星を継ぐもの (創元SF文庫) (創元推理文庫 663ー1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488663018

感想・レビュー・書評

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  • 『月面で発見された5万年前に息絶えたその生命は誰なのか?』
    読者の想像を掻き立てる心地よいリズム。
    地球温暖化や資源枯渇など今私たちが抱える世界問題にも通じるテーマが深淵にまぶされており、愛される続ける理由が良くわかります。
    是非、ハント博士はエディ・レッドメインさんに、ダンチェッカー博士はヴェネディクト・カンバーバッチさんに、ダブル主演で映画化してほしいですw

  • 改めてちゃんと読むとめちゃくちゃ面白かった。ワクワクするとはこのこと。なぜ今までちゃんと読まなかったのか後悔した。
    ストーリーとして、どんでん返しが多く、飽きさせない。
    著者の科学的知識が存分に発揮されていて、読んでいて勉強になる。
    少しずつ謎を解明していく過程も、きちんと論理的、科学的に書かれていて、謎は残るもののその時点では確かにそうだ、と納得しながら読んでいける。
    ガニメアンの謎に迫る続編も読みたい。

  • 月面で発見された死体の謎から、人類のこれまでの歴史が科学的な検証の積み重ねからゆっくりと紐解かれていく、まさにSF小説という感じのお話でした。

    主人公のハントと共にまるで謎解きをしているかの感覚で読み進めることができました。
    初版が1980年と記載があったので古臭い内容も多々あるかと思っていましたが、個人的には全く古さを感じさせない内容で常に先の展開が気になる、とても面白い作品だったと感じました。
    ただ、割と頭を使いながら読み進めないと内容があっという間にわからなくなってしまうので、読む時にはある程度の集中力が必要かと思います。

    内容的はThe理系という感じで小難しい箇所もありましたが、ある程度の内容が理解できれば、どんどんパズルが組み合わさって一つの絵になっていくような達成感とスッキリ感が味わえるかと思います。

    理系なお話が好きな方や謎解きのようなお話が好きな方は楽しく読めるのではないかと思います。

  • 月面で人間の死体が発見された。
    解析すると今から5万年前のものであった。
    それは人類の祖先なのか?
    その分析、仮説は、2転3転する。

    文章に破綻がなく、テキストを読んでいるようであった。
    文学の一要素サスペンスでぐいぐい物語を推し進める。
    科学とは、仮説を立て、解析し、得られた結果から、更に仮説を立ての繰り返しである。
    この本は、物語の面白さと同時に、そういう科学の営為の面白さ、スリルも味あわせてくれる。

  • 月から五万年前に亡くなった人類が発見される。
    しかも「真紅の宇宙服」を纏った…。

    オープニング
    孤独に月面を彷徨うシーンから、一転して銀色に輝く巨大な飛行機がゆっくり迫り上がり、地球上の都会的なシーンへ移る。

    月で見つかった五万年前の人類の遺跡、木星の衛星ガニメテで更に古い宇宙船の発見…。

    物語は、発掘された事実からその謎を探る、太陽系を股にかけた壮大なスケールの考古学的サイエンスミステリー。
    主役は、数学者、生物学者、言語学者、物理学者など、科学者が中心となる。
    その為、冒険活劇の要素は全く無く、発見と推測の繰り返しで、徐々に全貌が明らかになっていく。

    でも、たどり着いた結論のインパクトが強烈で、読後の満足感は高い。

    エピローグで、固定概念に固まった考古学者を皮肉っているところがにくい。

  • 書かれた時代と比較するとテクノロジーがかなり発展している現代。そんな現代に読んでも遜色なく楽しめる作品。

    とにかくワクワクしっぱなしのSFでした。半分過ぎたあたりから加速してこの話も終わってしまうのか…と残念な気分でした。

  • 月面で、「五万年前の死体」が見つかった。

    次々集まる新事実!異論!反論!オブジェクション!世界の頭脳達がこぞって謎に挑む様はまさに百家争鳴。

    鮮やかなラストも鳥肌物だが、男の浪漫をなるだけぶち込んだ登場人物達の熱過ぎる謎解きに大興奮!

