ローマ帽子の謎 (創元推理文庫 104-5)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104054

感想・レビュー・書評

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  • エラリー・クイーン・シリーズ

    弁護士モンティー・フィールド殺人事件。ローマ劇場で毒殺されたモンティ・フィールド。現場から消えた被害者の帽子。強請屋である被害者のシルクハットに隠された秘密。劇場に招待されていたモンティー・フィールドの元共同経営者ベンジャミン・モーガン。モンティー・フィールドに強請られていたベンジャミン・モーガン。被害者のポケットにあった小物入れの持ち主フランシス・アイヴィス・ホープ。彼女の婚約者で役者のスティーブン・バリー。モンティー・フィールドの強請りのネタの隠し場所。

     1997年7月10日購入

     1997年9月17日読了

     2010年1月4日再読

  • これがかのエラリー・クイーンのミステリですか。
    お恥ずかしながらわたくし、エラリーというとえらそうな私立探偵かなにかだと思っておりました。いい意味で予想を裏切られました。

    警視リチャード・クイーンとその息子エラリー・クイーンが取り掛かる謎は劇場内での殺人。
    被害者は悪徳弁護士、ときは劇の真っ最中、死因は毒物の嚥下。
    被害者の付近の席は七つも空席で、男は死に際に「殺られた」と呻いたという。
    クイーン父子は死体を見て気付く。弁護士の凝った正装にあって然るべき帽子がどこにもなかった。
    すぐさま劇場内にいた人々をとじこめ、身体検査を始めるがなにも出てこない。
    犯人は?目的は?どうやって殺したのか?父子は謎を解明すべく奔走する――。

    読書の愉しみという点ではそれはもう楽しませていただきました。何しろ、警視とエラリーの会話がかわいくて仕方がない。
    どちらかが怒ればどちらかがくすくす笑うといった様子で、お互いを思い合った、非常にバランスのいい父子です。
    クイーンは息子をのらくらした道楽者と嘆きながらも捜査の供としなければ落ち着かず、実はかれの知恵を誇りに思っている。
    エラリーは見つけた初版本を買いに行きたくてしかたがなく、嫌味を言いながらも父についていく。
    とくにエラリーの発言についてはシェイクスピアや聖書など引用や比喩のたぐいが多岐にわたり、この小説が教養のある人物の手によるということがはっきりわかります。

    正直最初に文章に目を通したとき、原文が透けて見え、さらには修飾語が日本語としては不自然に多い訳文にうんざりしたものですが、細部にいたる訳者註に目を通しているうち、訳者もこの作品に敬意をもって訳したのだろう、ということを理解せざるを得ませんでした。
    問題があるのは主に地の文の表現で、「ちゃめっぽい」(何度か使われていて最も気になった語です)などところどころ最適とは思われない表現があてはめられているのは気になるところでしたが、エラリーの敬語口調や人物の動作にたいしての形容詞の選びかたについてはある程度評価したい。
    前述した散りばめられた教養のせいで、わたしならこの小説を訳すのはいやですから。

    ◇謎にかんして(ここからネタバレです)

    肝心な謎に関しては、作者からの挑戦がつきつけられた時点で犯人の見当はついていました。
    なんとなくというか、帽子にかんする謎を考えたときその必然性から犯人はおのずと導き出されていました。
    しかし即座に頭のなかでその可能性を打ち消したのは、犯人が舞台上にいる計算になってしまう、と思ったからです。この点に関して、クイーンはフェアだったでしょうか?
    もし記述があったとするならお手上げです。降参です。
    クイーンはヒントを堂々と提示しておきながら、その直後に読者の気をそらす天才らしい、というのは薄々感じはじめているので、次の作品を読むときはせいぜい丁寧に読みますよ。

