霧の国―チャレンジャー教授シリーズ (創元SF文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488608040

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  • <科学者VS心霊術! 作者の心境の変化から、驚愕の展開へ>


     奇人変人博士チャレンジャー教授が織り成す科学冒険シリーズ(?)、驚きの第3作☆
     実は長い間、チャレンジャー教授シリーズは本作で最終回とばかり思いこんでいました。すみませぬ……★ しかし、それと言うのもシリーズそのものが破綻してしまい、続けられそうに思えなかったからなのです。

    『霧の国』では、チャレンジャー教授の愛娘イーディスが、新聞記者マローン氏とともに心霊教会を取材。そこで、鬼籍に入っていたあのサマリー氏の霊がキて、チャレンジャー教授へのメッセージを受け取ってしまうのです。
     チャレンジャー本人に伝えるも、スピリチュアルな世界を認めたくないのが科学者の性(サガ)というもの★ 霊媒たちを激しくののしり、スピリチュアルを拒む教授でした。ところが、娘イーディスの様子に異変が……!?

     実地調査を行って根拠を確かめ、合理的に説明がつくこと以外は認めないチャレンジャーの目の前で、どうしても信じるしかない出来事が起きてしまうのです。ある意味において、チャレンジャー教授が完全敗北した、と言える結末に、困惑必須★

     ジュリアン・シモンズ著『コナン・ドイル』を読んだ後で本書をあらためると、身内が霊媒の才能を開花させて(?)一家でスピ系の沼に落ちる経緯が、ドイル自身の人生譚と交錯して、なぜこんな作品が生まれたかを窺い知ることができます。

     くだんの評伝に描かれたドイルは、堂々としたスポーツマンタイプで行動力に富み、愛国心ゆえの扇動家の一面も。しかし結局、戦争が誰かの大切な人を奪っていく面に気づかないわけがなかっただろうし、自身も家族を亡くした影響ははかりしれないなぁという印象です★

     どんな苦境にも負けず、信念をもって自分を貫いてきたとしても、親しい人々は河岸へ。正義と情熱の人ドイルの心は、いつしか傷だらけになっていたのでしょう……。作者の痛みと悲しみがもろに影響した迷作です★

  • チャレンジャー教授はお恥ずかしいながらこの作品が初。晩年に書かれたこの作品で取り扱っているものが心霊術で、読みながら感慨深いなあと...
    チャレンジャー教授が思ったほどあまり出てこなかったのは少し寂しかった。けれど物語としては興味深い部分もあり、この頃の心霊術はどう思われていたのか、世間でどう扱われていたのか知れたのは面白かったし、物語を通してドイルの考えを知れたのは嬉しかった。

  • マローンがチャレンジャー教授の娘イーニッドと参加した降霊会。そこに呼び出されたのはチャレンジャー教授の友人だったサマリー教授だった。この話を聞き激怒するチャレンジャー教授。霊の存在を信じチャレンジャー教授を説得しようとする。まろとイーニッド。2人に協力する友人のロクストン卿。霊媒師トム・リンデンに挑戦するチャレンジャー教授。呼び出された霊が語るチャレンジャー教授の若き日の実験。

  • チャレンジャー教授もの。晩年のドイルの研究から心霊術について主題になっている。心霊術について知っているか興味を持っていないとあまり面白くないかも。私は両方とも当てはまらなかったので、なんともいえなかったですしね。

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著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2024年 『コナン・ドイル⑥緋色の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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