007/ロシアから愛をこめて【新訳版】 (創元推理文庫 M フ 10-4)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488138103

作品紹介・あらすじ

【名作ミステリ新訳プロジェクト】恥辱を与えて殺害せよ――。ソ連の殺害実行機関SMERSH(スメルシュ)から死刑執行の指令が下った。標的は英国秘密情報部の腕利きのスパイ、007のコードを持つジェームズ・ボンド。彼を陥れるために、SMERSHの作戦計画立案者は、英国秘密情報部が飛びつくに違いない、魅力的な“餌”を携えた国家保安省の美女を送り込んだ……。巧妙に張りめぐらされた二重三重の策略と、ボンドを襲う最大の危機! 新訳で贈る007シリーズ最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 2022/2/4北京五輪開会式の日に読了した。(当時、全く意識はしなかったけど)
    SMERSHの「ボンドに恥辱を与えて殺害する」作戦が、なんかみみっちい。どうせ美女を使って誘惑するなら、ラブシーンに力を入れて欲しかったが、あの程度の描写が1950年代の限界だったか? あと、結末は所謂「クリフハンガー」で、次回作を期待させるものだったのかな? 

  • なんだこれ、『カジノ・ロワイヤル』から、格段にスケールアップしている!
    というのが、冒頭を読んでみて、いきなりの印象だ。
    プールサイドで、底知れない男の筋肉をもみながら、その女性は、相手のことを、知るまい、知るまいと気をつけている。
    読者としては知りたいのだが、彼女の生命のためには、まったくもってそれが正解だろう。

    さて、読んでも読んでも、007は出てこない。
    ジェームズ・ボンドの名前も出てこない。
    出てくるのは、マッサージを受けていたドノヴァン・グラントなる男についてだ。
    アイルランド娘とドイツ男性の一夜の関係で生まれたこの男は、殺人狂である。
    今でこそ、犯人像として珍しくない人物だが、1957年出版の本に出てくるとは思わなかった。

    自国に飽き足りなくなった青年は、ソビエトに渡り、天職にたどり着く。
    SMERSH(スメルシュ)――ソビエトの誇る暗殺機関の、死刑執行官である。
    ソビエトは、スメルシュを使って、ある男の暗殺を決定した。
    007――ジェームズ・ボンドを「恥辱を与えて殺害せよ」今や首席死刑執行官となったドノヴァン・グラントに、その指令が下った。

    さて、この作戦には、見目麗しき女性が必要だ。
    タチアナ・ロマノヴァ――グレタ・ガルボの若い頃に似た美女――彼女が今回のボンド・ガールである。
    国家保安省伍長、まだ24歳、すれたところのない彼女は、
    「あなたの写真に一目惚れしました」
    ジェームズ・ボンドに言い寄る役として、ぴったりだ。
    ジェームズ・ボンドの名前が出てくるのが、数十ページ後、彼そのものが出てくるのが、第二部から、ボンド・ガールと合流するのが、ようやく、ええと――

    グレタ・ガルボに似た美女もさりながら、実は私はこの人もボンド・ガールに入れちゃってよいのではないかと、気になる女性がいる。

    ローザ・クレッブ、ヒキガエルに似た、美女ならぬ醜女である。
    スメルシュにおいて、作戦遂行部責任者の地位についており、部下や同僚から、重宝され、疎まれ、生理的に不快に思われている。
    偉そうで、拷問が好きで、"実動部員"としても実力者なので、近くにいたら堪らないだろうことはわかる。 
    けれども、私は彼女が気に入ってしまった。

    『ロシアから愛をこめて』は、読んだ後に映画版を見た。
    『ロシアより愛をこめて』――タイトルはちょっと違う。
    まともにソビエトを敵にはしていなかったり、機械の名前、機関の名前が変わっていたりするが、大筋は変わっていない。
    ドノヴァンは寡黙で、
    タチアナは美女だし、
    ローザは強烈だし、
    ジェームズ・ボンドはショーン・コネリー――男前だ。

    しかし、映画はさておき、この原作は困った。
    面白く読んだ後にこれか!

    早くつづきを読ませてほしい。

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