大忙しの蜜月旅行 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488183134

作品紹介・あらすじ

とうとう結婚へと至ったピーター卿と探偵小説作家のハリエット。従僕のバンターと三人で向かった蜜月旅行先は、〈トールボーイズ〉という古い農家。ハリエットが近くで子供時代で過ごしたこの農家を買い取り、ハネムーンをすごすのだ。しかし、いざ着いてみると、屋敷は真っ暗で鍵がかかっており、待っているはずの前の所有者は見当たらず……。巨匠セイヤーズによる、シリーズ最後の長編が新訳でついに登場。後日談の短編も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞記者を撒き、のんびりハネムーンを過ごそうとした、ウィムジイ卿とハリエット。
    ところが、滞在先の地下室で、遺体が発見されて……。

    シリーズ第11作。

    「推理によって中断される恋愛小説」という副題通り、ハネムーンを過ごしたいのに、事件がそれを妨害していく、という構造。

    結婚前後の周囲の狂乱や、新婚のふたりのあれこれが主軸で、ミステリはその彩り。

    準備がまったくできてない屋敷での、バンターたちの奮闘。
    ドタバタ劇で、全体的にユーモラス。

  • 図書館で。
    ようやく結婚にこぎつけたウィムジィ卿とハリエットさん…らしい。確かにラブロマンスの合間にちょこちょこと推理やミステリーが入る感じ。

    それにしても当時のイギリスは殺人の有罪判定=死刑なんだなぁ。探偵が意気揚々と犯人を特定し、事件を解決する作品を数多く見てきましたが、その後の刑罰執行で探偵が悩み苦しむ姿を描いた作品を見たのは初めてかも。ゲーム感覚で解いた事件が本当に真実なのか、計画的犯行ではなく偶然の積み重ねだったりしないのか。正義と悪を完全に2つに分け、探偵が絶対に間違っていないという姿勢を崩さないのはちょっと怖い考えでもありますしね。

    オマケのような短編も面白かったです。というか、ホント昔の奥様ってなにもしなかったんだな~とぼんやり思います。いや、使用人の監督とか人を使うのも大変だったでしょうが、でも子育ては乳母や家庭教師がついてるし、料理は料理人が居るし、掃除や洗濯と言ったことをする人も居るし、庭師も居るし、来客の応対をしたり使用人を取りまとめる執事も居る。正直、奥さん業と作家業に苦しむとか言われてもぶっちゃけ「そうなの?」としか思えないというか。まぁ今よりは一つ一つの作業に時間はかかったでしょうがそれでもねぇ?

  • ずっと待ってた本でした。今までの訳者さんが亡くなられたということを知らなかったのですが、これまでの巻と違和感の無い翻訳でありがたい限りです。ファンサービスのボーナストラックみたいなお話でした。

  • なかなか続きが出なくって
    前作までの訳者さんが
    亡くなってしまわれたのは少し残念。

    一応、新婚旅行で滞在する屋敷で
    前の持ち主が死んでいるのが見つかる
    という事件は起こりますが
    作者が「推理もある恋愛小説」と言ってるように
    メインはお貴族様と結婚した
    女流作家の気苦労やら、なんやら(笑)

    まぁ、シリーズを通して読んできた読者への
    ファンサービスな一冊ですね。
    御前様は相変わらずだし。
    新婦のハリエット嬢と執事のバンターが
    うまくやっていけそうで良かった(*^0^*)
    「田舎者」のご近所さんに振り回されて
    ついにキレるバンターに驚いたわ…。

  • 初めて読んだシリーズですが、この本が最後らしいです。推理小説なんだけど、恋愛成分多めでした。ピーターとハリエットがハネムーン(と言っても引っ越で、買い取った家に執事と一緒に向かう)に行きます。中々犯人が特定されず、色々あって買った家を出ることになってようやく犯人が分かりました。トリックというより仕掛けでした。ピーターの性格が少し怖かったのと、ワインの件でバンターが本性が出たところが印象的でした。

  • サブタイトルが「推理によって中断する恋愛小説」とありますが、まさにコレです。読後感はロマンス小説を読んだ感覚。
    イギリスの田舎の風俗描写と、新婚旅行で周囲そっちのけでキャッキャウフフするピーターとハリエットが凄い。この二人のファンなのでとっても楽しめたのですが、これは絶対にシリーズの最後に読むべき本で(ストーリーやキャラクターが繋がってる事もあり)、絶対最初に手に取っちゃいけない奴ですねw

    この作品、元が舞台脚本だっただけあって、今までの作品と一味違ってうっすら舞台の痕跡みたいなのが感じられて面白い。(例えば、居間にカメラが固定されてそこに次々キャラが出入りするような演出になってて、とても舞台的なんです)また、バンター単品の登場シーンも多く、よりウッドハウスのジーヴスばりの従僕っぷり描写が多くてびっくり。
    ピーター卿の母上のキャラクターがとっても良い。

    後日譚「トールボーイズ余話」も収録。これも幸せそうでとても良い短篇だった。

  • 分厚い文庫本が好きなので購入したのだけれど恐ろしく冗長で退屈な推理小説でした。推理によって中断される恋愛小説、なのだそうだが、登場人物の会話がいちいちまだるっこしいし金言や名せりふを引用して悦に入っているのがどうも鼻についてしまう。引きこもり生活の暇つぶしになるかなと思ったけれど、買った本じゃなければ途中で読むのやめてしまいそうだった。これはだめだ。

  • 2020/03/16読了

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著者プロフィール

ドロシー・L・セイヤーズ(Dorothy Leigh Sayers 1893–1957)
イギリスの小説家、劇作家、古典・現代言語学者、ディテクションクラブ第三代会長。オックスフォードに生まれる。オックスフォード大学サマーヴィル・コレッジにて現代言語学を学ぶ。長らく女性への学位授与を認めてこなかった同大学で学位を授与された女性の第一世代に属する。1922年から29年まで広告会社でコピーライターとして働く傍ら、Lord Peter Wimseyシリーズを執筆。アガサ・クリスティらと並び、探偵小説の黄金期を牽引する小説家の一人と目される。宗教劇の劇作家として、またダンテのThe Devine Comedyの訳者としても名を馳せた。

「2022年 『ストロング・ポイズン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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