- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017781
作品紹介・あらすじ
花咲き乱れるオーブランの庭に眠る、少女たちの秘密。第7回ミステリーズ!新人賞佳作ほか、ヴィクトリア朝や昭和初期に生きる少女たちを描く5編を収録。
感想・レビュー・書評
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いやぁ~、文句ナシに面白かった!
目は熱狂して文字を追い続け、
手はページをめくるためだけのマシーンと化す喜びよ(笑)
デビュー作とは思えないくらいの完成度で、
ひさびさに誰彼構わずオススメしたい一冊!
普段一冊読むのに通常一週間以上かける自分が
珍しく二日で一気読みしたし、
あまりの心地良い余韻に
間髪入れずにまた始めから二度読みしてしまった(笑)
つか、なんでこの短編集が
中身の充実ぶりに比べて
まだあまり知られていないのか不思議なくらい
ホンマいい作品です。
どの作品も少女が主人公となっていて
ミステリーを期待して読むとちと弱いけど、
とにかく細部まで丹念に緻密に構築されていて
嘘をホントに見せる為の圧倒的なディテールの確かさと
豊富な語彙を駆使し
映像喚起力に優れた美しい描写力で
とにかくグイグイ読ませるのです。
(先日紹介した梓崎優同様に、物語性に重点を置いたスタンスはミステリーの枠に止まらぬ大器の予感プンプンです)
ナチス占領下のフランスを舞台に
比類なく美しい庭園オーブランに集められ
様々な色のリボンと花の名前を与えられた少女たちが遭遇する凄惨な殺人事件の顛末を描き、
第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選した表題作
『オーブランの少女』、
ヴィクトリア朝時代のロンドンを舞台とし、
少女に翻弄される冴えない中年医師の悪夢を描いた
『仮面』 、
大雨の中、タクシーで隣町の安食堂に現れた謎の少女と
たった一度の過去の過ちから
自分の娘ではないかと疑心暗鬼に陥る店主との心理戦を描き、
掌編と言っていい短さながら
ラストは見事な着地を決めてくれる
『大雨とトマト』、
昭和初期の女学校で生きる少女たちの恋や友情を百合百合しく描き、
本作品中唯一あたたかな読後感を残す
『片思い』、
北欧をモデルにした架空の国の没落を描き、
スリリングでサスペンスフルな展開に
ページをめくる手が止まらなくなること必至の傑作短編
『氷の皇国』など
時代も国も異なる5つの短編は
映画『17才のカルテ』、ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』、
ルシール・アザリロヴィック監督の『エコール』、 ピーター・ウィアー監督の『ピクニックアットハンギングロック』、
小説ならフランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』などの名作を彷彿とさせ
どれもバラエティーに富んでいて
読み応えあり!
(翻訳小説が好きだという著者の言葉通り、 『仮面』と『氷の皇国』の圧倒的なまでの世界観がとにかく秀逸で個人的にたまらなくツボだった)
それにしても女ってコワいっ(汗)( >_<)
純粋と狂気、そこはかとなく香る色香と甘やかさ、
危うくて儚くて愚かでいて
美しくも残酷な思春期の少女たち。
不完全で儚い存在の少女たちをテーマに描くことで
物語に深い余韻を残し、
光陰矢のごとしな
二度と戻らない時間のかけがえのなさや哀しみを
物語に深く印象づける効果も上げています。
今流行りの軽い文体とは対極に位置する重厚な筆致なので
慣れてない人には逆に読みづらいかもだけど、
意外性のある結末と物語性を重視する方には
必ずや満足してもらえる内容だし、
次回は是非とも
異国情緒溢れるダークな長編を期待してます!
(恩田陸や米澤穂信のダークファンタジーや桜庭一樹の少女小説が好きならかなりツボなんでは)
表題作の世界観を見事に表現した
シライシユウコさんによる表紙のイラストも絶品! -
5つの中短篇が収録されていて、表題作は「ベスト本格ミステリ2011」の収録作に選ばれているとのことで、本格ミステリと想定して読んでみたのですが、ミステリ以上に物語としての完成度や魅力が高かったことが、印象的でした。
もちろん、推理ものとしての謎も上手く融合させているので、そういう楽しみ方も出来るのだが、とにかく、物語の展開の仕方が読めない不思議な感覚が新鮮で面白く、どういう風に表現すればいいかと思っていたら、背表紙の作者紹介文に、「トリッキーな構成」と書かれていて、これだと。
トリッキーというと、巧さばかりが印象に残るようにも思われるが、この作品の場合、色々あった結果、嬉しくなったり、哀しくなったり、切なかったりと、人の情に訴えかけるものがあるところが素晴らしいと思いました。
表題作も、最初の凄絶な場面から、歴史的背景も加わって、あんな切ない結末になるとは思わなかったし、「氷の皇国」は、推理もののどんでん返しが、恋情と密接に絡んでいる切なさと家族の絆で、結末の場面が美しく見えました。
個人的に好きだったのは「片想い」で、このモダンレトロでハイカラな女学生の世界観、雰囲気が素晴らしく、結末も良かった。
岩様にとっては、あまり喜ばしくないかもしれないが、片想いという言葉が如何に美しく素敵なものであるかを、岩様の心奥の純粋な想いを見て、再実感いたしました。
