- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480832191
作品紹介・あらすじ
大ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者が、女性たちの今を描く。10代の初恋、子育ての悩み、80歳前後の姉妹の老境まで、全世代を応援する短編集。
感想・レビュー・書評
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『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者の短編集。「家出」「オーロラの夜」「初恋2020」が特に印象深かった。そして充実のあとがきと解説。
安易に爽やかな気持ちになったり勇気をもらったりはできない。
『〜キム・ジヨン』もいつか読んでおきたいとは思ってはいる。 -
「オーロラの夜」
何十年も胸に秘めていた「いつかオーロラを見たい」という夢。
57歳、教頭先生として多忙な中、どうにか時間を工面してカナダへ向かった。
天候不良で諦めかけたものの、ついに目の前に広がる圧倒的な光景。
あまりにも長い間夢見ていたことを、相当なお金と労力をかけて実現させ、この瞬間のために生きていたんだ!と感動の涙を流しながら、
主人公は「孫の面倒を見たくない」と泣き叫んだ。
こんな遠くまできて、やっと「生きててよかった」と思えて、そうして初めて、祖母として相応しくないけど紛れもなく抱いている気持ちを認められたのだ。
私は、本当に心を解放したときには何が出てくるだろう。
みっともなかったり、あまりに自分本位だったり、とんでもない感情が立ち現れるかもしれない。
恐ろしいけれど、生きてるうちに対峙してみたい。 -
"人にはどうにもできない領域が確かにある。そんなときにできることは、待つこと、備えること、すっかり絶望してしまわないこと、かすかな運がめぐってきたときに受け入れ、感謝し、そのすべてが自分の努力の結果であるかのように装わないこと。涙が止まった。"(p.169『オーロラの夜』)
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10代から高齢者まで、幅広い年代の女性の視点に立って綴られる短編集。
根強い家父長制や女性差別、貧富の差をテーマにしており、時折読みながら気持ちが塞いで本を閉じてしまうことも…。
カナダにオーロラを見に行く話は、明るい未来を予感させる展開で印象に残りました。
一方、作者の経験が少なからず重ねられているであろう、文章作品を巡るストーリーは、作家としての成功の裏にこんな事が起こりうるのかと衝撃を受けました。 -
「82年生まれキムジヨン」を数年前に読み、同じ作者の本を手に取った。
キムジヨンの話よりもより多くの世代・異なる時代を生きる女性がフォーカスされていて、それぞれの女性の生きづらさや時代による感覚の差などがありありと描かれている。
自身に置き換えて捉えてみても、学生時代女性の生きづらさや親との感覚の相違を感じ、声を大にしていたにも関らず、社会人として生きていくうちに少しずつ諦めが生じていくのを感じるとともに、その諦めがまた未来の女性を苦しめてしまうのではないかと奮い立たされる感覚がした。
また、同時にフェミニスト的考えを大切にしながらも、周りが見えなくなってしまわないように(男性として生きる生きづらさ、新しい時代や古い時代への理解を怠ること)気をつける必要があると感じた。 -
息苦しい小さな世界で、何か先が見える
少しの希望の温度が心地よい -
「誤記」が衝撃的。