九年目の魔法 (創元推理文庫) (創元推理文庫 F シ 4-2)
- 東京創元社 (1994年9月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488572020
作品紹介・あらすじ
なにか、おかしい。壁にかかった懐かしいこの写真も、愛読していたベッドの上のこの本も、覚えてるのとは違ってる。まるで、記憶が二重になってるみたい。そう、ことの起こりはたしか十歳のとき。大きな屋敷にまぎれこんだら葬式をやってて、そこでひょろっとした男の人、リンさんに出会って、そして、なにかとても恐ろしいことが始まって…少女の成長と愛を描く現代魔法譚。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
ダイアナ・ウィン ジョーンズはつくづく上手い
少女小説としてもあざといほど上手い -
ポーリィは自分の記憶が不確かなことに気が付いた。壁に掛かっている写真を見て、素晴らしいと思ったこともあった。黒っぽい人影が暗い中央から現れてくるかに見えたのだった。でも、今は畑で乾草を燃やして煙が一杯に広がっているだけにしか見えない。この本も前に読んだことがあるように思える。ずっと前に。どうしたのだろう。思い出そうと昔のことを考えると、記憶の奥から友達が出てきた。かつての親友のニーナ、十年ほど前、両親の離婚話が持ち上がったころ。そうだ「お葬式!」だ!そのお葬式でポーリィは知らない大人の人と知り合いになったのだ…。読んでいる途中で、いったいどうなっているのだろうと思ったことが何回となくあった。そして、読み終わったら、また最初の方を読み返したりした。作者に魔法にかけられたのかな?
-
しんどい読書でした。急に場面が違う場面になって、ちょいちょいわからなくなり、少し読んだらまた分かるようになる。そういうのの繰り返しでした。分からないのは自分だけかと思いきや、他の人の感想でもわからない人が結構いるので変な安心感がありながらも。最後のほうで、ようやくなんとなく話はつかめたものの、たぶん映像化されたものを見るか、2回、3回と読めば、すっごく面白い本なんだという気がしましたが、1回で理解するのは無理かな。もういいです。
-
初めましての作家さん。
ハウルの動く城の原作者ってことで、随分前に購入。
普通の世界と、あり得ないシーンが混在していて
想像を組み立てながら読み進めるのに苦労しました。
大学生になったポーリィは、祖母の家で違和感に気付く。
何が違う?どこが違う?どこから違っている?
ポーリーは慎重に過去の記憶を遡り、探ります。
物語が動くのは後半に入ってから。そう来たか!
これは不思議でファンタジーな恋のお話しかと思ったら
ダークでしたよぉ~
もう少しガッツリ対決して欲しかったです。 -
小学生の頃からのお気に入りの本。
相変わらず難読な物語である。私は作中に出てくる物語はどれも読んだことがない。
それでも、夢中になって最後まで読んでしまう。
今度は作中に出てくる物語をよんで内容をより理解したい。
初めて読んだのはポーリィーと同じくらいの年で、ポーリィーに感情移入していった。まわりの大人たちのことが理解できなかった。
今はリンさんぐらいの年になってしまった。
そうすると、すこし見方が変わってきた。
何回も繰り返し読みたい名作である。 -
図書館で。ハウルやキャットの話は読んだことあるんですがコレはダメだった。何だろう。訳が合わないからなのか。作中の人物で魅力的、と思える人物が一人もいないからなのか。(それ、結構大きいかも)
話はちっとも進まないし何が起こってるのかもちっともわからない。離婚調停中というか真っ只中の家庭に放り込まれた少女の話というにはおおざっぱすぎるしかといってファンタジー部分がありえそうでナイだろうなのでいろいろとモヤモヤします。大体リンさんただの怪しいロリコンにしか思えないしポーリィ(だったかな?)は何であんなになついてるんだか。とりあえず子供の相手をしてくれる成人男性には要注意だなあ。
というわけでお話が始まる前に断念しました。途中ぐらいまでは頑張ったんだけどなぁ… あとは個人的に成人男性と小学生(アレ?中学生だっけ?にしては誤字脱字が多いよね、主人公)のロマンスとかダメだろうと思っちゃうからかもしれないなあ。 -
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、1984年発表のファンタジーです。
エキセントリックで騒々しいお話しの多いダイアナ作品ですが、この物語は終始淡々としていてしかも切々と胸に沁みて来る、ちょっと不思議なラブストーリーです。
19才の大学生ポーリィは自分の記憶に矛盾があることに気付き、その原因を探って過去を振り返ります。記憶に齟齬が生じているのは9年前、10才の時からのこと・・・。
空想好きな少女だったポーリィはハロウィーンの日に祖母の家の近くにある大きなお屋敷の葬式に誤って紛れ込んでしまい、そこでチェリストの青年と出会います。やはり空想好きな青年とポーリィは意気投合、ヒーローになる物語を二人で作り始めるのですが、それ以来屋敷の人間から監視されるようになり、不思議な出来事も起こるようになって・・・。
イギリスの有名な妖精譚をベースにした少女の成長物語でもあり、様々な英米仏の児童文学さらには「金枝篇」が重要な成長の糧として現れ、また音楽も大きな要素として巧みに表現されている、とても豊穣な物語世界、傑作だと思います。 -
この作者の、家族のすれ違いの描き方に毎度感心。その薄ら寒さに、背中がぞくりとします…。『純と愛』並みの薄ら寒さ!と思ってます。