- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532263966
作品紹介・あらすじ
◆人口減、地方・郊外の高齢化が進むなか、都市を現状の規模のまま維持することは不可能になっている。日経が、独自取材と調査で、危機の実態を明らかにする。
◆2020年に向けて首都圏で各所で進められる行き過ぎた再開発、間に合わないインフラ整備。その一方で高齢化が進み駅前商店街が歯抜け状態になる郊外、空き屋増加で見込みが立たなくなったマンション修繕など、人口減が進むなかで高度経済成長型の都市開発が続けられる歪みの実態を明らかにする。
◆また、不動産情報会社の協力を得て全国規模の独自調査を実施。再開発案件やコンパクトシティ化事業にどれぐらいの補助金が入っているのかや、マンション修繕費用の状況などを明らかに。
◆新しいデータジャーナリズムの取り組みとして日経本紙・電子版で展開した注目特集の単行本化。
感想・レビュー・書評
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「車依存社会からの脱却」
『限界都市』昔東京は「首都移転」構想などあったが、問題は「東京での中央集権国家体制」だと言う。やはり東京直下大地震等がない限り国政は動かない、やらない、やりたくない姿勢だ。政治家もそうだが日本は今「考えることもめんどくさい」国民となっていることに寂しさを感じる。だから急激な後進国になりつつある姿を認めたくない現象が起きているのだ。「車依存の脱却」は都市再開発で重要なポイントになるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●都市のスポンジ化が確実に進行している。都市密度が下がっているのだ。スポンジ化が進むと、行政サービスの効率が悪化し、都市機能は落ちていく。
●住みたい街のランキング上位の武蔵小杉。ただマンション等が立ち並び、日中1時間半おきに家が日陰になる。通常の日陰の規制は、個別に条件をクリアしていれば良いため、複数のビルやタワーマンションの蔭になって日が入らない時間が増える「複合日陰」は規制されない。
●地方都市が「コンパクトシティー化」を積極的に進めるようになり、新たに街中にマンションを建てる動きが広がってきた。中心街に住宅を建てて人口減に歯止めをかけたい自治体側の思惑が合致する形で、多額の公費を活用したタワーマンションが全国の至る所で作られている。
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職住近接主義&人混み嫌いの私といたしましては、申し訳ないですが都市圏でのタワマン乱立の意味が分からないわけです。
本書を通じて、それがある意味利己主義の集積が生んだ歪みであることは理解できたものの、テレビで見る朝のラッシュ時の武蔵小杉駅の「外」の行列の異様な姿は、どう考えても、そこに並ぶ個々人の利己的な選択の結果とは思えず。不動産って不思議。まだまだ探求したい領域です。
そして都市計画はやはり「民意を超えた意思」であり、今後はそれを是とする共同体しか生き延びれないのだろう。いち日本人としてこれをただ憂うのではなく、多くのフォロワーを生むであろう先進的な取り組みをサポートできれば良いなあと強く思いました。ふるさと納税でそれができればいいんだけどね。 -
新聞連載が元なので、現状のルポと課題の提示が主。都心にはタワマン、郊外には小さなカットケーキハウス(造語)が乱立しているのに、空き家が激増している現状。コンパクトシティ計画がなぜうまくいかないか。後半に、奮闘している例も出てきて興味深い。
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2021/04/11
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私の実家も築30年以上経過したマンションで、全体として高齢化が進んでおり、第2章に関しては他人事ではなく、読んでいてただただ暗い気持ちになった。また、最寄り駅の2駅先はタワーマンションが乱立して建っており、数十年後はどうなるのかこちらも以前から気になってはいたが、より心配になってしまった。
一方で、先祖代々続いてきた土地や、ローンを組んで手に入れた生涯最大の買い物である家やマンションを、場当たり的な政策に協力するためだけに簡単に手放せるわけではないとは思うし、当然個人の居住の自由は尊重されるべきだ。
国土が狭く、一年中様々な災害に見舞われ、少子高齢化は止まらないのに、今日もタワマンは建ち、数駅離れた場所にあるのと同じようなテナントの入ったショッピングセンターが開業する。一人一人の思いを尊重しながらも、地域や国レベルで整合性の取れた、安心して住める都市づくり、街づくりはできないものなのか、個人でできることは限られるだろうが、問題意識は持つようにしていきたい。 -
近年、首都圏などではタワーマンションが次々に建ち、人口の流入が進む。
こうした地域は人気の一方で、駅の混雑や待機児童の増加、住民間の交流の喪失などの問題も生じている。
タワマン乱立の要因は、市街地再開発の制度自体にある。
再開発事業では既存の土地・建物を集約し、より大きな建物をつくる。事業者は住宅規模の大きさに応じて開発利益を増やせるため、住宅を大量供給するのである。
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今、数十年前に郊外に建てられた団地の老朽化に伴って、住民の高齢化、人口の減少が進んでいる。そのため、周辺地域の魅力や活力が低下し、地価も下がる傾向にある。
老朽団地を再生できたケースは少ない。
建て替えには、全体の5分の4以上、各棟で3分の2以上の住民合意を得る必要があるなど、法制度の面で高いハードルがあるから。
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人口減で税収が減り、インフラ等の維持が困難になるリスクに備え、国は都市機能を中心部に集約するコンパクトシティー戦略を打ち出した。
だが、コンパクトな街づくりは進まず、多くの自治体は郊外開発に歯止めをかけられないでいる。
2000年代の地方分権改革で街づくりが市町村主導で行われるようになると、各自治体は税収拡大のために大型施設を誘致するなど、部分最適の街づくりに走り始め、広域で調和のとれた都市整備という視点は失われてしまった。
自治体が都市機能の立地を誘導する「立地適正化計画」には、浸水想定区域の一部が居住誘導区域と重なるなど、防災リスクについて深く検討されていないものがある。 -
タワマン乱立。今後の都市開発はどうなっていくのか。
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東2法経図・6F開架:B1/9/396/K