ぼくらの中の「トラウマ」 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 177
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683687

作品紹介・あらすじ

どんな人にもトラウマはある。まずはそのいたみを自覚し、こじらせてしまわないことが肝要だ。トラウマのメカニズムや和らげる術を豊富な事例から紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は精神科医。とても優しく易しい言葉で、トラウマとその癒しかたについて書かれている。トラウマについてもっと深い構造的なことが知りたくなったが、読み進めるうち、日々の小さな、周りの人との積み重ねこそがトラウマを癒してくれることに気付き、満たされた気分になる。

  • 話すか話さないかは、本人が選べること。
    話さなくても、痛みと直接向き合わなくとも、回復していける道があること。
    心を隠す力も、大切であること。

    自分の中のトラウマを意識しながら読んだとき、ほっと、安心できる内容でした。
    一人一人の中にある、回復しようとする力を信じているからこその言葉の数々だと感じました。

  • 最近幼い頃を思い出す。あれはトラウマ級の出来事だったのか、と今頃分かった

  • つ、つまらない…なんと言っても読者層がハッキリしない。中学生に向けて書いてるのか?と思われるが、その割には専門用語の定義をそのまま引っ張ってきてなんの解説もしなかったり、言い回しが難しかったり。なんだけど突然文末が「だよね」になったり。トラウマを抱える若者から、支援者まで、幅広く読んで欲しいと思っているようなんだけど、そのどちらにとっても物足りない、なんとも中途半端な本。

    
内容について私が批判したい点は3つ。

     
    1.核家族化がDVや虐待を加速させたとする記述があるけど、本当か???

    DVも虐待も、昔から、“古き良き”大家族の時代からあったよね、と私は思う。ただそれに名前がついておらず、女も子どもも時には老人も、生きるために耐え忍ばなくちゃならなかっただけで。

    核家族化はもちろん家族関係を息苦しくしてるけど、それがDVや虐待の増加の原因であるとすることは、これまでにあった問題を過小評価することになり、また“古き良き”ジャパン礼賛!みたいなアホ屁理屈を支援することになる。そっちの方が怖い。


     
    
2.なんでもかんでも「なんとか療法」っていうのは間違ってる。

    これ、欧米の文脈では信じられない、極めて日本人的な発想だと思うんだけど…。あらゆる療法は、専門的知識をもった専門家が、その専門的知識と技術に基づいて提供するもの。1人で旅行に行って癒されたとしても、それは「旅療法」ではなく、単に「旅行」です…

    なんでわざわざそれを「旅療法」と言いたがる???別にいいじゃん、人の心を癒す、素晴らしい側面が旅行にはあるよ。そういう、素晴らしい「旅行」だよ、それは。なんでわざわざ「療法」と呼ぶ必要がある????



    それは、専門職の専門性をないがしろにしてることだと私は思うんだけど。



    イライラしてる時にヤカンを磨いてたら怒りが収まってきたら、それは「ヤカン磨き療法」なのか?????

    こういうことを、素人がエッセイとかで書いちゃうのは理解できるけど、医者が言っちゃうところが信じれらない。
     
     
    3.トラウマについて、「周囲の人が、気づき、わかることが何よりも大切なのだ」って書いてるけど、それは危険…。

    えーと例えば、虐待されている子どもがいて、虐待している親がいる。虐待されている子どもはトラウマを抱えているかもしれない。一方で、虐待している親も、多くは自らも虐待をされていた側で、トラウマを抱えている。

    それって、子どもが、親のトラウマに気づき、わかってあげることが何よりも大切なの?????違うべ。

    なんでそんなことを懸念するかというと、この本の読者として想定されている虐待されている中学生がこの本を読んだ時に、「自分が親のトラウマに気づき、わかってあげないと!」ってなるやんか。

    これ、依存症で考えるとわかりやすいんだけど…。家族が、気づいて、わかってあげて、配慮してあげて、「不要な誤解や衝突を避ける」(って書いてある)ことで、逆にイネーブル、問題を継続させちゃうんだよね。


    実際この本のなかでも、『ハイジ』と『秘密の花園』を長々と引用し、歩けないクララやコリンを周囲がわかってあげて、配慮してあげて、腫れ物のように扱うことで問題を存続させてることが指摘されてる。…矛盾してねぇか?

     
    3つに共通するのは、なんというか、もやっとむにゅっと「一体化」する、「みんな一緒がみんないい」という、すべてをのみこもうとする日本文化のあり方で、この無言の圧力こそ、日本の心理的病を重くしていると思う。

    むしろ、「親の問題は親の問題(あるいは配偶者の問題は配偶者の問題)、私の問題ではない」と切り離せないと、「私は悪くない」と思うことができない。

    

日本に必要な心性は、「分離」、「あなたと私を切り離す力」だと思うのよねー




    2020年に出版された本だけど、元となってる思考が古いっていうか、前時代的っていうか(同じか…)。日本的なあり方の中にどっぷり浸かっていれば、日本的なあり方について語ることもできない。

  •  「トラウマ」とはなにか、どんなことが体に起こるのか、どう向き合えばいいのか、トラウマを抱えた人間にどう向き合えばよいのかなど、トラウマに関する様々な情報を平易な言葉で書いてくれている。
     治療法は、これをすれば絶対に治るというものではなく、その人に合ったものをやればいいと決して押し付けない。
     具体的に、どんな人がどの治療法をやればよいのかは、個人個人によって異なるため、専門的な医療機関に任せようということなのだろう。
     トラウマに苦しんでいる人だけではなく、身近にトラウマによって苦しんでいる人がいる人にもおすすめの本。

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著者プロフィール

公益財団法人慈圭会精神医学研究所所長・川崎医科大学名誉教授

「2020年 『こころの科学215』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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