ローマ帽子の謎 (創元推理文庫 104-5)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104054

感想・レビュー・書評

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  • 話題の芝居が上演されている最中のローマ劇場の中で、
    突然、正装の弁護士が死体となって発見される。
    捜査にあたることになったリチャード・クイーン警視と、
    その息子であり並外れた推理力を持つエラリーは、
    被害者の持ち物であったシルクハットが紛失していることに気づき、
    そのことだけを手がかりにして、論理的に犯人に迫っていく。

    ミステリ史上にその名を残すエラリー・クイーンが
    ヴァン・ダインに対抗して発表したデビュー作であり、
    作者と同名の名探偵が活躍する「国名シリーズ」の第一弾。
    原題「The Roman Hat Mystery」。

    国名シリーズは、まだかなり小さい頃に読んだ
    児童書版の「エジプト十字架~」しか知らないので、
    エラリー・クイーンがどのようなキャラクターか、
    といったことなどはほとんどわからず、新鮮な気分で読めた。

    だが、この作品ではエラリーはほとんど表に出てこず、
    影が薄い印象なので、その点ではやや不満が残る。
    父であるリチャードは、しきりにエラリーの手柄を讃えるが、
    読者にはエラリーの凄さはいまいち伝わってこないのだ。

    ミステリとしてはかなりシンプルなつくりをしていると思う。
    もちろん容易に見抜ける真相ではないのだが、
    探偵が真相にいたった経緯を説明するくだりはやけに短い。
    事件自体が込み入ったものではないのでやむをえないが、
    「えっ、それだけ?」という感想を抱かずにはいられない。
    ただ、「帽子の紛失」というたったひとつの手がかりから
    推理を発展させていき犯人を決定してしまう、という
    力強いロジックの使用法は、実に本格らしいと言えるだろう。

    だが、いかんせん長い。
    プロットと分量のつりあいがとれていないように感じる。
    もう少し短ければ、非常に高品質な中編になっていたかもしれない。

    エラリーの活躍を期待していたのもあり、やや不満。
    それでもやはりクイーンであるから、星は3つ。

  • エラリー・クイーンのデビュー作にして国名シリーズの第1作。
    有名な「読者への挑戦状」もここから。

    初期の作品なので、ヴァン・ダインの影響と冗長を感じる。
    だが、論理的思考はまさにエラリー・クイーン。

    新訳が出版されたので、そちらとも比較してみたい。

  • エラリイが旅行に行っちゃった途端に元気がなくなる親父さんが可愛い(笑) "quod erat demonstrandum" で締められるに相応しい論理でした。

  • エラリークイーン親子の活躍!もう、わくわくします。少しずつ謎を解き明かしていくその手法に感嘆したり、ストーリーの合間に見られる親子の労り合いなどのほのぼのしたり。最高です!

  • 推理小説界の巨頭、エラリイ=クイーンの処女作である。

    よく言われる通り、S・S・ヴァン=ダインの影響がところどころに見られるが、ヴァン=ダイン独特の衒学的な読みづらい感じはなく、全体的にすっきりと読みとおせる。

    Xの悲劇でクイーン崇拝者の仲間入りをした身としては期待が大きかったが、少し拍子抜けした感じ。
    何が問題って、時代背景が判らないと呑み込みづらい点じゃないかと思う。
    主として社交のルールである。服装やらエスコートやら。
    本文から推察はできるものの、なかなかピンと来なかった。

    ちなみに、LL32とLL30が隣り合わせだというのが最も呑み込みづらい点だと思われる。
    これは恐らく数字が左右で順に振られているのだろう。
    つまり、奇数は右翼、偶数が左翼なのである。
    LL31はどこ行った、と意味不明であった。

    しかしやはり、読者への挑戦には興奮するよね。

  • トリックは大げさなものでなくさほど意外さは感じられなかったが充分納得のいくものでした。
    犯人については予想した範囲でしたが、自分の中では動機が上手く見つけられず結果としてあっていたって感じです…。
    もう少し洞察力を磨かなきゃかな。

  • クイーン初挑戦。……劇場見取り図が欲しいと思ったのは私だけか?(笑) あと、この時代(と国)における「帽子」の重要性だとかがよく分からなくて悩んだり。あーもっと勉強しなくちゃ。
    思ったよりも地味な作品という印象を受けたけれど、やっぱり論理は綺麗だね。なるほどなるほどーと納得。確かにこれは読んでおかなきゃあ。

  • 国名シリーズ第一弾。衆人環視の劇場の客席で男が殺された。第三者の証言から、犯人は劇場内に留まったままと思われたが、警察の捜査もむなしく手がかりは得られない。しかし、父親のクイーン警視に同行したエラリーは、被害者のシルクハットが何者かに持ち去られていることに気づき…


    真相を看破できなかったことが、こんなに悔しかったミステリィはありません。恥ずかしいとすら思えるのは、それだけフェアに手がかりを与えられていて、極めて論理的だから。推理のプロセスは単純な消去法の繰り返しなんだけど、大きな論理の破綻も無いし失望させられない。帽子の謎だけで話を長く引っ張りすぎてる印象もありますが、「読者への挑戦」を付す為のヒントを蒔いてるんだと思えば苦ではありません。ミステリィを齧ったことがない方には、クリスティの前に是非EQをお勧めしたいです

  • 面白かった!!

    個人的には先に読んだドルリィ・レーンのシリーズよりもこちらの方が好きでした。
    国名シリーズはまだこの1冊しか読んでいないので、続けて読みたいと思います。

  • 国名シリーズの本家本元に手を出してみた。
    読み辛い。読者への挑戦状のところでなんて判りません。
    クィーン警部は意外と子離れしていない。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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