女彫刻家 (創元推理文庫 M ウ 9-2)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488187026

感想・レビュー・書評

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  • 母と妹を切り刻み血まみれの抽象画を描いて無期懲役となったオリーヴ。精神鑑定は正常、かつ犯行を認め弁護を拒んでいる。彼女に関する本を書くことになったロズは対面するうちに疑問を感じ始める。本当に彼女が犯人なのか?謎解きもさることながら恐怖のウェイトが高い。背筋も凍るラスト。それも数行。ミネットウォルターズの出世作。

  • このミス海外編、1996年版1位。古いイギリス、ミステリーだけどやっと最近のやつに雰囲気近づいてきた。比較的読みやすいし、テンポも良い。作家の女性が猟奇殺人犯として服役中の女彫刻家と呼ばれている人を取材し事件の真相(冤罪?)をあばいていく話。主人公の女性が元警察官で現料理人の男性と一緒に丁寧に関係者を取材していきながら真犯人に近づいていくところが推理をきちんと説明してくれるのでわかりやすい。ただ、個々の目撃証言や推理はあんまり理解できないし、元警察官の店が襲われる事件との関連性が良くわからん。また、結論づけた真相に疑念を持たせる表現が最後にでてきて思わせぶりな終わり方がすっきりしない。これは、翻訳のせいか準主役の女彫刻家の人物像がぶれてしまっており最後にまたシリアルキラー的な雰囲気を匂わすことで混乱を与えてしまってるものと思う。

  • ミネット・ウォルターズの出世作。
    デビュー2作目にして、この完成度。ミステリ史に残る作品の一つ。
    家庭内の残酷な殺人事件に疑問を抱いた女性が調べ始めるのですが…。すごく怖いです!
    1994年、MWA賞最優秀長篇賞受賞作。

  • 内容は恐ろしいんですが、引き込まれるようにどんどん読んでしまいました。オリーブの恐ろしさの描写が秀逸でした。「鉄の枷」もお勧めです。

  •  パトリシア・コーンウェルの2作目。これはまたガラリと様相が変わる。シリーズではなくこういう独立したものを次々に書いていくというのも大変だろう。母親と妹の惨殺事件について、全面的に罪を認めて収監されているオリーブ。そして本を書くために彼女を取材していくうちに冤罪ではないかと疑念が生じ、真相追求にのめりこむ作家ロズ。この2人の女性を中心に物語が進む。まずオリーブの醜悪な造型がすごい。読んでいても危機感を感じるほどだ。しかし、本人との断片的な対話や、周辺の関係者の聞き取りを丹念に続けていくうちに、この作られたイメージが徐々に変化してゆく。本当は気弱で聡明な女性なのではないか、そうロズは確信し、そうしてみると単純にみえた事件の意外な真相が浮かび上がってくる。それがじわじわと明かされてゆく過程がなかなかうまい。そして、ロズの奔走によって納得のエンディングとなると思いきや、それがエピローグの最後で一気に暗転する。驚愕のラストというキャッチコピーはよくあるが、まさに中空に放り出されたかのような不安感しか残らない。ただ、作品としてこれは賛否が分かれるところだろう。ぼくはないほうがよかったのではという方に一票だ。

  •  初めてミネット・ウォルターズの作品を読みました。読みやすかったです。それから怖かったです。本当に、これで良かったんだろうか?って気持ちになります。

  • 久しぶりに何か面白いエンタメ小説が読みたいなと思って、1996年のこのミス海外部門第一位というコレを手に取ってみたのだが、この年は不作だったのか、このミスなんて最初から信用すべきでないのか、96年当時はこの程度でも面白いと思われていたのか、まあプロットといい伏線といいサスペンスといい今一なことこの上ないのであった。

    96年頃と言えば、僕は大学時代で、サラ・パレツキーとかP・D・ジェイムスとかイヴァノビッチとかいわゆる 3F系はずいぶん読んだ記憶がある。久しぶりに読み返したいなー。

  • 【真実は限られたごく狭い範囲にしか存在しないが、誤謬は無辺である】
    黒でも白でもない灰色のラスト。

  • 図書館で。
    人は異質な存在を恐れる、意味もなくなのか意味があってなのかは難しい所ですが。

    それにしても海外モノで仲の良い姉妹って見たことないなぁ。大体殺し合うほどいがみ合ってるのは何でなんだろう。まあ大体どっちかが美人で(大抵妹の方)主人公は姉って設定が多いんだけどそれも又なんでだろう。作者は姉属性の方が多いからなのか。

    というわけで人は見た目が8割だか9割という言葉をなんとなく思いだしました。憎むべきは彼女の愛人なんだけどやっぱり女性は男性に甘いなぁなんて思いました。だってあの警官、どう考えても恋に落ちる要素が無いと思うんだけど…ねぇ?

  • 「氷の家」と同じ作者だったので。

    「氷の家」とは全くつながりのない別の作品だったが、
    こちらの方が面白かった。

    本筋のミステリーもいつ誰にひっくり返されるのかとハラハラしたし、
    主人公自身の過去からの立ち直りもあったし、
    恋愛話も良かったし、
    腕の良いシェフも出てきたし。

    果たして主人公がたどり着いた結論が真実だったのか、
    含みをもたせるラストだったのも満足感に寄与してるかな。

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