(いや本当はすべての人にとっての)主題な訳ですが、
    この言葉に特に意味を感じない人が読んでも全く面白くない本だと思います。

    というか著者本人が本書の中で言っているとおり、
    大半の人にとっては何の価値もないことが書かれてております。

    自分は昔から「世間」や「社会」に対する原因不明の違和感を感じる方で、
    その原因の部分との向き合い方にとても苦労している(と自分では思っている)こともあり、
    この本で先生が言っている生き方に魅力を感じる部分もあります。

    ただ、まぁ人生を「半分も」降りてしまうというのはけっこう大変なことだとも思います。
    まだまだ社会と向き合いつつ人生過ごしたい欲というか、
    そういう悪あがきをするつもりもまだまだあります。

    だから、まだ、いいや。

    この本は自分の中では大切な1冊になっていくと思う。
    10年後にでももう1回読んでみよう。
    その時には4分の1ぐらいは降りてみるのも悪くない、
    とかそんなことも考えてるかも知れないよね。
    とかね、考えながらビールを飲みつつ書いていることの楽しさ、ね。

  • 最高。

  • ちきりんさん 人生の書ということで購入。哲学書らしく内容は難しい。今の自分には難しかった(>_<)

  • 突然過酷な状況に突き落とされた時、面倒くさい付き合いの場への参加や気の合わない人達との付き合いを辞めることで、生きていくのが若干楽になった。私が生きていく上でのテーマは「半隠遁」としようと決めた。

  • ・生きることをやめる土壇場になって、生きることを始めるのでは、時すでに遅しではないか
     その適当な年令とは、人生にひと通りの勝負がつき、自分の天職(のなさ)と能力(のなさ)を悟った時、すなわち昔でしたら老人式である「四十の賀」を迎えるころ、現今では50歳前後ではないでしょうか
    ・自分個人の「死」の重みがそれほどでもない人がこの世の中にはいるらしいのです。
    ・ぜひ残りの人生を半分だけ降りて、自分の人生の形を作ることにいそしんでもらいたいのです。つまり半分は社会的に生きてごまかしを続ける。しかし、残りの半分は、決して妥協せずに自分の内部の声を聞き分ける。自分は一体何をしたいのか、自分にとって何が最も重要な問題なのか、追求し続ける。

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著者プロフィール

1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社), 『てってい的にキルケゴール その一 絶望ってなんだ』, 『てってい的にキルケゴール その二 私が私であることの深淵に絶望』(ぷねうま舎)など.

「2023年 『その3 本気で、つまずくということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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