  • ラストが秀逸。
    一人の人生、一つの星の運命をともに生きたような感慨にぼっ~とする。

    情報をどう取り扱うかということへの主観的偏りということも面白い。確かに見たいものしか見なくなっているなかで、私達の宇宙感は成りなっているのかもしれない。

  • SFって、こんなに面白いんだ!と思わせてくれた一冊。
    生物の進化に、造詣が深いのか、それだけ調べ尽くして執筆したのか。人類は実は、、、という顛末にすっかり傾倒してしまいました。

  • SFの名作。
    月で発見された、5億年前の遺体、ミイラ化しているが、人類と全く同じ種族の遺体の謎を解明するため、科学者たちが論争を繰り返す。木星の衛星ガニメデでも、2500万年前のものと思われる巨体な宇宙船と白骨化した巨人の遺体が発見され…。

    ラストでの、ハント博士、ダンチェッカー教授の奇抜な推理は見事。中盤は物語の進展が遅くていまいちだったが、ラストが素晴らしかったので、星4つ。

    プロローグで出てきた巨人、コリエルの謎が残っているので、続篇「ガニメデのやさしい巨人」も読んでみたい。

  • ぐいぐい惹き込まれる、とはいかないまでも最後まで面白く読むことが出来ました。
    登場人物が魅力に欠けると言うか、人間味がないと言うか。
    説明的なんです。
    そこが惜しいところ。
    苦手なSFでもこれは挫折すること無く、読めたので良し。

  • 出張からの帰り、京都駅の本屋に寄って新幹線の中で読む本を探していたら、この本の帯に小野不由美の推薦の言葉が載っていることに気がついた。アマゾンの「お客様へのおすすめ」に何度も出てきた本だし、いい機会だから読むことにした。1977年の作品なので、多少古めかしい印象を受けるのは仕方がないとして、謎解きも含めて、十分楽しめた。ミネルヴァの月と地球の月との関係は、予想していたとおりだったものの、そうすると、進化論との矛盾を解決しないまま話が終わるのかと少しがっかりしたが、最後の一ひねりがお見事。気になったのは、「プロローグ」に登場し、「エピローグ」でその後の運命が暗示された巨人コリエルの正体。彼は、いったい何者だったのだろう。それにしても、創元SF文庫から出た1980年当時、読もうと思わなかったのが不思議。解説は鏡明。池央耿訳。1980年5月23日初版、2011年9月16日88版のロングセラー。定価本体700円+税。

  • 近未来の月面探査で発見された死体。調査の結果、
    五万年を経過したものと判断された!
    こんな壮大な仕掛けのミステリがあったのか!
    と思えるようなSF作品。一気読み確実です。

  • ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」読了。月で見つかった推定数万年前のミイラ、チャーリー。彼の由来を巡る様々な仮説、検証、議論はまるでSFに留まらず科学的な様相を呈して知的欲求を刺激され引き込まれた。最後のどんでん返しで明かされる人類のルーツの解釈は、昨年のノーベル賞スバンテ・ペーボ博士のネアンデルタール人の遺伝子解析の結果に切り込むようで様々な想像が膨らみ楽しめた。

  • 2017/08読了
    星をつけられない、、わたしには難しすぎて、、最後まで頑張って目は通したけど、結局理解できひんまま終わっちゃった。やっぱりSFが苦手なんかな。あと、翻訳ものと外国の名前が出るのが苦手。。

  • 月で5万年前の人間の遺体が見つかったらどう考えますか?今の世界はどう受け止められるだろうか?
    少し前の自分なら、科学は理知的に事実を積み上げると考えられたけど、パンデミックを経験した後、科学はそれだけでは成り立たないことを知っている。
    この本もその騒動の一端を示しているなと思う。もちろん話の本線はハードなSFだ。堪能できました。

  • 月で見つかった五万年前の死体の謎を紐解くSF小説。SFミステリーという感じだった。
    とにかくものすごく面白かった。
    少し読みにくいかつ分かりにくい表現も多く、
    文章がちょっと難しいと感じた上に、
    科学用語や物理用語生物学用語オンパレードで文系脳のわたしにはちんぷんかんぷん。
    だけどそんなこと関係ない。
    話が進むにつれて、読んでいる間のワクワク感と壮大さに圧倒されて、気がつけば読み終わって溜息をついていた。
    50ページ読めれば勝ち。

    別作品の登場人物が、「暦という最大の情報を失うわけにはいかない」と時間をカウントしていたシーンがとても印象に残っているのだけど、
    この作品では「カレンダー」の発見、分析から、
    どんどん謎が解けたり、手掛かりが掴めてくる。
    やっぱり暦は私が思う以上に大事な情報なんだなぁとしみじみ感じた。
    小さな発見から色々なことが分かっていく。
    科学も歴史も、だから面白いんだろうなぁ。

    最後のダンチェッカー氏の演説、ここにまでどんでん返しが待っていたのか!月の移動だけでも驚いてたのに。さらにエピローグに出てくる名前。
    そして最後に表紙に戻ると、そこには『星を継ぐもの』のタイトル。すごい。
    名作と愛され続けるのも納得!

