スウェーデンの保育園に待機児童はいない (移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027995

感想・レビュー・書評

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  • スウェーデンに移住した日本人の育児エッセイ

    子育て世代にやさしい国というイメージはその通りだったけれど、移住しないとわからない大変さも書かれていて参考になった

    日本を全否定するわけでもスウェーデンを全肯定するわけでもない書き方で移住した方の「本当の声」を聞けた気がする

    読んでよかった

  • タイトルから想像するようなスウェーデンの保育システムや社会の秘密という内容も含まれていたけど、それよりも移住&育児体験記という印象が強かった。北欧暮らしに憧れてというより、保育システムの話の方に興味があったので、ちょっと残念。

  • その時その時自分に合う場所ってあるんだろうな。暮らしたいな〜と思うところで暮らすのは大事。スウェーデンの保育園といろいろな人の部屋を見学してみたい。

  • スウェーデンで暮らして「親になっても、自分のやりたい仕事を週に四十時間やる権利がある」と断言できるようになったという久山さん。
    子供は生まれる家を選べないからどんな子供にも平等に教育の機会を与えるのが社会の役割、子供は親だけでなく社会全体で育てるものという思想が根付いているスウェーデン。

    他にもスウェーデンで女性の社会進出が進んだプロセス(アファーマティブアクションの考え方から皆を平等に扱うことから生じる”関節差別”も禁じており、女性はいわゆるゲタを履かせてもらうことで社会進出が進んだ)や、有名なフィーカ文化はただのティータイムではなく実はシャイだと言われているスウェーデン人達の交流を促す重要な時間であること等、知らなかったスウェーデンのエッセンスを知ることができて面白い。

    「子供がいたら早く帰ったり急に休んだりするのは当たり前のことであって、迷惑をかけていると感じる必要さえなかったはず。ただ、そう感じるような社会に住んでいただけのこと。子供に対しても「親になっても、自分のやりたい仕事を週に四十時間やる権利がある」と断言できる。そう思えるようになったのはやはり、共働きでも二人、三人と子供を育てていて、誰もそれを迷惑だとかかわいそうだとか思わない社会をスウェーデンで体験したからだ。」

  • スウェーデンの地方都市に移住した日本人家族の子育てについて書いてある。
    タイトルの待機児童の話よりも、スウェーデン社会の考える平等とは、社会の責任とは、についてのほうがコンテンツも充実していて、個人的には興味深かった。
    また本書の最後の方に記載があるが、必ずしも子育てについてスウェーデンがよく日本が悪い、というわけではなく、目指すところと価値観によってやはり一長一短であることもわかった。

  • スウェーデンで育児(二歳~就学前)をした方の、スウェーデンのお話。とはいえ、日本で育児をしている身として発見が多かった。
    なぜかというと、たとえば、スウェーデンでは子供に暴力を振るうことは法律で禁止されている、とのこと。これは、日本でも法令化されようとしていることではないですか。それをスウェーデンでは遥か1975年より施行されてるんです。日本ではしつけとの区別云々(親から目線)で語られる法律ですが、スウェーデンでは子供の権利として、つまり子供からの目線としも語られる法律なんです。その法律だけがポツンとあるのではないんだと。
    また男性の育児にしてもスウェーデンでは男女ともに育児をします。それも子供の権利「子供は同じ価値がある」ところから「比べない」につながり、「男だから~~」「女だから~~」「お兄ちゃんだから~~」という考え方がない。その延長に男女育児する、に繋がっているように思う。もちろん、男女働く。今のように育児休暇が三年もあるのとは真反対。
    現代の日本の「働き方改革」が薄っぺらいものち見えて仕方ない。
    もちろんスウェーデン方式でも悪いところはあるだろう。でも今は見習うべき点に目を向けてみたい。
    あと、この著者で検索するとミステリーがでてくるように、現在はスウェーデンミステリーの翻訳家として活躍されています。そのせいか、とても読みやすい文章となっています。
    育児をしていなくても、スウェーデンが好きな人にもスウェーデンで暮らしているかのように感じられて楽しく読めると思う。

