中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688194

作品紹介・あらすじ

自分とは何か。なぜ宗教は生まれたのか。人を殺してはいけない理由は何か。何となく幸福じゃないと感じるのはなぜなのか…。読めば聡明になる、悩みや疑問に対する哲学的考え方。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生からとなっているが、大人にも読みごたえがある内容。
    宗教も哲学を「真理や普遍性を追求するゲーム」、「世界説明の方法」との例え、社会を勉強するための例として「大貧民ゲーム」を「論より資本主義」「論より格差」であるとし「自由の相互承認」という理念でなりたっているという。人間関係の基本原理は「承認ゲーム」でその人の生の欲望と自己ルールによって規定されるとし、現代の欲望の時代に向き合うには、自分の意志を持つことの重要性を様々な例を用いてわかりやすく説明。
    きょうだいと親との三角関係で家庭内の承認のたたかいにより「よいーわるい」の自己ルールがねじれてしまい、他者への自己防衛と攻撃性と高める可能性、友だちとの関係の中で承認を作る努力をすべきと助言。
    「自由恋愛、自由職業、社会的承認」がかつての自由の象徴、一般欲望とすると八割の人が不幸になってしまう。自分の「自由の条件を作り直す」ことが大事なテーマと締めくくっている。

  • 中学生からのなのに難解で大変でした。おそらくこの分野の読書量が足りず、頭ん中が耕せてないのですね。だから今はどんどん読むのみです。
    それでも哲学を宗教や経済を絡ませて多方面から語られていたので、興味は刺激されました。面白い感覚です。

  • 「自分とは何か。なぜ宗教は生まれたのか。人を殺してはいけない理由は何か。何となく幸福じゃないと感じるのはなぜなのか…。読めば聡明になる、悩みや疑問に対する哲学的考え方。」

    目次
    1 自分とは何者か
    ・神経症―私はなぜ哲学者になったか
    ・欲望論哲学の出発点
    2 世界はどうなっているか
    ・宗教のテーブルと哲学のテーブル
    ・哲学のテーマ―「神」と「形而上学」について
    ・宗教と哲学の弱点
    3 なぜルールがあるのか
    ・大貧民ゲームで近代社会を体験する
    4 幸福とは何か
    ・ガウェインの結婚―「自分の意志を持つこと」

    著者等紹介
    竹田青嗣[タケダセイジ]
    1947年、大阪生まれ。在日韓国人二世。早稲田大学政治経済学部卒業。現在、早稲田大学国際教養学部教授。哲学・文芸批評

  • タイトルに中学生とありますが、実際は過去の哲学者の概要とともに自分が哲学にどう向き合うべきか?が深く書かれています。
    ある程度難解でしたがこれから本格的な哲学書を読むのにまずは手馴しになります。

  • ・教養を養う一環で読んだ本。哲学系の本は難しいことが多いが、だいぶ読みやすく書かれており、最後まで興味を持って読むことができた(ただ、中学生にはちょっと難しい印象)
    ・資本主義の本質とはなにかを大貧民ゲームを通じて子ども達に問うた話など、純粋に興味深い話も多かった

  • 一部中学生では難しそうな記述が見られたが、中々面白い本であった。特に、「幸福とは何か」に関する箇所は納得度が高かった。

  • 超入門なら自分にも読めると思い手に取りましたが、やはり哲学は難しいなと再認識。

  •  
     哲学者の竹田青嗣が、中学生向けに哲学を説いた本。

     この本を読んで初めてフッサールの現象学が、「正しさ」=「自己了解」であると言っていることを理解した。「正しさ」は「正しいか間違っているか」ではない、というのは面白い。

     改めて「現象学」によって「相対主義批判」ができるというのも発見。勝手な推測だが、相対主義を乗り越えて肯定的世界観をもちたいという著者の動機がいつも見え隠れするのは、やはり著者が在日韓国人であるということが大きいのではないか。複数文化を経験し、価値を相対化する必要性を感じることを契機に、彼の哲学が構築されて来たように思えてならない。自分が帰国子女である点と重なるため、なおそう感じる。

     それにしても、「正しさ」が自己了解であり、その自己了解の根源が他者との調整可能性であるという考えは、自分にとって極めてしっくりくる。同様に、「本質」が「真理」のようなものではなく「相互承認に耐えうる原理」であるというのは、目ウロコ。確かに了解しやすい。別の見方をすると、確証バイアスがなぜ悪い話ではないのか、というのを、科学ではなく、哲学的にサポートできるということといえまいか。確証バイアスが、他者と調整可能な自己了解に基づく限りは、それは正しいと言えるからである。

     してみると、著者の言うようにポストモダンが現象学を誤解していると言うのがなぜかを深掘りすると理解が進むはず。なぜなら、現象学は、おそらく相対主義(の苦しさ)をよく知っていて、嫌いな者が、打ち立てたい考え方だからである。逆にいえば、相対主義を平気で標榜できるのは、本人自身は、相対主義の苦しさを味わったことがない、ということなのではないか?いやもしかすると、ポストモダンは、相対主義を標榜しながら、本当の相対主義にあるわけではないのかもしれない。

     

  • 宗教と哲学の違いが面白い
    宗教は物語で、哲学は概念なんだそう。
    私はキリスト教の学校に通っていましたが、聖書のストーリーとか物語。
    元々は異端だったけれども主流となり政治と合わさって権威のゲームになっていくと。
    宗教や世界史はあまり詳しくはないけど、わかる。
    https://jinseilog.com/introduction-to-philosophy/

  • 哲学はどの本を呼んでも何だかいまいちよくわからなかったが、さすがに中学生向け(?)の哲学「超」入門なら少しはわかるかもしれないと思い読んでみた。結果、ほぼすべてにおいてなるほどと思える素晴らしい内容だった。

    自分とは何か?世界とは何か?哲学とは何か?宗教と哲学との違いは何か?社会とは何か?幸福とは何か?
    といったことがらについて、著者の生い立ちからはじまり、地に足をつけてわかりやすく書いている。(…といっても中学生にはかなり難しいと思うが)
    その中で著者が最も伝えたいことは「自分の意志をもつこと」で、それは、自分の幸福の条件を、才能や運に委ねるのではなく、自分で自分の「自由の条件」を考えて作り直すということだ。
    私たちは知らず知らずのうちに、自分ではなく他人が欲しがるものを高い価値があると思いこんでしまうが、それを手にすることができるのは実際は2割くらいしかいない。幸せになるには、他人の欲するものを欲する「一般欲望」ではなく、「自分の意志を持つこと」が必要。そしてそれによってはじめて生きる意味を見いだすことができる。

    とても勉強になった。よくわからなかった哲学が少しだけ身近になった。今後の探求の大きな手がかりになりそうだ。

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著者プロフィール

1947年生まれ。哲学者、文芸評論家。著書に『「自分」を生きるための思想入門』(ちくま文庫)、『人間的自由の条件ーヘーゲルとポストモダン思想』(講談社)など。

「2007年 『自由は人間を幸福にするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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