  • 1977年発表のハードSF。
    SFをほとんど読んだことがなく、ハードSFと言われてもピンとこなかったけれど、とても楽しめた。

    冒頭の描写が後から後から効いてくる。
    謎また謎に科学者たちが総出であたり、仮説を立て、検証し、そしてまた謎があらわれる。
    宇宙の壮大な謎にとりかかるミステリのように楽しんだ。

    SFというのは、登場人物の性格だとか背景だとかは重視せず、ひたすらに科学的知識を積み上げ、ひねくりまわし、謎を解き、冒険の旅に出るような話なんだろうかと、途中まで読みながら思っていた。実際、ハントがガニメデに行くまでは、彼の人間らしさ、感傷のようなものはほとんど描写されていなかったと思う。
    彼が宇宙へ出て、ふるさとを思い、孤独を思い、ダンチェッカーと議論を戦わせるようになったところで、彼という人間に読者として惹かれた。
    最後のダンチェッカーの演説、そしてコリエルの腕輪の発見からポイと捨てられてしまうところ、ものすごく感動した。すばらしかった。人類とは。文明とは。惑星を守っていくこととは。そんなことを思った。


    それから、作中で普通にソヴィエトが存在する描写があることから刊行当時の時代背景を想像しても読んだ。
    刊行された1977年は、ベトナム戦争が終わって2,3年といったところ。物語終盤で「人類が回避した危機的状況」と示された状況は、おそらく核戦争の可能性のことだと思ったので、たぶん、キューバ危機のこと。

    もし、この物語を2021年の今ではなく、もっと以前に読んでいたなら、UNSAのような組織や、人類が一丸となってこのチャーリーやルナリアンやガニメアンの謎にむかっていく描写について、素朴にこんな未来もあると思えたんだろうか。
    ソ連の崩壊や、ベルリンの壁の崩壊が起きたとき、私は生まれてはいたけれど記憶にない。
    湾岸戦争はかろうじて記憶している。
    911の前に読んでいたら……
    コロナの前に読んでいたら……

    今、読む意味がきっとあったと思う。
    読んで良かった。そして、もっと前に読みたかった。

  •  新学説構築ミステリー。
     本作品を読むと、学問することの必要性を実感します。
     月で発見された不可解に思える死体とそれに続く数々の発見。
     どう説明がつくのか、科学者達の議論が始まります。
     本作品では物語的な事件は起こらず、ほとんど学説の議論中心で進展します。
     素材となるものは全て提示されています。
     読者は議論する学者の一人となって、主人公のヴィクター・ハント博士より先に新説を思いつくことができるでしょうか!?
      
     科学者達は我々とは全く違う文明の解明をしていきます。
     言語体系を解明して言語を翻訳。
     円周率πや自然対数の底eなどの物理定数は不変です。
     生化学や生物学の知識も総動員です。
     なるほど学問とはこんな風に役に立つものなんですね。
     高校生が
    「なぜ勉強するのですか。受験のためですか」
    と問えば、本書を読ませればいいでしょう。
    「宇宙人の死体が発見された時に正体を解明するためだ」
    と。
      
     一方、個人の立身出世のためにも学問は必要だと思わされます。
     主人公のハント博士は学問に秀でることで世に出た方です。
     その学問は実用的で、言い換えれば商業化・産学共同に秀でているので、民間企業に就職しても比較的自由な立場で行動することができます。挙句の果てには国連宇宙軍にヘッドハンティングされます。
     学問を身につけるといいことだらけですね。
     そして、エピローグでは〝悪い意味での典型的な学者”が描かれています。こんなタイプになっては駄目ですね。
      
     さて、本書において最終的に導かれた結論は、現代の科学から見てどうなんでしょうか。現代科学の分野からの検討をして頂きたい。
     これほどのスケールの大きな世界観を描きながら、本書は文庫本1冊に収まっています。最近の超大作は分厚い単行本何分冊とか、文庫本でも分厚いのが何冊にも及ぶものが多い中、これだけコンパクトに収まっているのはありがたいことです。
     まあ続編が続くようですが。
     今後どうなるのか気になるので続編も読んでみようと思います。
      http://sanshirou.seesaa.net/article/469832322.html

  • SFも海外文学もほぼ初体験。独特の言い回しや専門用語に何度も諦めかけたけど読み切ってよかった。どんな脳みそを持ってたらこんなストーリーが思いつけるのだろう。

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