夜の庭師 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488539023

感想・レビュー・書評

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  • 何、この傑作!出だしからディズニー映画の映像が眼に浮かぶ。イングランドにたどり着いた姉弟のモリーとキップはようやく雇ってくれる森の中の屋敷を見つけた。天性の語り部モリーと足の悪いキップ。一癖も二癖もあるウインザー家の人々。そして夜になると不気味な足音を立てて夜の庭師がやって来る。なんと魅力的な登場人物たち。両親がいなくても健気に召使いとして働く2人と謎めいた屋敷の秘密、そしてゴースト。すべてが明かされると最終章は児童書らしからぬサスペンスアクションのような急展開は血だらけで人がわんさと死んでいく。それでもラストはハリウッド映画のように、そして希望へ。娘が幼い頃に枕元で読んでやりたかった

  • ホラーファンタジーを題材とし、人としての生き様を考える。巨木を覆い隠すように屋敷が建っており家族四人暮らし。そこに孤児の姉弟が奉公に来る。既にその屋敷が薄気味悪いのはご近所で評判。巨木は人の願いを叶える代わりに「魂」(=生体エネルギー)を吸い取る。抜け殻みたいになったら木の下に埋められる。もう家族は駄目だ。よくない、と思っていても抜けられない。使用人2人は「これは邪悪」と本能で感じ取り、巨木の思い通りにはされない。スマホゾンビ共も巨木という名ではない何か巨大で邪悪な物に飲み干されればいいのさ。

  • 1800年代のイングランドのお屋敷を舞台にした、少しホラーなファンタジー。ホーンデットマンションのような…
    細かく区切られた表題で、字が細かいわりには読みやすかった。
    登場人物が少なめで関係性もシンプルだったから外国名でもすんなりはいってきたのもよかった。
    アイルランドと英国の歴史、とりわけアイルランドの歴史的苦難によって、モリー達がこうならざるをえなかった状況が、最後の作者ノートでわかり、何ともやるせない気持ちに…
    最後の男たちが団結しているところや、コンスタンスに人間らしい雰囲気が出てきたりとなかなかよかった。
    映像化するとしたらどんな感じなんだろうと妄想しながら読んだ。きっと実写だろうな。

  • ホラーテイストのファンタジーで、思春期の子どもが主人公で、その子どもの成長物語でもある、っていうのが欧米の児童文学で流行っているのか?
    先日読んだ『ゴーストハウス』もそうだったし。共通してるのはいかにも映像化されそうな舞台設定と展開、不安定な家族、主人公(の一人)が体が不自由で恵まれない境遇にある、悪者のゴーストが不死身(まあ、ゴーストだから当たり前と言えば当たり前だけど)、など。
    で、どちらも読んで大して面白くもなく、映像を見れば十分という点も共通している。
    なんか、いかにも作られた感じの話なんだな。こうすると劇的でしょ、怖いでしょ、みたいな。
    こういう物語はウェストールの『かかし』あたりが最初ではないかと思うけど、ウェストールがいかに才能があったかが、こういう物語を読むとよくわかる。他ではダウドとネスの『怪物はささやく』も良かった。そういう単にホラーファンタジーに終わらない深さのある物語とどこが違うかというと、やっぱり人物造形と心理描写ではないかと思う。
    この主人公の姉弟は親と別れて貧困にあえいでいるわけだし、姉は機転の利く利発な娘なのだが、ウェストールやネスの主人公たちのように、読者が身を切られるような切なさ辛さを感じることはない。たとえばこの姉がもう少しシニカルであったり、弟が内省的であったりすれば物語に深みが増したのではないかという気もするが、そもそものホラー描写がありきたりだからなあ。
    ディズニーが映画化するらしいけど、巨木と一体化した屋敷や庭師の様子なんかは、ディズニーの技術力で、多分本より雰囲気も迫力も出るんじゃないかと。
    これから読もうか迷っている人には、読まずに映画で大丈夫と伝えたい。

  • 引き込まれて一気に読めました
    アイルランドの田舎娘が、なぜ上流気取りの奥様の流儀で家政ができるのか不思議

  • 2017.04.30

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