- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488118112
感想・レビュー・書評
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クリスティも絶賛したと言われるトリックが用いられた作品です。
主人公格(探偵役ではない)であるイヴ・ニールが犯人でないことは、読者には分かるのだが、状況的証拠から容疑者の扱いを受けてしまいます。
登場人物数も少なく舞台も狭いため、比較的犯人候補は絞りやすかったのですが、私には見抜くことができませんでした。
あまり詳細には触れませんが、ストーリーに若干の偶然性が盛り込まれており、またトリックに関しては、人によってはアンフェアと捉える人もいるだろうなと感じましたが、私は十分楽しめるものだと思います。
犯人、トリックを理解した上で、再読したい作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても読みやすい翻訳モノ。登場人物が絞られているので名前が覚えやすく、人物のイメージもつきやすいのでは。
トリックがもてはやされる本作。でも一番の面白味はイヴがいかに事件に巻き込まれ窮地に追い込まれるかというサスペンス要素にあると思う。女の私から見て、こういう危なっかしい女性というのはわりと身近に思い当たり、その人達を重ねてハラハラヤキモキ。彼女の心理の描かれ方もアガサ・クリスティーあたりの女性作家が書いたように違和感はない。
トリックそのものは私は鮮やかだと思うし、謎解きをしようと思って読むわけではないので真相がわかった時の驚きを味わうこともできた。ミステリー初心者でも楽しめる作品。 -
4+
上手い。巧みに編み込まれた絶妙なミスリード、後になって気付く手掛かりのバラまかれっぷりに脱帽。無理なく無駄なくテンポ良く、このスピード感も心地良い。 -
古典ミステリの真髄を見せつけられた思いです。
本当に面白くて大満足なんです、ただ一点を除いては。
その一点は完全に私のわがままというか、それがなかったらそもそもこれは名作になっていないだろうという重要な一点なので、どうしようもないのですが。
でもやっぱり残念だったので、☆は−1にさせていただきました。
しかし文句なしに面白いのは事実です! -
あ~、確かにね!って思った。
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<ブックレビュー>
面白かったし騙された。真犯人は見破れなかった。
江戸川乱歩が「物理的に絶対になし得ないような不可能を、不思議な技巧によってなしとげさせた」と絶賛していたという。確かに、盲点を突いた見事なトリックだった。トリック自体は無理のない自然な技法だが、それが見事に読者の盲点を突いている。「なるほど!」と思わせる納得のいくトリック。それでいて、物理的に不可能な状況を作り上げている。
古典だが現代でも十分楽しめる。 -
ある意味タイトルからしてミスリード!
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トリックというよりは、設定が面白い。場面設定、キャラクター設定、ストーリーが秀逸。思わず引き込まれる。続きが気になって仕方なくなるので一気に読める。
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古典的名作ミステリーとして有名な作品。婚約者と元夫の板挟みになった女性が陥った罠。アリバイトリック、心理トリックが巧みに取り入れられて読者も一緒に騙されてしまう。その後真犯人にとって思わぬ誤算続きで真相が鮮やかに描き出されていくのが読んでいて楽しかった。
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翻訳が非常に読みやすい。上質な推理小説。
「涼しい九月のピカルディ海岸の夜明け。クレヨンで描いたような赤い線が水平線にひろがって、絵の具箱を浸したように海を彩る。やがて太陽が顔を出すと、ドーヴァー海峡からの風に吹き立てられた波の波頭が、点々と小さく朝日を受けてきらめく」