よき経営者の姿

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532313111

作品紹介・あらすじ

リーダーとして、教育者としての器を持った経営者はどれほどいるのか。単に「社長ごっこ」に興じているだけではないのか?業績復活で浮わつき始めた日本の経営者に贈る警告の書。

感想・レビュー・書評

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  • プロローグのタイトルが、「社長ごっこはもうやめよう」。のっけから
    財津一郎の有名なギャグを思い出させる、ヒジョーにキビシーイ
    お言葉です。

    第一章のタイトルは、「顔つき」。これもゴメンナサイと言いたくなる
    タイトルですね!
    名経営者は、「深い素朴さ」「柔らかい強さ」「大きな透明感」という
    共通の顔の特徴があり、こうした特徴を顔に刻むのは、本人の思考、
    決断、感謝である、と論じています。

    第二章は、「仕事」。経営者が果たすべき役割は、「リーダー」「代表
    者」そして「設計者」。そして、それぞれの条件として、「人格的魅力
    とぶれない決断」「結果への責任感と社会への倫理観」「戦略眼と組織
    観」を挙げています。更に、これらを受けて、経営者の最大の役割は、
    「経営理念の策定者・伝道者」であること、としています。
    そして、経営者は富や名誉、時間を「分配」する、人を「教育」する、
    事業の意味や企業の存在意義、仕事の意義を考え「哲学」する、という
    3つの顔を持っている、とのこと。

    第三章は、「資質」。よき経営者は「エネルギー」「決断力」「情と理」
    という普遍的な資質を持ち、組織のおかれたステージ毎に第四の資質が
    加わると説明しています(企業時は「構想力」、変革時は「切断力」、
    推進時は「包容力」)。逆に、悪い経営者の性癖は、「私心が強い」
    「人の心の襞がわからない」「感情的にものを考える」「責任を回避す
    る」「細かい事に出しゃばる」とのこと。痛ッ・・・。

    その他、「育ち方」「失敗」「退き際」など、よき経営者として、ある
    べき姿が語られています。経営者は、リーダーとして、代表者として、
    ふさわしい器量をもたねばならない、ということですね。

    プロローグにこんな表現があります。社長に限らず、管理者のはしくれ
    として、「社長」を「管理者」に読み替えて捉えると、とても染みる
    言葉だなぁと思います。

    「社長たちに望みたいのは、とにかく自分の頭で考え抜いてほしい、
     ということである。そして、考えぬくだけの時間をきちんと作って
     欲しい。考えるための体力を温存して欲しい。考えるための思考の
     枠組みを自分でもつよう自己修練をして欲しい。そして、考え抜く
     ためのもっとも重要な情報は現場にあると思って欲しい。
     もし自分の頭では考えられないと思ったら、信頼できる参謀を作る
     べきである。それもできなければ、潔く退くべきである。そうでな
     ければ、社長の判断で運命を左右されてしまいかねない従業員たち
     は、とても浮かばれない。
     誰を社長とするのかも、当たり前のことだが、じつに大切なことで
     ある。社長には、それに相応しい人を据えなければならない。社長
     ごっこをやっている余裕は日本企業にはないはずである。」

  •  自分は経営者ではないが、組織をマネジメントを任されている立場として、とても参考になる内容だった。
     顔つきを変えることはできないが、今後の日々の言動を変えることで経営者の良い習慣は身につくだろう。
     

  • 船橋競馬場前 ブックオフ

  • 良き経営者の姿とは何かという質問に、真っ向から答えようとして、答えきった本。「顔つき」、「仕事(の役割)」、「資質」、「育ち方」、「失敗」、「引き際」の6つの事柄についてのそれぞれの言及は、非常に奥が深く面白い。特に、顔つきについては、法隆寺の宮大工、西岡常一さんの例を引き、実に学者とは思えない主張を展開し、興味深い。 社長を選ぶ立場になる人以外には、おそらく、役に立たない本だと思えるが、それでも読む価値のある本である。

  • 経営者について必要な資質や役割についてわかりやすく書いてあった。
    本書が経営者の「顔つき」から言及している点は興味をひきました。後半になっていくにつれて、自身が経営者ではないので経営者としての引き際、などの内容については読み飛ばしてしまったが、総じて、自身の周りにいる経営者の顔やイメージを思い浮かべながら読むことができた。

    顔つきを創る要素として「深い思考」と「決断」、「感謝」とあったが、自分1人では何もできないことを深く自覚して、事がなったら多くの人のおかげと感謝の念をもつことは大切なことだし、そういう気持ちを常にもっているかによって、自分の顔つきが変わってくるのだな、、とも感じた。

    また役割として経営者は「リーダー、代表者、設計者」の3つの機能を有するとあるが、個人的には、それはまったくもってその通りだが、プロジェクト単位で設計者やリーダーとしての権限や役割を積極的に現場に渡すほうが良いのではないかと思った。

    経営者としての役割としてはそうかもしれないが、社員が自由でかつ、全創業者のように働くには、明確に経営者としての役割を理解し、それを仕組みや制度で分けていくことが必要だな、と感じます。

  • 済み

  • ◼︎著者は企業経営学では有名な方だか、この本で著作は2冊目。前作から15年ぶりとのこと。
    ◼︎その15年間の思索の成果だけあって、分析はしっかりされているし、読んでいて興味深いものが多かった。大工棟梁のエピソードは面白い。

  • 理想の経営者像について書かれた本。
    自分としてはそれなりに納得できる内容(私と似たような考え方)ではあったが、著者の経験・考察・推測・理想がベースとなっており、データによる裏付けがほとんどないのが残念。

  • 『よき経営者の姿』ということで、「顔つき」から始まる本書は、なんというか経営者としての”心構え”とか”在り方”といった抽象論が展開される。大企業のエグゼクティブをイメージしたような、正統派の内容。ポイントポイントでの論調には示唆に富むものがあり、読んでおいて損は無いが、良くも悪くも「広く浅く」となってしまった印象。個人的にはもう少し切れ味があると良かった。折に触れて内省するようなときの参考にはなるかも。

  • Kodama's review
    著者は書籍の中で、本田技研工業の創業者、本田宗一郎氏の話しを紹介しているところがありました。「私たちが一番大切にしているのは技術ではない。技術よりもまず第一に大事にしなければならないのは、人間の思想だと思う」と。
    (10.5.28)
    お勧め度
    ★★★☆☆

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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