- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492233733
作品紹介・あらすじ
「ついしたくなる」にはシカケがある。
スタンフォード大学の講義でも用いられている、日本発のフレームワーク、仕掛学【Shikakeology】。
押してダメなら引いてみな。一言で言うとこれが仕掛けの極意です。
人に動いてほしいときは無理やり動かそうとするのではなく、
自ら進んで動きたくなるような仕掛けをつくればよいのです。
ただ、言う は易し行うは難し。そのような仕掛けのつくり方はこれまで誰も考えてきませんでした。
本書では仕掛けの事例を分析し、体系化。
「ついしたくなる」仕掛けのアイデアのつくり方についてご紹介します。
感想・レビュー・書評
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以前、㈱島津製作所のOBの方から勧められたので、そろそろ読もうかと手に取った。
工場やオフィスでよく言われる整理整頓を含む5S活動など、言うは易し行うは難しという問題の解決に、良い課題をくれそうな内容である。
仕掛けについて考えさせられる。結構、楽しい。
あまり多くの事例は載っていないが、考え方を学ぶには非常に良いと感じる。
一時間程度で読める。行き詰ったらもう一度読んでみるのも良い。
善用も悪用もできてしまう仕掛け。法律や制度に重ねて考えるのも有りだ。
仕掛けによって人の行動を誘発する。
仕掛けを利用することで、仕掛けた側、仕掛けられた側が楽しい、うれしい、気持ち良い、良いことをしたという気分にさせられる。
また、こうしなくては気持ち悪い、気が済まないような仕掛けも登場する。
事例の中に、誰もが一度は目にしたことのある仕掛けが一つはあるのではないだろうか。そうか!とつい感心している自分に気付く。
普段は気にもしない部分に仕掛けがあり、日常の中で見事なまでに誘導されていることに気付くのは痛快である。
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・要約
★私見
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★タイトルを見て、痴漢防止の看板を思い出した。「痴漢は犯罪です」よりも、「皆様のおかげで犯人を捕まえることができました」の方が犯罪が減ったという事例。
★本書は仕掛け例の紹介と分析を書いた本であるが、分析の際に同じ仕掛け例ばかり取り上げるので中だるみした。
★厚めの本であるにも関わらず、情報量がとても少ない。文字数をカサ増しした上に、文章間の空白も余分に取っている感じ。よく言えばさらっと読めるが、物足りない。
★とはいえ、家庭や仕事の仕掛けを考えよう、と思い立った点では役に立った。
・p16 運動や減塩など「した方が良いこと」はなかなかしないので、「ついしたくなる」仕掛をつくるといい。
・p21 仕掛け例:子供のおもちゃ箱の上にバスケットゴールを設置することで、お片付けがゲームになって捗る。
★似たようなものを作ろう。スペースの都合があるので、赤いポスト型とかかな?
・p57 仕掛け例:コインが面白い動きをする募金箱には募金しやすい。
・p72 仕掛に乗る負担が大きくて持続性が低い(飽きやすい)仕掛けは観光地などに向く。仕掛にも向き不向きがある。
仕掛けに乗る負担が少ないのは、男性トイレの的当てなど。
仕掛に乗る負担が大きいのは、エスカレーターの代わりに階段を登ることなど。
・p150 仕掛けの思いつき方:行動の類似性を使う。
ゴミ箱に「捨てる」→似ている動詞→「投げる」→連想されるもの→「釣り」
ゴミ箱に「釣り」→連想→魚拓をとれるゴミ箱
・p154 仕掛けの思いつき方:五感を組み合わせる
ゴミ箱+「視覚」→連想→ゴミを入れると◯◯が変化して見える
・p164 仕掛け例:真実の口の中に手を入れるとアルコール消毒噴射
・p165 仕掛け例:上から垂れている紐の出所を見ると広告がある(人間釣り)
★私がやっている「ながら家事」は、誘導性が低いものの、仕掛けと言って良さそうだ。
例1:きれいにした洗面台に布巾を置いておく
各自がきれいな状態を保とうと、使用後に布巾がけをしてくれる。
例2:階段にクイックルワイパーを置いておく
階段を使うときに、ワイパーで掃除しながら昇り降りする。 -
ある仕掛けをするだけで、思わずやりたくなるとか、つい試したくなることって世の中にはあるのです。その仕掛けについてアカデミックに考察したのが本書でした。
87ページの図で、表現される仕掛けの仕組みが素晴らしい。
会社の総務部で研究したほうがいいかもしれない。社内のちょっとした仕掛けで、行動に結びつけ、ビジネスの駆動力に活かすことができたらすごいと思った。 -
