夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 7848
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488451028

作品紹介・あらすじ

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは"小佐内スイーツセレクション・夏"!?待望のシリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • ★5 小山内さんのスイーツ食べまくりに付き合う小鳩君、二人の夏は… #夏期限定トロピカルパフェ事件

    ■あらすじ
    高校二年生になった小鳩君と小佐内さん。二人はこの夏休みに〈小山内スイーツセレクション・夏〉というスイーツ食べまくり計画を企てる。その中で彼らはまたしても色々な謎に出会い、事件に巻き込まれてゆく。青春コージーミステリー、小市民シリーズの第二弾。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    完成度高い! ★5

    ストーリーも人物も謎解きもバランスも抜群の出来。さらに今回は娯楽性もミステリー要素もぐぐぐっと上がっている。ライトな読み口で230ページ短めの作品にも関わらず重厚感もある。連作短編ですが多様な切り口の物語を用意してくれてるし、飽きに最後まで楽しませてくれます。

    春期限定と比較すると青春、文芸の強度がエンタメに寄ったかなという感じで自分好み。手軽によめる青春ミステリーの完成形ではないのかと思えるほどの一級品でした。

    ●シャルロットは僕だけのもの
    小山内さんに頼まれて小鳩君はケーキを買いに行くも、売り切れでひとつ購入できなかった。それがきっかけとなり、小鳩君の静かな謀略に繋がるのだが…

    いきなり面白い。そして〈小山内スイーツセレクション・夏〉のリストが圧巻すぎる!あースイーツが食べたい。結末は世にも恐ろしいものでした…私だったら土下座します。

    ●シェイク・ハーフ
    親友健吾君と小鳩君がハンバーガーショップで出会う。会話途中で健吾が急いで立ち去ってしまい、小鳩君にメッセージを残していった。そこには「半」という漢字らしきメモが書かれていて…

    ダイイングメッセージではないですが、謎メッセージの解読もの。ちゃんとヒントはあるし、想像可能な範囲の真相で唸った。発想力の転換が必要ですね。

    ●おいで、キャンディーをあげる
    小鳩君が小山内さんの自宅で帰宅を待っていると、なんと小山内さんを誘拐したと電話が入る。狼狽しつつもワクワクしてしまう小鳩君に小山内さんから暗号めいたメールが届く。どうやら監禁されている場所のようだが…

    ついに大がかりな事件が発生、一気にサスペンス度が増してくる。様々な手がかりをたよりに解決に挑むのですが、またこれが冷静巾着な中にもキャラクターの味わいが出ていて最高。そして何より、小山内さんの静かにキレ具合に打ち震えました。

    ●スイート・メモリー
    誘拐事件の解決後、夏期限定トロピカルパフェを食べながら会話をする二人、狐と狼の本性を隠せなくなり…

    甘く美味しいトロピカルパフェだったはずが、決して生易しいミステリーでは終わらせてくれない。ラストも美しくも儚げで大好きです。

    ■ぜっさん推しポイント
    本作夏期限定も、派手ではない平穏な中にも、静かな躍動と葛藤が垣間見えるキャラクター陣でしたね。最終話でどう帰結するのかと思ってましたが、「狼」っぷりがエグかった。

    若かりし頃の成長の過程においては、バランスをとったり協調していくのがいかに難しいのか、胸にひたひた沁みる物語でした。まさに青春の悩みを表現している小市民シリーズ、最後まで絶対読みます!

  • 小市民シリーズ2作目。
    探偵ごとが好きな主人公と羊の皮を被った狼の性格の女子高生が、穏やかな小市民を目指す不思議な物語。
    2作目は隠れ食いをした主人公が、知恵を巡らせて食べなかったことにするという訳の分からない導入から始まる。ダークな狼少女小山内さんが怖くなるような展開。復讐に燃える小山内さんは、主人公を巻き込む罠を次々と仕掛けて行くが、最後は主人公の推理に脱帽する。
    二人の関係は拗れて終わるのだろうか?
    後、2冊購入しているが、こんな暗い内容だと読み進め難い。

  • 小市民シリーズ2作目。こちらも一気読み。
    小市民?いやいや2人ともとんでもない狐と狼でした。短編集なのに繋がっていて見事な伏線回収。その後の2人がどうなったのかが気になる。

  • 小市民シリーズ第二弾。
    前回とは違って、ダークな雰囲気が更に増し2人の本性がより強く出ている回となった。夏休みの中で起きたことを短編形式で起きており、それぞれで面白いのだが最終章で全ての伏線が回収されていくところで鳥肌が立ちました。
    まさか、彼女の「狼」的な一面がこんなえげつない形で発揮されているところがとても恐ろしかった。誘拐事件が石和達の仕業ではなく小佐内が彼女に罪を着せるためににわざと自分の誘拐事件を起こさせて、更に罪を格上げさせるという所が彼女の性格のひずみを見せつけてきてとても衝撃的でした。同じく、ゆきが誘拐されたことを自分の謎解き欲求の土台に使おうと葛藤する場面で、ゆきと同じように小市民になりきれていないという面で、常悟朗の本性は結局ゆきと似ているのかなと感じた。そして最終章で真相が明らかになる場面では常悟朗の推理を凌駕する真相を提示したところは、同作者の「愚者のエンドロール」と似たような雰囲気を感じました。最後は常悟朗とゆきが互恵関係を解消するところで終わったがこれからのシリーズでどんな展開がなされるかが楽しみです。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    小鳩常悟朗:福山潤
    小佐内ゆき:黒沢ともよ
    堂島健吾:日野聡
    石和馳美:上坂すみれ
    川俣さなえ:本渡楓

  • 小市民シリーズ第2段。

    2作目にしてキャラがしっかり出来てきた
    感じ。

    小市民な感じはしなくなってるけど笑

    秋季早く読みたいです。

  • 2021/01/20読了
    #このミス作品61冊目

    小市民シリーズ第2弾。
    連作短編となっていて
    序盤の日常の謎から後半の事件に発展。
    相変わらずスイーツの描写が上手く、
    冬なのに夏感半端なかった。
    パフェ食べたい。


  • 小市民シリーズ2作目。
    高2の夏休みです。
    一見普通の恋人だが、裏では....
    他で同時期に起こる事件とリンクしてだんだん重くなる。
    今回は誘拐。
    ラストはずどんと来た。

  • 小市民シリーズ2作目

    短編集で1話ずつ完結していますが、
    最後まで読み終わると、
    長編の章分けぐらいのイメージでした。

    小市民シリーズは、秋・冬と続きますが、
    二人の関係がどうなっているのか…

    続きが気になります。

  • 〈小佐内スイーツコレクション・夏〉計画を完遂するために、二人仲良くスイーツ巡りをする話。で済む訳はなく、想像の斜めをいく展開になった。なぜ小佐内さんは小鳩君を誘ってスイーツ巡りをしたのか。読み応えのあるお話でした。
    切ない終わり方で今後どうなっていくのかが気になるので、すぐに秋期を読もうと思います。

  • 1作目を読んでから時間が経ち、内容がうる覚えではあったけど、本作を読み進めるうちに「ああ、こういうダークなミステリーだったな」と思い出してきた。小市民を目指す二人の関係に一石を投じるかたちになったが、今後の展開が気になるところ。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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