- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488110062
感想・レビュー・書評
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推理小説というよりは哲学書?
孤独で救いのない世界で普通に暮らすことができていることに感謝するサイムや他月曜から土曜、普通な暮らしに退屈と不平等感を感じ破壊を目論むグレゴリー。見方の完全に異なる両者だが、神(日曜)が説明する権利を与えたのは前者であった。カトリック的価値観がチェスタトンのわかりやすい例えと吉田健一のわかりやすい訳で理解できる至高の一冊。 -
無政府主義者の秘密結社の委員は「日曜」「月曜」と曜日で呼ばれているが、そのうちの「木曜」に欠員が出たため、新たな「木曜」として選ばれたのが詩人のガブリエル・サイムであるが、彼は実はその陰謀を防ぐために組織に潜入した刑事であった。
議長である「日曜」の峻烈な意思のもと、ロシア皇帝とフランス大統領の爆破暗殺が計画されるが、その計画の過程で他の委員たちの正体が徐々に明らかになっていく。
読後、これは探偵小説なのかどうかもよくわからない、不思議な状態となった。白昼夢のような雰囲気のなか、物語は結末を迎えるが、この不思議な感覚を味わうという意味では一読の価値はあるかも知れない。ブラウン神父シリーズとは、まったく趣が異なるのも興味深い。 -
ストーリーは図式的なのに、レトリックの巧みさと吉田健一の翻訳のおかげか、読めた。
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BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。
津村記久子さんの人生を変えた一冊。
ー大学2年位のころでしたね。すごい面白いと思って。多分これより面白い本はないんじゃないかと思っています。基本的に小説に求めるもののすべてがこの作品に詰まっていたんです(津村記久子さん)
原宿ブックカフェ公式サイト
http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
http://nestle.jp/entertain/bookcafe/ -
小説の前半と後半でまったく別の作品かと思うほど展開が変わる。前半の、前世紀の暗黒都市ロンドンを怪しく描いた雰囲気は好き。推理小説として読むと、筋立てはだいたい読めてしまう。あーやっぱり、と思いつつも読ませる何かはある。
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「知識人の言葉遊びになった”アナーキー”を取り戻したかったのさ」とジョン・ライドンが語る(嘯く)映像を見た記憶がある。
アナーキーが知識人の言葉遊びになる前、クロポトキンも大杉栄も生きていて、ヨーロッパでは爆弾事件が起こっていたロシア革命前夜の1908年に書かれたのがこの本。
詩人警察官の無政府主義の秘密結社へ侵入捜査のドキドキのサスペンスと思いきや、ラジカル・ガジベリビンバ・システムの芝居のような不条理な喜劇となり、それが象や気球も出てくる追跡劇となる。そして最後は神学的問答で終わる・・・。どうも、この最後の神学的な問答がわかりにくい。
「すべてを破壊してやる」というアナキズム(本来のアナキズはそうではないが・・・)は自己矛盾した存在であり、組織化した無政府主義者なんて自家撞着している。それに対する皮肉なのか?
そういえば、若松孝二の「天使の恍惚」で、季節でよばれる隊長、月でよばれる指揮官、曜日でよばれる兵士という構成になっていたが、この本の影響?それとも革命組織では当たり前のこと?
冒頭の「芸術家は無政府主義者だ」で思い出したが寺山修司。 -
あらすじの展開を素直に期待していたのが良くなかったのか不条理的な展開にはついていけなかったし、登場人物たちの会話も理屈っぽく感じて読んでて疲れた・・・。ユーモアなのかもしれないけど、途中から流れが似てくるのもハマらなかったなぁ・・・。