死の第三ラウンド―アイリッシュ短編集 (2) (創元推理文庫 (120-4))
- 東京創元社 (1972年4月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488120047
感想・レビュー・書評
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「死の第三ラウンド」(Death in Round 3)が一番か。
ボクシングの第三ラウンドで、オデアは死んだ。しかも賭け試合で勝つことになっていたのに。かつてのチャンピオンで今はオデアのトレーナーになり汗ふきをしている俺がいた位置から銃弾が発射されていた・・
ボクシングと賭け試合の熱気が伝わる。
「墓とダイヤモンド」(One Night To Be Dead Sure Of)
莫大な遺産を相続しずっと1人で生活していた女性が死んだ。お金は宝石に変えていた、その宝石に囲まれ棺桶に収まりたいとの遺言。それがちまたにもれ、悪者二人は葬儀の前に棺桶に入りこみ盗もうとするが・・ そううまくはいかないだろう、と察しはつくが、悪者のやりとりがおもしろい。最後は、やっぱりそうだよねえ、となる。
「殺人物語」(Murder Story)
小説家のおれ。”被害者自身の手による殺人”、という小説を書き上げ、出版社に送るばかりになっていたが、一服し新聞を買うと、「有名作家、奇怪な死亡」という記事が3面に・・
「検視」(Post Mortem)
ミード婦人の馬券が15万ドル当たったと男3人がやってくる。しかし夫人は馬券を買った記憶が無い。しかもミード氏はつい先日死んで、今は再婚しミセス・アーチャーなのだという。そしてアーチャー氏は夫人に陽に当たるようにと浴室で使う太陽光線機を買い与え、毎日忘れ物をし夫人が風呂に入る頃帰ってくるのだという。・・ここまで読むと何か先が見えてくるが、やや廻りくどい設定の殺人。
「チャーリーは今夜もいない」(Charlie Won't Be Home Tonight)
夜、薬局ばかり狙われる事件が多発。最近のは店員まで殺している。しかもその事件が起きた夜はキーン警部の息子チャーリーも決まって外出しているのだ・・
「街では殺人という」(Town Says Murder)
田舎にひっこんだ夫婦。隣人殺しの疑いを妻はかけられるが・・
「田舎者が都会へ出てくると、幾日もたたないうちに、都会で生まれて育った人間みたいになる。ところがその反対の場合だと、なかなかうまくいかないものなの」という言葉が鋭い。
他に
「消えた花嫁」(”アリスは消えた”でコーネル・ウールリッチ短編集3所収)
(All At Once,No Alice)
1972.4.28初版 1975.3.28第6版 図書館