- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488186067
感想・レビュー・書評
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持ち歩いて出先で少しずつ読む用に買ったのに、読み始めたらとまらず一気に読んでしまった。
救いのない話ばかりで、どこが面白いのか訊かれても答えられないのに。
シーラッハの事実だけを淡々と描写する文章が好きなんだと思う。
解説を読んで三部作の二作目『罪悪』を飛ばしていたことに気づいたので読まなければ…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やや星新一のようなブラックな読後感の短編集です。
こちらはSFではなく、ミステリですが。
人を殺した、という「罪」を抱く人々が裁判を通して「罰」を受けるというのが法治国家の当たり前の姿ですが、証拠として揃ったものから論理的に判断しているようにみえても、巧妙に真相が隠されていたり、罪を被った人が実は騙されていたりと、複雑な人間模様が濃縮された作品集です。
荒唐無稽な設定はなく、淡々と描かれる登場人物の描写にはリアリティがある一方で、やや「盛り上がり」に賭ける部分があるかもしれません。
イメージでいうと、どの作品も「どんよりした雲り空」のような雰囲気で、不快ではないし雨が降ったようなしんみりとした気持ちにもならないが、かといって楽しいわけでも心地よいわけでもない、というような感じでした。 -
20221019
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細胞がスタンディングオベーション
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『犯罪』『罪悪』に続く短編集。当初は本書を含めた三部作として構想されていたらしい。
前作および前々作と同様、描写は簡潔で、登場人物の心情はほとんど語られないため、読者の脳内で埋める余白部分が非常に多いのが著者の特徴。
幸せが一瞬のうちに奈落の底に突き落とされるような急転直下の展開が多いが、読んでいて驚くと同時にどこか納得してしまうのは、余白部分を埋めるパズルのピースの取捨選択が恐らく完璧だからで、率直に凄いと思う。
バッドエンドが多いので読後感の良さを求めるのであれば本書は向かないが、緊張感のある読み心地を体験したいのであればおススメの一冊である。
やはりシーラッハは現代を代表する短編作家だと、本書を読んで再認識した次第です。
いずれ翻訳モノではない、日本語ベースで書かれたこういうタイプの作品を読んでみたい。