朝霧 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413057

感想・レビュー・書評

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  • 再び短編集に戻って、シリーズ第5作目です。味わい深い短編が3本。「走り来るもの」がお気に入りです。でもなかなか6作目が出ないですね~。

  • 朝霧はよかった、ストーリーとしては。
    このシリーズを読んでていうことではないんでしょうが、古典の話にあまり興味が持てず、だんだんその要素が大きくなってきていて、読みづらくなってきました。

  • 円紫さんと私シリーズ第五作。
    一作目から、いろんなテーマの推理が描かれていて、一話だけでも読み切れるけど、
    全てを読むことで、日常から人生、学ぶこと、などなど、いろんなことに思いを馳せることになる。
    それでいてバラバラではなく
    全体を通じて統一感があり、
    しかも、
    個々の話もそれぞれが面白い。
    本当にうまく計算された
    本当にすごいシリーズ。

    締めくくられるのは淋しいけど、
    これ以降、続いていかないのも、
    この作品の面白さのひとつと思えば、
    それも楽しく味わいたいと思う。



    今回のお話も
    かなり繊細に描かれていて、
    話が脱線しそうに広がっても
    うまく収束していくし、

    伏線の張り方が丁寧で、
    あの話がここに繋がるのか…
    という流れが
    面白すぎる。
    かと言って、
    物語だからこそ許される、取って付けたかのようなワザとらしい力技のこじつけじゃなくて、
    人と人との関わりが
    丁寧に編み込まれているのが
    読んでいて嬉しくなる。


    いつも明日に繋がっていく、
    成長し、変化していく、
    当の本人は気付かないような小さい積み重ね、
    そういうことを感じられる。
    これ以降、
    物語の続きは書かれていなくても、
    続く予感を感じさせる、
    リアルな終わり方だったな…って思う。
    読者が続きに思いを馳せてみたくなる、
    作中に出てくるリドルストーリーに重ねた演出なのかもしれないし、そうではないかもしれない。
    あくまで自然な描かれ方をされているのが、すごくいいと思う。
    140914

  • 主人公は出版社への就職も決まりと始まる短編。
    社会に出ると時間の進行が速い。姉の慶事があったと思ったら、数年経ち、姪がいたりする。
    先輩女性編集者と話す「源氏物語」とか、なかなか興味深い話がでてくるのが有難い。高校生の光源氏クンが幼女の若紫を連れだして、自分の好みの女性に育て上がる。成程、源氏物語は紫の上の物語でもあるんだな。

    最後は祖父の若い日の日記にあった暗号。確かにあの素材は暗号に使うのにピッタリ。
    恋の予感を匂わせる終わりだが、続篇がありそうな気になるなあ。

    表紙のイラストが残念。正直、これはないんじゃないの、と思う。

  • 円紫さんと私シリーズの最終巻
    続編があってもおかしくない、むしろ続きがあるような終わり方なのにね・・・
    前々巻、前巻は長編だったけど、今回は中編3つ

    個人的には2つめの走り来るものが好き
    自分でもアノ結末を考えたけど、わかんなかった
    でも、回答がわかると、自分と奥さんの状態を表すとしたらあの文章しかないわと思う
    つくづく女って怖ぇ~と思う

    前回は芥川だったけど、今回は俳句や和歌がテーマ
    やはり自分には馴染みのない分野はよくわからん

    物語の内容は悪くはないんだけど、如何せん文学的な謎や薀蓄がどうにも私には合わないようだ

  • 『朝霧』に所収されてる三篇、
    「山眠る」
    「走り来るもの」
    「朝霧」
    のうち、一番のお気に入りは「走り来るもの」。女か虎か?の討論も読んでて楽しいし、なにより自分ならーと想像しやすい。愛、恋、男女……魅力のあるテーマの一つですね。

    知ったような口をきくけど、北村氏作品らしい雰囲気満々で、こちらのお腹も満腹まんぷく。
    話のテンポが軽快で、スラスラ読めてしまう。気持ちがいい。
    勿論、私の小さな脳みそをフル回転させたところで、そもそもの知識がないばかりに内容は難解な所も多い。
    だが、ちょっと難しいからと言って放り出したりなんか出来ない。どうしてだろうか?結局、最後まで読んでしまう。
    読書好きとして、共感できる部分があるし、本の話題が出てくる出てくる。出てきた本のタイトルをメモして、また私の積読本リストにアップされるのだ。
    ほくほく。

  • 同じシリーズでも「六の宮の姫君」よりはムカつかなかった。しかし基本的に、このシリーズの面白味が私にはわからない。いつでもなんでもすぐに解き明かす円紫師匠って神様かよ!そして、気になる男性に運命的に再会できる主人公。今後また、うまいこと縁がつながるんでしょうね、ハイハイ。ただ、紫の上の話だけは心にに残ったので、星2つ。

  • 「円紫さんと私」シリーズ最終巻。「山走る」は見方を変えたときに見えるものにゾクリとした。ただ前巻から文学を語る方向性が強くなってちょっとついていけない。
    まあそれはいい・・・・。
    以下ネタバレ。それにしても主人公である<私>の成長は読み応えはあったものの、もう一方の主要人物<円紫さん>には巻を追うごとに完璧すぎて、ただの便利屋さんでしかなくてつまらなくなった。てっきりこれはだんだん2人の距離が縮まって年の差気にせず交際へ、とかになるのかなーと思ってましたよ!思わない?!
    円紫さん、子どもは出てくるけど妻の話は出てこないし、てっきりシングルファーザーかなーとか。
    奥さんいるなら、そんな妻子ある男性がたびたび若い女の子を誘って2人きりで食事をするなんて奥さんの立場からは許せないでしょ~~!
    ほんのり下心を見えさせるとかそういうのもなく、ただただ便利な探偵さんでいたというのがこのシリーズの残念なところ。やっぱりシリーズとして2人の人物を登場させるならその関係は変化していかないと変でしょう。
    でもレビュー読んでいるとそこに触れている人はあまりいないんだよね。。。

  • 正直、内容が難しいかな。知識が足りないためにあまり理解できなかった気がする。ただ、だからといってつまらない訳でもないです。「朝霧」の話は面白かった。いろはにほへとでこんなにおしゃれな恋文ができるのかと感心しました。

  • 文学好きならもっと楽しめるんだろうなぁ。最終章の祖父の手帳の話が一番好き。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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