それにしても、これがデビュー作なのが凄い。
深緑野分さんの作品は、俄然、注目が高まりました。 -
「オーブランの少女」と「氷を皇国」が面白い。
筆者のデビュー作の短編集。
「オーブランの少女」は、哀しきミステリー小説だった。
謎の施設オーブラン。
ハンディキャップを持った少女が集められる施設で起き続ける死。
恐ろしき始まりが紐解かれていく。ページをめくるスピードがどんどん早まる展開だった。
「氷の皇国」は、北欧の国に起きた哀しい歴史小説。
残虐な国王が溺愛する皇女の計略。
皇女によって過酷な運命に巻き込まれてしまった少女達。
面白い、残虐に突き進む時間の流れを洗練された言葉でどんどん先へ先へと運んでいく。
読み手もぐいぐい引き込んでいく。
この2作だけでも読むべし。 -
少女に纏わるお話しが5編。
いろんな時代設定、場所も日本だったり、異国の地だったり。
ミステリアスでどんどん引き込まれていきました。
タイトルの「オーブランの少女」と「氷の皇国」が面白かった。
また次の作品を読んでみたい。 -
どんどん先を読みたくなるストーリーに、とても読み応えがある文章、幻想的かつ耽美な設定の物語、登場する人物たちの魅力が存分に伝わる描き方。それでいて文章は美しく、ごちゃごちゃしておらず大変読みやすい。素晴らしい作家さんだと思う。とりわけ、少女の描き方がとても良い。
・オーブランの少女
病弱な少女たちが集うサナトリウム。手首に巻かれたリボンの意味、なぜ悲劇が起きたのか、この施設の本当の目的とは……全てが収束し物語が今に戻ってくる様は圧巻。
・仮面
真の企みの全てがわかった時は唸らされた。リリューシカはどんなに美しい少女なのだろう。
・大雨とトマト
流行らない飲食店の中、店主と2人のお客。それだけの舞台設定で短い話だが、よくまとまっていて、意外性もある。
・片想い
花の大正、『はいからさんが通る』を想起させるような、日本の女学校が舞台の物語。エスという言葉が秘密めいていて、雰囲気だけでも素敵な物語だが、ちゃんと謎が仕掛けられている。
・氷の皇国
表題作と並んで好きな作品。ヘイザルには気の毒な末路であったが、あの絶望的な状況をひっくり返しただけでも凄いことだったのだろう。美しいが傲慢で欲深いケーキリア皇女、嫌いになれない。 -
5つの短編からなっていますが、どれも秀作です
特に表題のオーブランの少女はとても面白かったです
映画にしても良いくらいです
美しい庭園オーブランの管理人である年老いた姉妹、ある日姉が惨殺され、妹は自殺し、犯人は老衰のため死んでしまう
美しい庭園に隠された過去
ミステリーというには物足りなさがありますが、これは、お薦めかな… -
コックさんがなかなか借りれないから…。わりと苦手な分野なのに、お昼休みにドキドキしながら読んだ。あまりにエキセントリックな少女よりふつうな少女がいいな。少女たちの物語って帯にあるけどむしろ周りの大人。「大雨とトマト」「片想い」が好きです。
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表題作が面白くなかったわけではないけれど、最後の「氷の皇国」が抜群に好み。
様々な時代と文化を舞台に、ほんのり謎解きとすっきり大団円に終わらせない短編、中編を収めた良い本。
ダークファンタジー、ゴシックミステリの傑作
服部まゆみの『この闇と光』が11月25日に新装版で角川文庫からめでたく復刊!
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ダークファンタジー、ゴシックミステリの傑作
服部まゆみの『この闇と光』が11月25日に新装版で角川文庫からめでたく復刊!
美しい書影に、深緑野分さんもtwitter上で「買い直そう!」と言っていました。
ご興味があれば、評判になってあちこちから情報が漏れ聴こえてくる前に読んだ方がいいと思います。
と、おもわず興奮してついついコメントを。
失礼しました。
kwosaさん、ご無沙汰しております!
実は本業のボクシングの試合で怪我をして
去年の年末から先月まで入院しておりまして…(^^;)...
kwosaさん、ご無沙汰しております!
実は本業のボクシングの試合で怪我をして
去年の年末から先月まで入院しておりまして…(^^;)
体調は良くなりつつありますが、
まだリハビリ中の身です。
あと、いつも沢山のお気に入りポチとコメント
ホンマにありがとうございます!
kwosaさんはお変わりないですか?
『オーブランの少女』はホンマ読み応えある短編集ですよ!
新人が書いたとは思えないほど面白いし、物語る力というか、そのストーリーテラーぷりに
最初から最後までニヤケっぱなしで読んでました(笑)
あははは(笑)
レビュー読んでないなら
もう余計なことはチャックチャック(笑)(^^;)
また感想聞かせてくださいね~♪
そう言えば深緑さん、春に新作長編が出るとか言ってたけど、
もう発売されたんかな?
kwosaさん、よだれタラタラな情報ホンマありがとうございます!
コレ、今気付きました(汗)((((((゜ロ゜;
服部まゆみさん...
kwosaさん、よだれタラタラな情報ホンマありがとうございます!
コレ、今気付きました(汗)((((((゜ロ゜;
服部まゆみさんは読んだことない作家だけど、師匠が仰るなら
是が非でも手に入れます!(笑)
つか、せっかく最速で教えてもらったのに
季節まで変わっていてすいません!( >_<)
kwosaさんはもう読まれたんかな?