増補新版 いま、地方で生きるということ (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 195
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480436405

作品紹介・あらすじ

どこで生きてゆくか、何をして生きてゆくか? 都市とは違う、自然を感じられる場所で練りあげられた幸福論。8年後の再インタビューを加えた決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 一カ月後に移住を控え、移住後の仕事のイメージを膨らませるために本書を手に取った。ここでのインタビュー時期が東日本大震災直後だったこともあり、「都内から地方で何か」というよりは「震災を経てこれから」の意識を持って活動している印象を受けた。しかし、震災で生活基盤や価値観がリセットされた上で暮らし方を考えることは、既存の価値観からある種解放されて最も自分自身に向き合った解を得られるのではないだろうか。
    個人的には増補分の最後のインタビュー内容が最もしっくり来た。

  • 手元にありながらずっと読めていなかったけど、引っ越したタイミングで読んでみた。
    誰とどこでどう生きていくか。

    特に柏崎さんの話に共感。
    自然災害が多い昨今、家族といつまで一緒にいられるか分からない。
    自分が好きだなー大切にしたいなーと感じる家族の知恵や技術を引き継いで、伝えていきたいと思った。
    どこで暮らすかは自由だけど、やっぱり地元がいいなとこの本を読んで改めて思う。

  • (東京に対比しての)地方ぐらし、という側面ばかり打ち出して持て囃していては、都会(東京)と地方の分断は進むばかりで埋まらないと思う。

    なのでお話しされている方の一部の発想(やたらとニヒルに政権批判に結びつけるとか)には相容れないどころか反感に近いところもありつつ、

    何かしなければならないという情動に突き動かされた、それがたまたまその場所だった、というスタイルで生きる人には強く惹かれる。そしてそれは、東京でも地方でも、本来どこでもいいはず。

  • 西村さんの本は働き方研究の3冊が大好きなんですが、それ以来ひさびさに読みました。「地方で生きること」について東北や九州で暮らす方々へインタビューをしていきつつ、西村さん自身が少しずつ思考していく心地よいスタイルは健在。東日本大震災後のタイミングで語られたものが中心ですが、コロナという震災とはまた違った形で都市と地方での暮らしを考えた方も多いと思うので、アフターコロナの生活作りが進んでいる今読むのもなかなか面白いと思います。

  • 地方で生きたいと思って読んだ。震災を機に地方移住した人々に著者がインタビューしてまわる話。想像と違ったが、不思議で今までに読んだことないタイプの本だった。

  • 3月11日、東日本大震災直後「どこで生きる?」いろいろ思いあぐねて、気持ちが定まらない。
    それを確かめるため、東北と九州、屋久島へ11名を訪ねて回る。
    8年後のメールインタビューも掲載。
    震災直後にも関わらず、みなさん素早く動いている。
    福岡 「アルバス写真ラボ」酒井咲帆さんのインタビュー記事が好き。
    旅の途中で偶然出会った子どもたちと酒井さんの10年にわたる交流の話。
    読み終えて、コロナ禍のいま、皆さんはどうしていらっしゃるのかSNSで調べてみた。
    私はきっと人恋しいのだ。

  • 具体的な論が述べられているわけではなく対話から発見がある。一緒に会話に参加しているような。

    どこで生きるかは今の自分の大きな関心事。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00602455

    与えられた範囲内の自由でなく、仕事や暮らしを、自分たちでつくり出してゆく自由。社会変革のような大きな物語でなく、身近で具体的なことに時間とエネルギーを注いでいる人々のあり方。どこで、だれと、なにをして生きてゆく?「いま、地方で…」というテーマを片手に、東京を離れ11名を訪ねて回ったロードムービーのような幸福論。8年後のインタビューを大幅に加えた決定版。
    (出版社HPより)

  • ☆☆☆2020年1月☆☆☆


    「いま地方で生きるということ」
    今、もっとも興味のあるテーマ。
    ミシマ社という出版社にも興味を持った。
    生きる場所を決めてから仕事を決めるべきなのだろうか?
    仕事がない!は言い訳にならないのか?
    直感で動くべきなのか?
    色々と考えさせられる本だった。

  • p30 「田舎には仕事がない」というけどそんなことはない〜それは勤め先〜だけの話で、そこに暮らす人々と出会いながら、〜便利屋のように働いてみればいい。
    p78 自分は「機会」に身を置いて、そこで暮らしている感じがする。
    p91 何かに依存しているかぎり当然そこでリスクが上がる。
    p92 「いつここを去っても大丈夫」な状態〜本当にポータブルに。地球の裏側に行っても成り立つような仕事やスキルを持ちえてないと自由になれない〜そういう人間同士が集まった時、はじめてなにかできるんじゃないか。
    p106 「幸せになりたい」というアイデアを手放しさえすれば、どこでも十分に生きてゆけるんじゃないか。むしろそのアイデアによって、がんじがらめに不自由になっているんじゃないかな。
    p138 欧米では公(〜)・共(〜)・私(〜)の三つは別々の概念として捉えられている。
    p148 常連さんが多いです。県外や市外からも来てほしいとか思っていなくて。地元の人にとってあたり前の「市」になってほしい。
    p165 「俺は墓石屋だけど、百杯会に行くと偉い先生とかいろんな人が来てて、俺みたいな学のないのにもいろんなことを教えてくれて、ほんとに面白かった」
    p228 どういう仕事でもいいんですよ。〜「来て働いてくれないか?」と言われたら僕は行く。で、その中で役割を見出せばいいと思っていて、僕自身には「こういうことをやりたい」というのは本当にない〜。
    p237 〜どんなに能力の高いデザイナーもクライアントの器以上の働きをすることはできない。
    p292 僕は「自由」と「誇らしい気持ち」と、あと「やすらぎ」が欲しいんだな、と思う。
    p293 与えられる側ではなく“つくる”側にいたい。そんな自由を求めて、そんな風に存在できそうな場所へ感覚的に動いた〜。大事なのはむろん“移住”でも“地方”でもなく、「自分たちが生きてゆく社会を自分たちでつくってゆくこと」だ。
    p306 高齢化率40%前後の地で「地方だからこその可能性」とか「地方の時代」なんて、口が裂けても言えません。〜もし可能性が残されているとすれば、〜自分の資本で、自分の責任で、やれるとこまでやるっていう、かなり強烈な個人が乱立することではないかと思います。
    p374 なんかね、売りつけられている幸せが高すぎる。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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