  • 衆人環視の劇場の中で、突然、死体となって発見された、正装の弁護士。シルクハットが紛失していることを唯一の手掛りに、苦心惨憺たるエラリーの活躍がはじまる。その名前を一躍、推理小説界のスターダムに押しあげて、ヴァン・ダインと名声をきそわせるにいたった処女作。さすがエラリーの推理は、後日あるを思わせる本格推理の名編。

  • 巨匠

  • エラリー・クイーンもの。国名シリーズ第一作でエラリーの処女作。本格推理は推理が当たらないのであまり読まないけど、推理小説読むからには読んでみた。 内容的には警視メインだったことがあれだったけど、内容はよかったと思う

  • 言わずと知れたエラリー・クイーンの<<国名シリーズ>>1冊目。クイーン親子の事件簿はここから始まったのかと思いながら読むと情緒たっぷり。時代が変わっても本格ミステリの雰囲気というのはやはりいいものですね。

  • 衆人環視の劇場の中で、突然、死体となって発見された、正装の弁護士。シルクハットが紛失していることを唯一の手掛りに、苦心惨憺たるエラリーの活躍がはじまる。その名前を一躍、推理小説界のスターダムに押しあげて、ヴァン・ダインと名声をきそわせるにいたった処女作。さすがエラリーの推理は、後日あるを思わせる本格推理の名編。

  • クイーンのデビュー作にして国名シリーズ1作目です。
    探偵は作者と同じ名前のエラリー・クイーンです。
    謎をあくまで論理で解いていく過程がゾクゾクしますね。
    終わりも近くなった頃、犯人は誰でしょうと例の読者への挑戦状もあります。
    良く読んでみると本当にエラリーは鋭い事を何気なくぶつぶつ口にしていたりして驚きました。
    もの凄い伏線張っていたんですね。

  • 例の<a href="http://mazudai.blog72.fc2.com/blog-entry-40.html">『ニッポン硬貨の謎』</a>読んでから、クイーンを読み直してみようと思い立ったわけさ。いざ読み直してみると、<b>劇場から帽子を持ち出すハナシ</b>という<b>あたらずとも遠からず当たり障りも無い粗筋</b>しか覚えていなくて、新鮮は新鮮だった。

    あと、エラリー・クイーンといえば、<b>縁なし眼鏡</b>などかけており、ものすごくモダーンなイメージがあるのだな、俺には。<b>全く根拠は無いが</b>、フランク・ロイド・ライトの建築物のある風景がイメージされるのであった。

    まぁ時代的には決して間違っていないのだが、時代背景としては禁酒法下であったりとかでちょっとビックリ。<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/1929%E5%B9%B4">調べていたら</a>『ローマ帽子の謎』が発表された1929年って大恐慌が始まったり、St.バレンタインデーの虐殺とかあった年なんだねぇ。へぇ。

    というわけで、<font color="white">黒人の血が混じってることがバレるとまずいから殺しました</font>という動機は、いかにも時代を感じさせるなぁ、と思ったのだった。

    「話を純粋に理詰めにしていくと、与えられた方程式の中で、一つを除いて、あらゆる可能性を極めつくした後、あとに残った一つの仮定は、どんなにありそうにないことにみえようとも、(中略)正しいものでなくてはならない。」

    と作中でエラリーは言うわけだ。確かにそうした推理法が展開されるものの、真犯人の唐突感は否めない。アンフェアとも言える部分もあるかな?<font color="white">出演していた男優全員に犯行は可能だったんじゃないの?</FONT>とかさ、<font color="white">犯行時刻前後に誰が舞台にあがっていたのかが明示されていない</font>とか<font color="white">黒人の血が混じってたら、まず見た目で解るだろうよ!恐喝されるまでも無く</FONT>とかもね。

    まぁ、モダンクラシックの雰囲気は楽しめたよ。

  • あの有名なエラリィ・クイーンの第一作目。
    確かに帽子のありかってか謎がね。
    どこにあるのか全然見当つかなかったよ。
    でも面白かったー。私はクイーン警視よりエラリーの方が好きです。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エラリー・クイーンの作品

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