カメラを持った前座さん (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430779

感想・レビュー・書評

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  • まさに「決定的瞬間ならぬ演芸的瞬間」! 時間調整のために入った本屋さんで、たまたま手にとりパラパラめくったが最後、そのままレジへ直行。よっぽどのことがないと、ふだん写真集は買わないんだけどなァ……。

    ここで被写体となっている噺家の姿から伝わってくるのは、落語が、〝没入〟と〝俯瞰〟のギリギリの均衡の上に初めて成立する至芸であるということ。その所作は即興などではなく、練って練って、練り上げられてできたカタチなのだというのが手に取るようにわかる。その意味でも、オフショットではなく、高座での写真が多いのもうれしい。木之下晃が撮影した演奏家の写真からそのひとの音がきこえてくるように、橘蓮二というひとの写真からもまた、たしかに、そのひとの声がきこえてくるからだ。

    「橘蓮二は十八年前、演芸に救われた写真家です」というあとがきの一節に集約されるような、それぞれの芸人に寄せたエピソードも淡々としているぶん、余計に心にしみる。いい買い物をしました。

  • 落語の魅力を知っているというには、ほど遠い自分だが、これはいい写真集であった。ただの被写体として落語家を撮るのではなく、その落語家に愛情を持っているのが伝わってくるような写真である。

    処分日2014/09/20

  • よく見てるつもりの噺家さんの知らない顔。写真ってすごいな。

  • 素敵な写真満載の写真集であると感じた。
    永年かけて築き上げた落語家と写真家の関係が滲み出ているように思える。モノクロ写真に切り取られた落語家の一瞬がキラリと輝いて見える。

  • 喜多八さんのニヒルな相貌がとってもかっこいい!!離れたところから見ている高座、その表情をはっきり見つめられるのが嬉しすぎます。
    百栄さんのあの、あの表情、喬太郎さんのモンスターっぽいあの表情、はだかさんの微笑み、紙切りさんの手元……名かでもぐっときたのはお辞儀をしている各師匠方の表情、背中、指先。目を閉じて穏やかな小三治師匠がとても印象的でした。楽屋の雰囲気を覗き見たようです。

  • みんなどんどん歳をとっていくよ。当たり前だけど。
    みんなどんどん大きな芸人さんになっていく。

  • 2013/8/31読了。
    僕は落語にそれほど詳しいわけではないが、鈴本には時々行くので興味深く見た。
    「カメラを持った前座さん」の書名が表すごとく、相当深い信頼関係と親交がないと撮れない写真ばかりと見受けたが、楽屋落ちの嫌味がなくて潔いなあと感じた。人ではなく芸を撮り、芸を撮ることで人を撮る、といった感じだろうか。
    でも一番好きなのは圓菊師匠の二枚目の写真かなあ。この写真は、芸ではなくて、たぶん師匠の姿でもなくて、何か違うものが写っているような気がするのだが、それがいい。
    また寄席に行きたくなった。

  • 「大切なものは目に見えないんだよ」と言ったのは星の王子様。それは本当だけどホントじゃない、蓮二さんの高座写真を見ていると、そんな気がしてくるのです。。。

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著者プロフィール

橘 蓮二 (たちばな・れんじ)
1961年埼玉県生まれ。1995年より演芸写真家として活動。立川談志、柳家小三治など数多くの落語家、芸人を撮影し、演芸写真家の第一人者として活躍。2015年より落語会の演出・プロデュースも手がけるほか、連載コラムなどをもつ。著書に『本日の高座』(講談社)、『カメラを持った前座さん』(ちくま文庫)、『夢になるといけねぇ』(河出書房新社)、『喬太郎のいる場所』(CCCメディアハウス)、『落語の凄さ』(PHP研究所)など多数。また、ムック&別冊『Pen+ 蓮二のレンズ』(CCCメディアハウス)がある。

「2023年 『演芸場で会いましょう 本日の高座 その弐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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