問題を解決するために、その解決につながる行動を誘う仕組みを本書では「仕掛け」と称して、その理論的考察と具体例を紹介している。
具体例として、本書の冒頭で口絵として紹介されているのは、
「問題」
書類が乱雑、整理整頓ができない
「仕掛け」
(書類フォルダーや整理箱等に)斜めの線を引く
「解決」
直線になるように並べたくなる(整理整頓できる)
「問題」
お手洗いをきれいに使ってほしい」
「仕掛け」
(男性用小便器の内側に)的を作る
「解決」
的を狙いたくなる(外にこぼさないのできれいになる)
等々の事例。もちろん本書にはその他にもたくさんの「仕掛け」が紹介されている。
最初ちょっと読んだ感じでは、行動経済学等で紹介される「ナッジ」と同じかなと思ったが、本書では「ナッジはあまり考えずに選ばれるいつもの行動(デフォルトの選択肢)の設計方法、仕掛学はつい選びたくなるもう一つの行動(オルタナティブな選択肢)の設計方法ということができる」として区別している。
ただ、ナッジにしても本書の仕掛けにしても、行動を誘引する仕組みとして根本的な部分は同じだと感じた。
このような仕組みをうまく使えば、問題の大小にかかわらず、仕掛ける方、仕掛けられる方、双方ともに大きな負担なくその解決が図れるのではないかと、大きな可能性を感じた次第。 -
・ 楽をしたいのは人間の性であり、個性であり、権利なのだ、と開き直っている人は著者だけではない
はずである。
・これらの仕掛けに共通することは、整理整頓が「結果として」達成されることである。整理整頓をしているつもりはないのにいつの間にか本来の目的が達成されている。
・仕掛けの3要件
公平性(Fairness):誰も不利益を被らない。
誘引性(Attractiveness):行動が誘われる。
目的の二重性(Duality of purpose):仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる。
・仕掛けの効果だけでなく、製作コストや維持コスト、製作の難易度などを総合的にみて、その場にふ
さわしい仕掛けが導入されるべきである。
・無理やり行動を変えさせようとするのではなく、つい行動を変えたくなるように仕向けるのである。 -
内容は面白かったが、ひとつ気になる点があった。
エスカレーターの右又は左を急ぐ人の為にみんなが空けているみたいな事が書かれていたが、エスカレーター止まって乗るものだし、ましてや早歩きで乗るような急ぐ人の為のものでは無い気がします。
細かいけど、そこだけがずっと気掛かりになってしまった。 -
どんなジャンルでも極めれば「オタク」になる。
IT技術が発達し、AIや自動運転5Gまでもが登場するこの時代に、アナログな仕掛けで人々の行動を変える研究をしている著者の本。名づけて「仕掛学」。この「仕掛学」というネーミング自体にも、一般の人の親しんでもらいように、あえて簡単なことばで学問を表現するという仕掛けが隠されているそうです。
ここでいう「仕掛け」とは、例えば(本書の表紙にも描かれているような)ゴミ箱をバスケットゴールに見立てて「入れたい」心理から「ごみを捨てる」という行動を促したり、男子トイレの中心に「的」を据えることで飛散を防止したりする仕組みのこと。本書では、著者が実際にみつけた仕掛けの事例を中心に、仕掛けの種類や効果、その見つけ方から作り方まで、オタク的に掘り下げていった一冊です。(とはいえ文章はとてもシンプルで、仕掛学未経験の私でもスムーズに読み進められました!)
確かに、街にあふれる様々な「注意喚起」の張り紙や、「勉強しなさい!」「手伝いなさい!」など行動を強制させるような言葉では、人(もしくは、人の心)は動かない。そんな「困った」を解決させる方法として、仕掛学の考え方を取り入れてみるのもアリだな、と感じました。 -
まさに究極の改善活動。改善するのではなく改善誘導するという考えが秀逸。仕掛けはいまや「学」がついて仕掛学まで昇華してきた。残念なのは著者も書いているように学会がないこと。せめてフォーラム的な場でもあれば盛り上がるんだろうが。
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11月20日の日経、朝日、両紙に書評があり、ちょっと気になっていたこともあり。女性にはわかりにくいかも知れないが、男子用小トイレにハエのマークなどがついていて、そこを狙うと廻りの汚れが少ない。ということは以前から言われていたが、それを「仕掛」と称し、学問として必要な要素は何かを説く。もともと人工知能の人なので、考え方はケースを集めて推論する方法で、理論的ではなく、経験的な部分もあるが、確かにこの分析はおもしろく、いろいろ企画を立てる上での参考になる。仕掛けには物理的と心理的なトリガーがあり、それをまた分解すると~。人に受け入れられるアイディアを考えている人におススメ。