直感で発想 論理で検証 哲学で跳躍: 経営の知的思考

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492315309

作品紹介・あらすじ

決断と実行の集合体が経営なのである

企業の全体の方向性を決めるような戦略の決断、あるいは後継者人事の決断、大型買収の決断、海外進出の決断……。
経営者はさまざまな決断を下さなければならない。
そして、決断を下すのは、経営者だけではない。組織の中のそれぞれの立場の人が、大なり小なり「自分にとっては決断」というべき行為をとっている。
多数の決断と実行の集合体が、経営であり、組織なのである。
決断には、発想、検証、跳躍、この3つのステップが必要である。まず発想、次にその発想の適切さの検証、そして最後に迷ったす末の跳躍である。この3つのステップを支えるものが、直感、論理、哲学である。

直感で発想し、論理で検証し、哲学で躍進する

直感で発想し、論理で検証するのは、読者みなさんの納得を得やすいだろう。なぜ哲学が決断の本質である最後の跳躍に必要なのか。「思い切る」「見切る」という跳躍らしい行為を人が行なうためには、単に論理的な正しさに加えて、哲学がなければ跳べないからである。とくに、大きな決断であればあるほど、哲学の支えを必要とするだろう。
本書は、直感、論理、哲学、この3つの要素がどのうように影響し合い、支え合っているのかを明らかにしつつ、経営の知的思考の本質を明らかにしていく。

感想・レビュー・書評

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  • 伊丹先生の本は今まで読んだことがなかったのですが、
    期待に反してとても面白かったです。
    大学の先生の書く本って何だかつまらないイメージがあって、
    さらにこの人、結構なおじいちゃんなので、なおさらつまらなさそう…という偏見を持っていたのですが、
    完全なる偏見でした。。すみません、伊丹先生。。

    むしろ、おじいちゃんの割に表現がオシャレ。
    哲学で「跳躍」って…。跳躍ってどういうことや??と思いながら、読んでいましたが、
    読みながら納得。自分なら味気なく「実行」とかにしそうなところ、
    「跳躍」ってオシャレ過ぎます。

    本の内容に全然言及していませんでしたが、
    人が「決断」するときのプロセスについて、論じた本です。
    ちょうど「決断」系のよいコンテンツを探していて、手に取りました。
    著者はこの決断のプロセスを過去の決断の事例から帰納的に分析しています。
    違和感が全くない訳ではないですが、そこそこの納得感もあります。

    ちょっと気になったのは、
    ・事例が古すぎる(小倉昌男とか本田宗一郎とか安藤百福とか西山弥太郎とか)。
    ・古すぎるが故に、今も当てはまるのか不明瞭。特に変化の激しい現代において、
    昔の人のように2年も考え続けていたら、外部環境が変わってしまう。
    ・データの裏にあるロジックが大事という意見もその通りだが、
    ロジックが不明瞭でも相関や因果が見えるビッグ・データの価値はますます上がっていくのではないか。
    あたりです。
    頭の良いおじいちゃんの考察なのですが、
    現代でも果たして通用するのか(もちろん基本的なところは通用すると思いますが)、
    それはそのうち歴史が教えてくれるのかもしれません。

    面白かったので、他の書籍も読んでみたくなりました。

  • 経営の意思決定について書いた一冊。
    納得感がとても高かった。

    直感的に良いアイデアを発想し、
    それを論理的に正しいか検証し判断し、
    最後の最後、論理で判断しきれない部分は跳躍して決断する

    直感はそれまでのストックしていたもの(基盤)があることと、それをうまく直感につなげる(使い方)ことを磨くことによる。

    何よりも大事なのは論理的に繋げること。
    現実を直視することが大事、なぜなら現実は論理の積み重ねだから。
    ここを突き詰めるから次の跳躍ができるし、論理的なストックをためておくと発想にもつながる。

