夜歩く (創元推理文庫 118-14)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118143

感想・レビュー・書評

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  • 処女作にして代表作の「夜歩く」は、本格推理小説として名作であると思う。
     カーの作風を要約して、不可能犯罪と怪奇趣味、そしてユーモアと指摘したのは江戸川乱歩である。繊細な神経が細部までゆきとどいていて、大胆なまでの伏線が張りめぐらされている。
     ストーリーは完璧であるのは勿論のことだが、余りにも描写が過ぎ本題のトリック的に無理があるのではないかと思うところもあった。
     正直な感想を敢えて言うならば、読者に事件が起こった当初、勝手に犯人像をイメージさせてしまうところにこの作品の匠があるように思われる。
     推理小説の読者は、そのことを分かっていても陥りやすい。しかし、その意外さが古典推理小説の楽しみの一つだと思う。
    お薦めの一冊です

  • バンコランもの。ローランの元妻であるルイズは、公爵のラウルと婚約をしていたが、ローランが殺すという脅迫をしてくる。その結婚式の夜、ラウルより相談を受けていた予審判事のバンコランとその友人のジェフ・マール、グラフェンシュタイン博士、ラウルとルイズ、更にその友人のヴォートレルは、<フェネリの店>にいたが、それらの監視の下、密室状態になって、ラウルの首切死体が発見される。

     カーは、フェル博士やH・Mから入ったので、バンコランの悪い評判ばかり聞いていた関係でバンコランものをこれまで全く読んでなかったのだけれど、最近ちょこちょこ話題をとあるところで聞いたので読んでみました。
     それほど読んでみて悪い評判だとは思わなかったなあ、というのがバンコランの印象。冷静でただ罪に対しては仕事なので見逃すことはしない予審判事で、後者が特に後半になるといろいろ「黒く」見えるのかもしれませんが。
     内容的は面白かった。トリックは見破ることはできませんでしたが、冒頭の見取り図に書かれているとおり、見取り図はかなり重要ですね。ただ、トリック自体は比較的ありふれているし、最後のほうで明かされる事実もすぐわかったので、トリック部分としては少々いまいちでした。展開などはとてもおもしろかったのですが……。

  • ミステリ。長編デビュー作。アンリ・バンコラン・シリーズ。
    『グラン・ギニョール』で中編版を読んでいるが、全然覚えてなかった。
    現実的には無理があるトリックだとは思うが、著者の魅力が詰まった作品だと思う。
    衝撃的な死体発見シーン、不可能犯罪と思えるような状況、奇抜なトリック、大胆に張られた伏線、怪奇趣味と、好きな要素でいっぱい。
    犯行のトリックが事件の核心でないというのも面白い。
    個人的には著者の作品でもベストに近い評価。

  • メインのトリックが単純な割に話に装飾が多くてちょっと疲れた。

  • ジョン・ディクスン・カーの処女作。
    デビュー作からしての密室をテーマにした不可能犯罪ものだったが、
    見取り図の不自然さからネタはわかりやすい。
    そのうえ似通ったキャラクターが造形されているとなると……。
    けれどラスト1行では物悲しさとともに本書の特徴を見事に言い表している。

    ミステリ:☆☆☆
    ストーリー:☆☆☆
    人物:☆☆☆
    読みやすさ:☆☆☆

  • 刑事たちが見守るクラブの中で、新婚初夜の公爵が殺され、現場から犯人の姿が忽然と消えた。
    バンコランが怪事件の謎に迫る。

    カーのデビュー作。
    雰囲気はたっぷり。
    トリックは大胆(大胆過ぎかもw)
    いたる所に伏線が貼ってあって、それはそれで楽しめた。
    ラストの一文が効いてる。

  • 整形した殺人鬼の元夫、新婚初夜の新夫の首なし死体、妖艶な美女、阿片の香り、密室、ロマンス、超人的探偵とその助手、と全部入り。まさに猟奇趣味丸出しのグランギニョルなミステリー。1920年代のパリというのはシュルレアリストが跋扈した時代なのね。

  • 古典ですなぁ。

  • カーの処女長編。本格ミステリの面白さがすべて揃っている。密室殺人、アリバイ崩し、変装した殺人鬼、大量の伏線とそこから展開されるロジック・・・・・・そして、もちろんカーの魅力である怪奇趣味やユーモアも盛り込まれている。ただ、トリックは非常に大胆なので、許容範囲を超えてしまう人もいるかも。

  •  刑事たちが見張るクラブの中で、新婚初夜の公爵が無惨な首なし死体となって発見された。しかも、現場からは犯人の姿が忽然と消えていた! 夜歩く人狼がパリの街中に出現したかの如きこの怪事件に挑戦するは、パリ警視庁を一手に握る名探偵アンリ・バンコラン。本格派の巨匠ディクスン・カーが自信満々、この一作をさげて登場した処女作。<Amazonより>
     本格の古典となっているディクスン・カーのデビュー作。設定された舞台で起こる殺人事件。不可能とも思える密室殺人。犯人は誰。というまさに本格推理と言うべき作品。伏線もいたるところにちりばめられており、最後にすべてを解き明かすところはやはり本格の醍醐味です。しかし、その推理小説的なところはいいのですが、ラストにエピローグ、大団円のようなものがなく、幕がいきなりバサッと落ちたようになっていたのには少し驚き。完全燃焼みたいな感じですけど、もうちょっとひっぱっても・・・。

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