愚行録

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 149
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488023874

感想・レビュー・書評

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  • 2018/11/30

  • 毎度のことながら人の持ついろいろな面を見せつけられる貫井作品。苦々しい思いになったり、目を背けたくなったり…揺さぶられる

  • 再読。一気読み。関係者の話を聞いていく形式なので読みやすい。映画で三度驚くとあったけど納得。オチのインパクトは強く、それでいて冒頭から退屈せず引き込まれるように読めた。愚行録、のタイトルが秀逸。登場人物は皆愚かで、だからこそ最後まで誰が犯人でもおかしくないと思えて混乱。最後のページのインパクトも凄い。この話は凄いと思う。伏線見落とすこと間違いなし。

  • 一人称、一人語りで進んでいくストーリーに中々、ページが進まない。
    そもそも、人の話をずっと聞くことが苦手だから、本当に最初は読み進めることが苦痛でしかなかったけど、徐々に惨殺された田向夫妻の影の部分が語られていくと、俄然読む手が止まらなくなった。語り手も卑しい嫉妬や羨望妬みに縁取らた人物だから、共感できるところもあり、ゴシップ記事を漁るような感覚で読み進めていく。
    まさに、物語に登場する人々の愚行を見つめて読む私たちも愚か。
    リカもフジコも光子も自分に真っ正直過ぎた故の愚行、だけど、どの作品のどの人物よりも彼女たちは、誰よりも、実はとてもピュアなのだ。

  • 「愚行録」
    誰もが羨む家族が殺されて一年。まだ犯人は捕まっていない。


    愚行録。愚かな行いの取り纏め。側から見たら容姿端麗で欠点無しな幸せ家族。特に、夫婦は羨ましい理想像の一つだった。何故夫婦は殺されたのか。何故子供まで。


    犯人はまだ捕まっておらず、ルポライターが夫婦の関係者をインタビューする形式で進んでいきます。地元のママ友から始まって、会社の同僚、学生時代の友人(元カノ含む)等それぞれの立場から、被害者となった夫・田向浩樹と妻・田向友季恵の印象を語っていきます。


    これが、人間関係の裏を見る形で気が悪くなる。完璧に見えた浩樹と友季恵の裏の顔が出て、その裏の顔での所業が愚行と言うことだろうか。確かに浩樹の就職活動のコネ作戦に始まる女性関係や友季恵の階級社会を示すような学生生活等、これが本当ならば愚行と言う人々(きっと表面上では2人を慕っていた人もいるだろう)の気持ちも少しは分かる。ちょっとやってることは2人を悪く言う立場じゃないんじゃ?て言う関係者も出てきますが。


    キモなのは、語っている側の視点であり主観であること。果たしてどこまで本当か。読むことで、夫婦はいけ好かないやつだと決めつけてしまうことこそ愚行になってしまう。言ってしまえば、本当の所は分からないのですから。


    本作は、田向家族を殺された犯人を逮捕するに至らないミステリーです。最後すっきりしない。さらに仕掛けが3つある。そこが、ストロングポイントかなと感じました。


    ●田向家族殺人事件の犯人は、冒頭に登場するネグレクトで逮捕された田中光子であること
    ●インタビュアーのルポライターが、田中光子の兄であり、光子を犯人ではないかと疑う人間をあぶり出す目的で関係者にインタビューしていたと想定されること
    ●光子の子供は兄の子供であり、兄もまた殺人者になること


    この3つによって闇が連鎖する怖さが増し、ミステリーとして強いフックになっていると感じました。両親からの虐待で頼れる存在が兄しかいない→男女取っ替え引っ替え生活→近親相姦→子供誕生。しかし子供を愛せない・・・、想像を絶する過去を背負い、ある日生まれた友季恵への突然の殺意等、闇が人を喰っていく所が非常に怖い。ここまで落ちることが、愚行なのかは分からないが、とても怖い所です。


    読んだら落ち込むこと間違い無し。因みに、映画は貫井氏曰く、完成度高いらしいです。

  • 市立中央図書館より
    --
    貫井徳郎、二冊目。
    これは、鬱陶しい気分になる小説だつた(*^_^*)。
    著者は早稲田大商学部卒とのことだが、早稲田と慶応をかうまで比較して喧嘩させる(?)ことはないやうな気がする(*^_^*)。てか、学歴コンプレックスがあるのかな。
    でもまあ、面白かつた。

  • DVDの紹介記事を見て読んでみようと思い手に取りました。
    物語の進みがだらだらとしている印象です。そのせいで著者ってかなり粘着質な性格なのかなぁって感じました。もっとそぎ落としてあってもいいのではないかと思いました。また、一家惨殺にする必要性が全く感じられなかったです。残念ながら、面白かったという味わいはなかったです。

  • 映画を先に鑑賞して小説を読んだがスッキリした。
    映画で気になっていたことが解消されたので◎
    愚行録というタイトルが正にあてはまる。

  • うわーっ!やっば!
    凄いなぁ!
    途中から段々読めてきたけど、当たった自分に「よっしゃ!」って言いたいくらい。
    こわいなぁ…。

  • 湊かなえさんみたいな感じがした。
    それぞれが語る人物像と兄妹の話と事件がどう繋がるのか、全然読めなかったけど最後まで読むとそういう事かとわかる。
    映画はどんな風になっているのか観てみたい。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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