中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ (ちくまプリマー新書)
- 筑摩書房 (2009年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480688194
作品紹介・あらすじ
自分とは何か。なぜ宗教は生まれたのか。人を殺してはいけない理由は何か。何となく幸福じゃないと感じるのはなぜなのか…。読めば聡明になる、悩みや疑問に対する哲学的考え方。
感想・レビュー・書評
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中学生からとなっているが、大人にも読みごたえがある内容。
宗教も哲学を「真理や普遍性を追求するゲーム」、「世界説明の方法」との例え、社会を勉強するための例として「大貧民ゲーム」を「論より資本主義」「論より格差」であるとし「自由の相互承認」という理念でなりたっているという。人間関係の基本原理は「承認ゲーム」でその人の生の欲望と自己ルールによって規定されるとし、現代の欲望の時代に向き合うには、自分の意志を持つことの重要性を様々な例を用いてわかりやすく説明。
きょうだいと親との三角関係で家庭内の承認のたたかいにより「よいーわるい」の自己ルールがねじれてしまい、他者への自己防衛と攻撃性と高める可能性、友だちとの関係の中で承認を作る努力をすべきと助言。
「自由恋愛、自由職業、社会的承認」がかつての自由の象徴、一般欲望とすると八割の人が不幸になってしまう。自分の「自由の条件を作り直す」ことが大事なテーマと締めくくっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学生からのなのに難解で大変でした。おそらくこの分野の読書量が足りず、頭ん中が耕せてないのですね。だから今はどんどん読むのみです。
それでも哲学を宗教や経済を絡ませて多方面から語られていたので、興味は刺激されました。面白い感覚です。 -
「自分とは何か。なぜ宗教は生まれたのか。人を殺してはいけない理由は何か。何となく幸福じゃないと感じるのはなぜなのか…。読めば聡明になる、悩みや疑問に対する哲学的考え方。」
目次
1 自分とは何者か
・神経症―私はなぜ哲学者になったか
・欲望論哲学の出発点
2 世界はどうなっているか
・宗教のテーブルと哲学のテーブル
・哲学のテーマ―「神」と「形而上学」について
・宗教と哲学の弱点
3 なぜルールがあるのか
・大貧民ゲームで近代社会を体験する
4 幸福とは何か
・ガウェインの結婚―「自分の意志を持つこと」
著者等紹介
竹田青嗣[タケダセイジ]
1947年、大阪生まれ。在日韓国人二世。早稲田大学政治経済学部卒業。現在、早稲田大学国際教養学部教授。哲学・文芸批評 -
タイトルに中学生とありますが、実際は過去の哲学者の概要とともに自分が哲学にどう向き合うべきか?が深く書かれています。
ある程度難解でしたがこれから本格的な哲学書を読むのにまずは手馴しになります。 -
一部中学生では難しそうな記述が見られたが、中々面白い本であった。特に、「幸福とは何か」に関する箇所は納得度が高かった。
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超入門なら自分にも読めると思い手に取りましたが、やはり哲学は難しいなと再認識。
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宗教と哲学の違いが面白い
宗教は物語で、哲学は概念なんだそう。
私はキリスト教の学校に通っていましたが、聖書のストーリーとか物語。
元々は異端だったけれども主流となり政治と合わさって権威のゲームになっていくと。
宗教や世界史はあまり詳しくはないけど、わかる。
https://jinseilog.com/introduction-to-philosophy/ -
哲学はどの本を呼んでも何だかいまいちよくわからなかったが、さすがに中学生向け(?)の哲学「超」入門なら少しはわかるかもしれないと思い読んでみた。結果、ほぼすべてにおいてなるほどと思える素晴らしい内容だった。
自分とは何か?世界とは何か?哲学とは何か?宗教と哲学との違いは何か?社会とは何か?幸福とは何か?
といったことがらについて、著者の生い立ちからはじまり、地に足をつけてわかりやすく書いている。(…といっても中学生にはかなり難しいと思うが)
その中で著者が最も伝えたいことは「自分の意志をもつこと」で、それは、自分の幸福の条件を、才能や運に委ねるのではなく、自分で自分の「自由の条件」を考えて作り直すということだ。
私たちは知らず知らずのうちに、自分ではなく他人が欲しがるものを高い価値があると思いこんでしまうが、それを手にすることができるのは実際は2割くらいしかいない。幸せになるには、他人の欲するものを欲する「一般欲望」ではなく、「自分の意志を持つこと」が必要。そしてそれによってはじめて生きる意味を見いだすことができる。
とても勉強になった。よくわからなかった哲学が少しだけ身近になった。今後の探求の大きな手がかりになりそうだ。