  • 「日本・スウェーデン両方の保育園を経験した著者だからこそ書けた、スウェーデン子育て事情解説書」
    とことん合理的なスウェーデン社会。政府や保育園の取り組み、パパママたちの育児・仕事両立方法、保育士さんたちの労働環境など、わかりやすく紹介されています。
    同時に、北欧ミステリー等を翻訳されている著者の紡ぎだす文章はとても情景描写豊かで、エッセイとしても楽しむことができました。
    スウェーデンで実現している仕組みをうまく日本社会に取り入れるにはどうすればいいのか、もっと深く考えてみようと思います。

  • 新聞の書評で知り図書館で予約した本。
    私自身子供はいないが、周囲を見ると子育てと仕事に奮闘する同僚がそこかしこにいる。
    誰もが有休残日数と保育園の呼び出し電話に頭を抱える。
    なぜかいつも電話は母親にかかるのだ。
    とはいえ、20年前に比べると空気感は変わってきている。
    日本で生きる以上、このような事例の国内外比較を鵜呑みにはできないが、差異を少しでも減らすためにはこのような事例や体験記は必要だと思う。

  • SL 2019.9.23-2019.9.28
    スウェーデンのいいとこ、悪いとこ。
    当然どちらもあるんだけど、社会の基盤としての考え方はやっぱりスウェーデンのほうが優れていると思える。
    日本だけではなく、スウェーデンから学べる国は世界にたくさんあるのではないかと感じた。


  • 子どもにとって大事なのは「愛情」である。これに異を唱える人はいないのではないかと思う。
    
    でも「愛情」は目に見えない。どうにかして形にしなければ「愛情」は表現できない。だから我々は「愛情」を表す行動をする。
    
    たとえば,日本では,小さい頃は子どもと母親とが一緒に過ごすこと=「愛情」であり,手の込んだ弁当を持たせること=「愛情」である。子どものために親が犠牲になること=「愛情」という考えがいくらかあるのではないかと思う。子どもにとっての「愛情」は親(特に母親)の責任である。
    
    でもスウェーデンは違う。母親だけでなく父親も一緒に過ごすことが「愛情」であり,たとえ親が離婚して別々に住んでいたとしても父親母親と過ごせる時間を作る。子どもに偏見を植えつけないことが子どもにとっての「愛情」であり,子どもに体罰をしないこと(感情に任せて叱ることを含む)も「愛情」である。子どもが安心してのびのびと生きていけるようにすることが「愛情」であり,だからこそ大人も安心してのびのびと生きている。子どもにとっての「愛情」は社会=大人の責任である。
    
    何が「愛情」なのかはそれぞれの文化で違う。日本で「愛情」だと思っていたことはスウェーデンでは「愛情」ではないし,日本で「愛情」がないと思われることは,スウェーデンで過ごすとそう思われない。日本で過ごす我々が「愛情」だと思っていったことは本当に「愛情」なのであろうか。本書を通して気づかされることがいっぱいあると思う。
    
    本書の前半は保育園入園までの筆者の子育て日記,後半は子育てにまつわるスウェーデンの社会情勢の解説が多めな形式になっている。なので,スウェーデンという社会の子育て事情を知りたい場合は後半(スウェーデンで子育てするということ)から読み始めることもできると思う。逆に前半は日記形式なので,最初から読み進めたほうがいいように思う。
    
    1点だけ本書を読む際の前提を書くのであれば,スウェーデンの地方都市での子育てエッセイということである。本書でも言及されている通り,筆者の「余裕あるスウェーデンでの子育て」は,スウェーデンの社会制度に地方都市という要素が加わったからこそ実現されているものであり,都会ではまた違ったものになるであろう。スウェーデンの都会事情と地方都市事情を簡単に調べた上で本書を読むと,単純に読むよりも違った「景色」を味わえるかもしれません。

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著者プロフィール

翻訳家。エッセイスト。理想の子育て環境を求めて、2010年に家族でスウェーデンに移住。現在(2021年)小学6年生になった娘を通じてスウェーデンの保育園や小学校の教育を体験。2011年から高校で第二外国語としての日本語を教え、スウェーデンの教育現場の現状を様々なメディアで紹介している。ストックホルム大学で高校教員免許を取得中。おもな翻訳書にアンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)、トーベ・ヤンソン『メッセージ』(フィルムアート社)、レイフ・GW・ペーション『許されざる者』(創元推理文庫)、著書に『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(東京創元社)などがある。

「2021年 『こどもサピエンス史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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