    最後の最後は跳躍。
    出来得る限りで突き詰めた論理。その先で判断できなかった部分は哲学に基づいて跳躍をする。
    本田宗一郎が当時の資本金の30倍近い金額の機械を導入した際「仮に事業が失敗しても、日本の未来にとっては価値がある」と哲学を持てたからこそ最後の最後踏み切ることができた。

    直感を磨き
    論理を鍛え
    哲学を育てる

  • 意思決定のために必要なステップまたは次元を、直感・論理・哲学と区切り見つめる。小倉昌男や安藤百福、西川彌太郎、本田宗一郎らを引き合いに、それら3つの組み合わせによる決断の重要性を示す。

  • 新型コロナウイルス感染症の先行きが見えず、不確実性が増す中、企業はいかに“決断”すべきか。危機への対応策を決断する際にも有用な「思考の筋道の基本」を説いた書籍。

    すべての決断は、「発想し、論理的に検証し、最後に跳躍をする」という3ステップで構成される。この決断に至る3つのステップでは「直感、論理、哲学」という3つの思考法が、それぞれ重要になる。

    「いい発想」の条件は、次の3つ。
    ①発想の大きさ:広い範囲で有効である可能性が高い。
    ②発想の奥行き:さらなる発想の展開可能性が大きい。
    ③発想の意外さ:類似の発想や常識からの距離が長い。

    いくら論理的に考えても、不確実なことは残る。その迷う部分に見切りをつけ、不確実な未来に向かって「跳躍」しないと、実行は始まらない。跳躍するための哲学は、次の2つ。
    ①不可逆なジャンプに「踏み切る」ための哲学
    ②踏み切り後、「走り続ける」ための哲学

    跳躍する前は、将来にとるべき行動は具体的には見えない。しかし、哲学をもっていれば、不確実な未来の中でも、自分の行動に対して市場などが反応し、その事態に合わせて行動できると信じられる。哲学は将来構想の拡がりの可能性「奥行き感」をもたらし、これが心の安定を生む。

    データは、論理的検証のプロセスでは意義をもつが、跳躍にはあまり役立たない。その理由は、次の2つ。
    ①過去のデータは、跳躍を迫られているような状況では、エビデンスとしての意味が小さい。
    ②人間はデータには共感せず、魅力的な考え方に共感する。

  • 直感や理論の思考について扱った本はいくつか見かける。この本は、実際にアクションを起こすために、さらに哲学を持つことの大切さまで記されている点がすばらしいと思う。

  • 購入した本。経営する上での思考力を磨こうと思い、読了。

    結論として、経営をする上で「直感で発想し、論理で検証し、哲学で跳躍する」ことが大切であるとこの本は述べている。

    コンサルチックな定型的な分析方法やデータだけに頼ってはいけない。

    本田宗一郎は成長のためにしばしば洪水を起こすことが必要と説く。一度根底を壊す。

    「論理の蓄積が直感を生み、論理の堅牢さが哲学を支える」


    意外さのある発想を生み出せる人は「頭が柔軟で、気楽さ、楽観性、常識にとらわれない非真面目」な人。

    「今日の直感は昨日までの論理の蓄積の成果」

    「哲学とは物事の本質を考え抜くことによって生まれる」

    起業する上で「バカな」と「なるほど」が大切。一見、バカらしいと思われることでも、説明するとなるほどなと思うようなアイデアが必要。ビルゲイツも言っていたように、まず人からバカにされるようなアイデアでなければ、大事を成すことはできない。


    今の自分にとっては、子供心を忘れず、論理性を磨く必要があると感じた。めんどくさがらずに論理的に思考していきたい。

  • 【電子ブックへのリンク先】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000090810
    学外からのアクセス方法は
    https://www.lib.muroran-it.ac.jp/searches/searches_eb.html#mel
    を参照してください。

  • 本当に、タイトルそのままでで、これが如何に大切か、どうしたらそうなれるのかを、クロネコ、ホンダの例を出して詳述。
    哲学で跳躍して決断した後の実行するには、さらに壁や溝があるのは、その通りだと思います。

  • ふむ

  • 論理、直感、哲学が大事。
    そのとおり。

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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